石川は昨年エピックフラッシュサブゼロ「トリプルダイアモンド」を使用
世界的に広がる新型コロナウィルス禍の影響で、各国のトーナメントは軒並み中止や延期に追い込まれている。例年であれば、この時期はマスターズ直前で大いに期待感の高まるところだが、今は一日も早い収束を願って、感染予防に務める他ない。4月は国内の男女ツアーも開幕し、プロの使用するクラブも気になるところだ。例えば、昨年の石川遼はウィークポイントとなっていたドライバーを克服し、平均飛距離で300ヤードを超えるビッグドライブを武器に、3勝を挙げた。
飛んで曲がらないドライバーショットを実現したのは、大胆なスウィング改造とともに、クラブの変更が大きい。優勝時に使用していた石川のドライバーは「エピックフラッシュ サブゼロ トリプルダイアモンド」という、市販品とは異なるツアーバージョン。キャロウェイエクスクルーシブ専用の製品として、限定販売されたがすぐに完売し、現在はオークション等で取引されている。
こうしたツアーバージョンが出るのかどうか、というのはギアマニアのファンには気になるところ。その石川は今年のPGAツアー、ザ・ホンダクラシックで、新たに「マーベリック」のツアーバージョンを実戦投入している。
ご存知のように、市販の「マーベリック」はノーマルモデルに加え、上級者向けの「サブゼロ」と寛容性に優れた「マックス」の3タイプがある。石川が使用したドライバーは、形状はノーマルモデルに似ているものの、「サブゼロ」のようなフェース寄りのウェイトがあり、“440”という表記とツアーバージョンを示す「◆」がネック寄りに見える。
このモデルは、R&Aで「マーベリック 440」という名で登録されているモデルだと思われる。ゴルフの総本山、R&Aの適合ドライバーリストには、「マーベリック」という名前のモデルが、左用も合わせて、なんと23種類も登録されているから驚きだ。それだけ、市販品でないバージョンが登録されているということだが、昨年の「エピックフラッシュ」は、18種類だったので、かなり増えたことになる。
ちなみにライバルのテーラーメイド「SIM」シリーズは、市販品以外のモデルの登録はなかった。両者のツアー支給に対するスタンスがはっきりと違っていて面白い。こうしたツアーバージョンが多いメーカーとしては、日本の本間ゴルフが思い浮かぶ。「TW747」シリーズは、左用2モデルを含み、13種類があった。最新モデルの「TR20」にも「バージョン2」があるようだ。
今年から、新たにキャロウェイとクラブ契約を交わした横峯さくらのドライバーは、「マーベリック マックス」。こちらもウェイト位置の違いと「◆」マークがあり、ツアーバージョンであることがわかる。こちらはおそらく「マーベリック マックス バージョン2」という名で登録されているヘッドだ。
このようなツアーバージョンが生まれる理由としては、ツアープロのニーズが多様であることが挙げられるだろう。市販品よりももう少しスピン量を減らしたい、形状をよりディープにしたい、洋ナシ風にしたいなど、そのニーズは繊細で、多岐にわたる。市販品では満たせないニーズをこれらのツアーバージョンで補っているのだ。
一般アマチュアとツアープロのクラブ選びが同じであるはずはない。一般アマチュアは、通常市販仕様が合う人が大半だろう。一方でこうしたツアーバージョンの存在にはギアマニアの興味を引くものがある。ツアーが再開し、これらのクラブが活躍したら、限定販売される可能性もあるだろう。