新型コロナウィルスの影響が世界中に広がり、先行きの見えない日々が続いている。ゴルフは、感染のリスクが比較的少ないと言われていて、ゴルフ場自体は賑わっているところも少なくない。もっとも企業や団体のコンペは軒並み中止になっているようだ。春のコンペシーズンに向け、ゴルフ場も頭が痛いところだろう。
クラブや用品の分野でも影響は小さくない。このコロナウィルス禍で、中国の工場の稼働が大きく落ち込んでいて、製品が確保できない状態が続いているのだ。ご存知のように、現在は、中国で生産されているゴルフ用品が非常に多い。ゴルフクラブでいえば、シャフトに関してはまだまだ日本製も少なくないものの、ヘッドに関しては、(特にウッド類は)ほとんどのものが海外生産、その大半が中国で製造されている。
以前は、ヘッド等を中国で生産し、組み立てを国内で行うことで「メイド イン ジャパン」をうたうメーカーも少なくなかったが、現在はより正確を期して、「アッセンブルド イン ジャパン」と表記するものが多くなった。これは、組み立てを日本で行っているという意味だ。もっとも、「メイド イン ジャパン」のままのメーカーも依然少なくない。まだまだ日本製への信仰が根強いということだろう。
国内や他のアジア諸国で作られている場合でも、ヘッドに取り付けるウェイトやスリーブ、ヘッドカバーなどは中国製の場合が多い。かつて、日本人は手先が器用といわれ、細かな部品作りや精度の高いものづくりに定評があったわけだが、現在はこうしたパーツのほとんどが中国製で、一時に比べると品質も随分向上している。コスト面や生産量から言っても、国内生産ではもはや全く太刀打ちできない。
ほとんどの場合、中国製のものを使わずに、商品としてのゴルフクラブを作るのは、かなり困難になっているのが現状だ。今回のコロナウィルスの影響で、例えば、他の部分は出来ていても、装着ウェイトだけがなかったり、ヘッドカバーだけが確保できなくて、販売できなかったり、といった事態なども、笑い話ではなく、現実に起こりそうな気配がある。
話によると、中国内ではこのコロナ騒ぎが少しずつ落ち着きを見せていて、ある工場では稼働率も60%以上に回復しているという。一方、武漢出身の職人が多くて、人出の確保に苦労している工場もあるようだ。
今年はすでに大手メーカーの新製品が発売され、他のメーカーからもこれからさらに有力モデルが登場する予定だ。これらは、ファーストロットがすでに納品されているため、発売時は問題ないものの、追加生産が追いつかなくなると、今後、品薄になるなどの恐れもあるだろう。
メーカーにとって、商品が入荷せず、売るものがないという状況は避けたいところ。文字通りの死活問題になっているのだ。現状は特段の解決策もなく、一日も早い終息を祈るばかりだ。