マスターズ延期に続き全米プロゴルフ選手権も5月開催を断念。新型コロナウィルスの感染拡大により世界中でなにも試合が行われない前代未聞の事態が続いている。そんななか「こんなときだから皆さんからの質問を受けよう」とツイッターで質問大会を催したのがイングランド出身のマシュー・フィッツパトリックだ。世界ランク25位で目下売り出し中の25歳が面白い!

ツイッターで質問大会を開催

ジョン・ラームと同じ94年生まれの彼は欧州ツアーですでに5勝を挙げ世界を舞台に活躍する期待の若手である。

ツイッターの質問大会では「一番楽しみな試合は?」との問いに「マスターズ!」と答えており、さぞや延期を残念がっていると思いきや「試合がなくなってしまったいま、なにをして過ごす?」と訊かれ「FIFA三昧!」と大好きなサッカー観戦を楽しんでいることを打ち明けた。

彼にとってゴルフの最初の記憶は「何年だったかは忘れたけれど、タイガーが勝ったマスターズが原体験」といい、同世代の若者同様タイガーに憧れてプロへの道を邁進してきた。

画像: 世界ランク25位のマシュー・フィッツパトリック(写真は2018年のマスターズ 撮影/姉崎正)

世界ランク25位のマシュー・フィッツパトリック(写真は2018年のマスターズ 撮影/姉崎正)

憧れの人と同組のラウンドが実現したのは17年のドバイデザートクラシックのことだった。「とうとうこのときがきたか!」と興奮が止まらないフィッツパトリックの前に現れたタイガーのプレーはしかし期待とはかけ離れていた。

当時タイガーは重度の腰痛に苦しんでおり大会出場のためロサンゼルスからドバイまで16時間機内に缶詰で体調は悪化の一途を辿っていた。

「出だしのホールでバンカーに捕まった彼はバンカーから出るのも人の手を借りなきゃいけないほど大変な様子だった」(フィッツパトリック)。結局初日77を叩き2日目を待たずに棄権を表明。

「そのとき思ったよ。自分はタイガーと試合で回った最後のプレーヤーとして歴史の名を残すだろうな、って」。タイガーはこれ以上第一線では戦えないだろう、というのがフィッツパトリックの率直な感想だった。

タイガーが腰のフュージョン手術に成功したのは数カ月後のこと。そこから史上最強の孤高の王者は不死鳥のように甦り19年マスターズで完全復活を遂げたのはご存知の通り。

フィッツパトリックが思い描いた「タイガーと試合で回った最後のプレーヤー」となる夢(?)は叶わなかった。

それは喜ばしいこと? 「もちろん!」という彼はいつの日か大好きなマスターズで絶好調のタイガーと優勝争いを演じる日を夢見ている。

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