ウェッジの命であるバウンスもライ角が合ってなければ活かせない!
個人的なゴルフの話で恐縮なのだが、最近、グリーン周りからのアプローチが楽しくて仕方がない。少し前までは思った方向にボールが飛ばず、ちっとも面白くなかった。それが今はだいたい狙ったラインに打ち出せるので、チップインするんじゃないかとドキドキできる。内心、寄せが上手くなったんじゃないかと勘違いしてしまうほど調子が良いのだ。
きっかけは一つしかなく、ウェッジを新調したことだった。きちんとフィッティングを受けた上で、自分に合ったものを購入したのだ。
以下は、フィッティングを担当してくれたタイトリスト ボーケイウェッジ担当の三瓶大輔さんの話。
「高梨さん用のウェッジは、実は1度ライ角がアップライトになっています。これはウェッジのフルショットを拝見しているときに、ややコスり気味にヒットしていたこと。これによって適正な飛距離も出ていないと感じたからです」
確かにその自覚はあった。打点も思ったよりもトウ寄りで、打球が想定より右に飛ぶことが多かったのだ。このため距離も一生懸命強く振るほど飛ばなくなっていた。
「打点がフェースのトウやヒールに大きくズレてしまうというのは、ウェッジにとってはかなり致命的なミスなんです。なぜなら、それはソールが使えていないということとイコールだからです。高梨さんの場合はトウ寄り打点、つまりソールのトウしか接地できていなかったということです」(三瓶さん)
ウェッジはバウンスが命だと知ったかぶりをしてバウンス強めのモデルを選んでも、ライ角が合っていなかったのでは宝の持ち腐れ。お助け機能であるはずのバウンスがほとんど機能していなかったという寂しい結果だった。
アプローチでヘッドが突っかかる。そう感じる場合はライ角をチェック!
「高梨さんのようにアップライトに振るゴルファーはそう多くありませんが、ウェッジのライ角が合っていないゴルファーは結構たくさんいます。自分の肌感覚では一般ゴルファーの約3分の1が逆に“フラット”にすることで、ソール(バウンス)を効果的に活かせるようになり、アプローチの精度を大きく向上させています」(三瓶さん)
ウェッジのライ角が合っているかどうかは、自分自身でもチェックは可能だという。
「ソールのどこが接地しているのか。これはショットの後にソールに付いた土や砂の位置を見ることで見極めることが可能です。適正なライ角になっている場合は、ソール全体に土や砂が付着。トゥやヒールにコスり跡がズレている場合は、ライ角調整を考えるか、シャフトを短くすることをオススメしています」(三瓶さん)
ソールのヒールサイドに土や砂が付着する場合、基本的にはライ角をフラットに調整していくが、ウェッジの場合はグリーン周りで極端に短く持って打つこともあるため、あまりフラットにし過ぎるのも考えものだという。その場合はシャフトを1/4インチ程度短く切ることで、ライ角はスタンダードなままでフルショットも矯正され、ショートアプローチでも違和感なくプレーできるようになるケースも多いのだそうだ。
「今はボーケイデザインウェッジに限らず、ソールのグラインドバリエーション、そしてバウンスのコンビネーションを揃えたウェッジシリーズが増えています。しかし、ライ角が合っていなければ、せっかくの進化したソールを活かすことはできません。ウェッジショットはちょっとした方向のズレがターゲットを大きく外す致命的なミスに繋がります。ロフト選びも重要ですが、ぜひライ角チェックもしていただきたいと思っています」(三瓶さん)
アプローチでどうもソールが突っかかる気がする、気持ち良くヘッドが抜けていない感じがする、思った方向に飛ばないと感じたらライ角を調べてみたほうがいいそうだ。アプローチのような小さいスウィングの中で誤った動きを感覚で補正していくのは不可能である。正しい方向、狙った距離にボールを運びたいなら、最初から自分に合わせた道具を選ぶべき。たった1度、ライ角度を変えるだけで、不安が自信に変わるほどの変化が生まれることも珍しくはない。