新型コロナウイルスの感染拡大で今週開催する予定だったマスターズも延期。全英オープンも中止と報道された。そんななか、海外男子ツアーのスケジュールに新たな動きが見えた。海外取材歴20年の大泉英子が語る。

全米オープンは9月にニューヨークでの開催が発表されたが……

国内外のゴルフの試合が次々に中止、あるいは延期が発表される中、海外男子ツアーのスケジュールに動きがあった。

4月4日、ドナルド・トランプ米大統領が、新型コロナウイルス感染拡大についての対応について、アメリカの各種プロスポーツ団体のリーダーたちと電話会議を行ったが、トランプ氏はそこで「スタジアムやアリーナで開催されるスポーツに関しては8月か9月には再開してほしい」と要望。それを受けてPGAツアー、ヨーロピアンツアー、LPGA、全米ゴルフ協会(USGA)、R&A、PGA・オブ・アメリカ、オーガスタナショナルゴルフクラブの7団体が結束し、8月以降のスケジュールの調整を行ない発表した。

その発表によれば、6月18日〜21日にニューヨーク州ウィングドフットGCで予定されていた全米オープンは、9月17〜20 日に延期を決定。事実上の外出禁止令が出され、世界でもっとも感染者数の多いニューヨーク州で開催するのは危険とし、一時はペンシルバニア州のオークモントCCやノース・カロライナ州のパインハーストなどの名前が開催地の候補に挙がっていたが、予定通りウィングドフットで行う予定であることを発表した。ウィングフットは感染拡大の震源地とみられるニューロシェルから約5キロの場所に位置するが、果たして9月には安全な状態で開催ができるのか、大いに疑問が残る。

画像: 7月に予定されていた全英オープンは中止が発表された(写真は2019年の全英オープン 撮影/姉崎正)

7月に予定されていた全英オープンは中止が発表された(写真は2019年の全英オープン 撮影/姉崎正)

一方、7月にロイヤル・セントジョージズGCで予定されていた全英オープンは、テニスのウィンブルドンと同様、今年の開催は不可能として中止を決定した。来年、ロイヤル・セントジョージズで7月15日〜18日に開催し、150回記念大会の全英オープンはセントアンドリュースで再来年(2022年)7月14日〜17日に開催される。1860年から始まった全英オープン史上、中止になったのは、第2次世界大戦中と今回のたった2回。CEOのマーティン・スランバースは「我々の最優先事項は、大会に携わる全関係者の健康と安全の確保だ。この歴史的な大会を中止にするにあたり非常に気が重く、世界中の人々がガッカリすることはわかっていたが、現在のこの状況において大切なのは責任を持って正しい行動をすることだ」と述べた。

また、5月11日〜17日にカリフォルニア州サンフランシスコ郊外のTPCハーディング・パークで開催予定だった全米プロは、8月3〜9日に延期が決定。もともと東京オリンピックの女子ゴルフの日程だったが、オリンピックの延期が決まったため、その空き週に全米プロが入ったというわけだ。サンフランシスコは、アメリカの中でも感染拡大がもっとも早かったエリアの一つだが、カリフォルニア州では3月19日に全米初の自宅待機命令が発令されただけに、他の州よりも終息は早いとみているのだろう。今年の男子メジャーは全米プロが1戦目となるが、ここで感染者を出さないことがそれ以降のメジャー開催へのカギとなるだけに、責任は重大である。

そして、まさに今週開催予定だったマスターズは11月12日〜15日に延期が決定した。一時は10月上旬ではないか、とまことしやかな説が流れ、周辺のホテルも高騰していたが、その噂はデマだったようだ。マスターズの翌週には「サンクスギビングデイ(感謝祭)」がやってくるが、アメリカではちょうどその頃からクリスマスにかけて“ホリデーシーズンモード”となり、クリスマスのデコレーションなどが施される時期。ツツジの花が咲かないオーガスタは寂しいが、クラブハウス内やメディアセンター内にはもしかしたらクリスマスツリーが飾られることもあるかもしれない。いずれにせよ、史上初の晩秋開催のマスターズでは、まったく異なる雰囲気を味わうことになるだろう。

画像: 昨季タイガーの復活優勝で大盛り上がりだったマスターズは11月12日から開催すると発表(写真は2019年のマスターズ 撮影/姉崎正)

昨季タイガーの復活優勝で大盛り上がりだったマスターズは11月12日から開催すると発表(写真は2019年のマスターズ 撮影/姉崎正)

なお、PGAツアーの最終戦・ツアー選手権は、以前は11月初旬にジョージア州アトランタのイーストレイクGCで開催されていた。朝晩は冷えるが、日中は天気が良ければ半袖でも大丈夫だったと記憶している。寒さに関してはさほど心配しなくてもいいのかもしれない。

このようにメジャーという大きなパズルのピースが埋まってきたところで、細かな調整が必要なのはPGAツアーだ。現在のところ、5月21日〜24日に開催予定のチャールズ・シュワブチャレンジ(テキサス州コロニアルCC)以降、全英オープン直前までの試合に関しては中止や延期は発表されておらず、全米オープンや全英オープン、オリンピック開催が予定されていた週にもPGAツアーの試合予定を入れる可能性があるという。ウイルス感染が収束してくれば、予定通りに行われるだろうが、状況によってはやはり中止や延期、あるいは無観客試合ということもあり得るかもしれない。

なお女子の試合については、6月中旬のウォルマート・NWアーカンソー選手権を皮切りに再スタートが切られることになっており、メジャー第1のANAインスピレーションは、9月10日からカリフォルニア州のミッションヒルズCCで開催決定。6月の全米女子オープンはなんと半年後の12月7日からテキサス州ヒューストンのチャンピオンズゴルフクラブにて開催が決定している。年末ギリギリまでメジャーのスケジュールが入っているなど、普通は想像ができないが、もしかしたらウイルス感染状況によっては、今年唯一実施できるメジャーとなる可能性もある。

日程の発表があった男子メジャーやPGAツアーについてを以下のようにまとめた。コロナウイルスの大流行が終息し、予定通りに実施できればいいのだが……。

6月18日~21日 PGAツアーの試合を開催する可能性あり(もともと全米オープン開催週)

7月16日〜19日 全英オープン中止※PGAツアーの試合を開催する可能性あり

7月30日〜8月2日 オリンピック男子ゴルフ延期※PGAツアーの試合を開催する可能性あり

8月6日〜9日 全米プロ(TPCハーディングパーク)

8月13日〜16日 ウィンダム選手権(1週間遅れ)

8月20日〜23日 ノーザントラスト(1週間遅れ)

8月27日〜30日 BMW選手権(1週間遅れ)

9月3日〜9月6日 ツアー選手権(1週間遅れ)

9月17日〜20日 全米オープン(ウィングドフットGC)

9月24日〜27日 ライダーカップ(ウィスリングストレーツ)*予定通り

11月12日〜15日 マスターズ

  

画像: タイガー・ウッズが女子大生ゴルファーに特別レッスン! その中身は!? youtu.be

タイガー・ウッズが女子大生ゴルファーに特別レッスン! その中身は!?

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