世界のトッププロたちの使用率が高いパターといえば「スコッティ・キャメロン」。多くの選手が好成績を残しているが、そのうちのひとりがタイガー・ウッズだ。パター職人のスコッティー・キャメロン氏がタイガーのパターへのこだわりを教えてくれた。

PGAツアーで使用率の高いパターデザイナーといえば常にスコッティ・キャメロンの名前が挙がります。昨シーズンは男子メジャー3勝(タイガー・ウッズ、ブルックス・ケプカ、ゲーリー・ウッドランド)を含む世界各地グローバルツアーで計59勝とツアープロの好成績に貢献していたようです。

画像: アンディ和田がスコッティ・キャメロンにインタビューで迫った

アンディ和田がスコッティ・キャメロンにインタビューで迫った

日本でも発売になる2020年のニューモデル「スペシャルセレクト」は8つのモデルのラインアップが用意されるようです。なんといっても5年振りに復活した削り出し一体構造となったステンレススチール素材には要注目です。

キャメロン氏は「世界のトッププレーヤーたちと直接パッティングのサポートを作業する中で常に影響を受けています。私はツアープレーヤーのために28年間パターを設計して造り上げていますが、今回のスペシャルセレクトパターは原点回帰として削り出しのパターフェースとボディになっています。 構えたときの原型、ネック形状、パターフェース、グリップ、ソールウェートなどをすべて見直し現代用として改良を加えました。すべてが一体となった特別なパターに仕上がっています」と自信満々のようです。

画像: 2020年の新モデル「スペシャルセレクト」

2020年の新モデル「スペシャルセレクト」

一番売れ行きが多くなるのではと予想されるモデルはブレードタイプの「ニューポート2」。改良点としてはトップラインの横幅が細くなると同時に平らになり、タイガー・ウッズが長年使用してメジャー15勝中14勝を挙げたモデルに似ているようです(タイガーが使用するのはGSSというドイツ製のステンレススチール素材でトップラインにはサイトドットという点の刻印になっています)。

画像: タイガー・ウッズの愛用パター(撮影/岡沢裕行)

タイガー・ウッズの愛用パター(撮影/岡沢裕行)

スコッティ・キャメロン氏がタイガーと長年接していて驚いたことといえばタイガーの優れた視覚と敏感なフィーリングだということです。 タイガーはプロ転向する前からキャメロンのパターを使用。1996年の全米アマでの勝利を挙げていたタイガーですが、こだわりは色々あるようです。

キャメロン氏曰くタイガーのこだわりは……

【1】グリップは1度クローズドを好む

タイガーが長年エースパターに装着するのはPINGのオリジナルタイプの細いグリップ(.580サイズ)で色抜き。1度クローズということですから挿入するときはグリップは僅かに右に傾くということになります。

【2】パターフェースの高さはあまり高くないのが好み

キャメロン氏はタイガー用にいろいろなパターを造って渡したところ、パターフェースが高過ぎるモデルは好まないということです。フェースが高いと必要以上にフォワードプレスをしないと正しいパターのスウィートスポットに当たらないような気がするということです。 長年使うタイガーのエースパターの中心(やや高め)には、しっかりボール跡が付いています。

【3】右手親指のリリース感でヘッドをコントロール

タイガーのパットストロークはストレートトゥストレートの真っすぐの軌道ではなく、パターフェースは開いて閉じ弧を描くインサイドトゥインサイド軌道。とくに右手の親指でパターフェースのトウの部分をコントロールしリリースするというイメージなのだとか。タイガーの繊細なストロークの秘密話です。

画像: タイガー・ウッズのこだわりとは?(写真は2019年のWGCメキシコ選手権 撮影/姉崎正)

タイガー・ウッズのこだわりとは?(写真は2019年のWGCメキシコ選手権 撮影/姉崎正)

またキャメロン氏は業界で誰よりも先に高速カメラを導入しパッティングの軌道やボールの転がりの分析をし始めましたが、パターの選びやフィッティングに関しての注意点を指摘していました。

「ツアープロは各自それぞれ独特なパッティングスタイルを持っています。アドレスでの構え、グリップ、ストローク、テンポは異なります。ビデオを撮るときはパターヘッドの軌道やフェースアングルだけにとらわれず、身体の向き、肩、肘、目線も考慮してみて下さい。 もちろん全体がスクェアのポジションからパッティングのストロークを始めたほうが余計な動きを最小限に抑えやすいことは事実です。しかし人間はロボットではありませんから全てを完璧にスクェアに動かすことはできないでしょう。大事なのは同じ動きを再現できているかどうか? 自分の癖を知るのも重要です。またプレッシャーがかかったときにパターの動きにどう変化が出るか、その理由の分析がしっかりできると向上するヒントになりますね。外見でパターのモデルを選ぶのは自由ですが、各自の軌道に見合ったネック形状を選ぶとマッチングしてストロークが安定するでしょう」

パター職人からのアドバイス参考にしてパッティングの向上を試みて下さい。

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