距離は短いがバンカーだらけで打ち下ろしのパー3
見とれるほど美しく難しそうなこのホール。難易度を上げているのは、グリーン手前から奥までを囲む右サイドのバンカーと、左サイドにあるポットバンカーだ。ただでさえ奥行きの短い横長のグリーンなのにバンカーもあることで、飛距離と方向性の両立が求められる。
2015年の全米オープンを現地で取材した中村は言う。
「2015年の全米オープン最終日、距離は158ヤードでピンは右サイドのエッジから5ヤードくらいのところに切られていました。穏やかな天候であったため、ほとんどのプレーヤーがPWで打ちグリーンに乗せていましたが、優勝争いするスピースはバックスピンで戻り過ぎてスロープを下ってしまい、右サイドのエプロンから2打目パターを使ってパー。ダスティン・ジョンソンは右のバンカーに外しましたが、やはりナイスパーで切り抜けました。二人ともいつも通りの高い弾道で果敢にピンを攻めるマネジメントでした」(中村)
距離もなく、無風で、かつ全米オープンの優勝争いの真っただ中となれば、世界のトップ選手は当然のようにピンをデッドに狙ってくる。
それではみなさんがプレーするとしたどんな攻め方が正解なのだろう? ピンは真ん中からやや右サイドに切られていて、風は無風、距離は158ヤード、打ち下ろしを見て145ヤードといったところ。グリーンの傾斜は左から右に下っているのでべスポジはピンの右サイドということになるだろう。
左に逃げれば深いポットバンカーが待ち、ショートしてもバンカー。右にスライスしてもバンカー。しっかり打っても奥のバンカーに入ると下りの”ちょっぱや”のバンカーショットが残る。グリーン左サイドに乗せると下りのラインが残り右サイドであれば上りのラインが残る。
さて、この状況みなさんはどう攻めるだろうか? 以下の選択肢から選んでみてもらいたい。
ピンまで158ヤードの写真の状況、どう攻める?
なぜこの答えが正解なのか。プロゴルファー中村修は、「この状況で気をつけなくてはならないのでは、ハザードではなく実は打ち下ろし」だという。
「ハザードに意識が行きがちですが、一番気を付けたいのは打ち下ろしの状況です。打ち下ろしでターゲットを狙う際に気を付けたいのはアドレスの目線です。低いターゲットに対して構えると左肩が下がり右肩が前に出てしまい、結果的にアウトサイドイン軌道になりやすくなります。それを防ぐために目線を高く持ち、ピンの真上から落ちてくる弾道を思い描くことで、選んだ番手本来のロフトで打ち出せるようになります。従ってぴったりの番手の高い球でピンの上から落とすように狙うのが正解になります」(中村)
この状況は、オーバーもショートも右も左もダメという状況。そのことで頭がいっぱいになると、肝心の打ち下ろしという状況を忘れ、アドレスもスウィングもいつもと違った状態になってしまう。それではナイスショットは初めから望めない。それがこのホールの“罠”なのだ。
ハザードに惑わされずに、まずは打ち下ろしに対応した弾道を描き、距離を考慮して番手を選び目線を上げる。難易度の高いホールこそ、マネジメントが肝心だ。