アメリカ、カリフォルニア州。太平洋に面したモントレー半島は、ペブルビーチGLのほかにも「スパイグラスヒルGC」、「パサティエンポGC」といったアメリカを代表するコースが点在しているエリア。なかでもPGAツアーのトーナメントやメジャーの舞台である「ペブルビーチGL」はゴルファーなら一度はプレーしてみたいコースのひとつだ。
全米オープンは1972年、82年、92年、2000年、2019年と5度開催。昨年は最終日に追い上げたブルックス・ケプカの全米オープン3連覇に期待がかかるなか、首位スタートのゲーリー・ウッドランドが逃げ切りメジャー初優勝を挙げた。
その7番、パー3は岬の突端にあり107ヤードと距離は短いものの風次第で難易度が跳ね上がる、名物ホールのひとつ。このホールをどう攻めるか? というのが今回の問題だ。
「全米オープン」最終日の距離は102ヤードで打ち下ろしを見て90ヤードといったところ。ピンは右の奥で風は右から左へ軽く感じる程度に吹いている。現地で取材した月刊ゴルフダイジェストのツアー担当は言う。
「最終日最終組のジャスティン・ローズは手前から2、3バウンド目でスピンで止まり、1ピン左にナイスオン。ゲーリー・ウッドランドは左のバンカーから寄せてパーで切り抜けました。このホールの難しさは普段は右から強く吹く風と、打ち下ろしの距離感でしょうね」
手前と右サイドに深いバンカー、さらに右は崖、奥も崖で左サイドにもバンカーとグリーン周りに寄せやすいエリアは見当たらない。さて、この状況みなさんはどう攻めるだろうか? 以下の選択肢から選んでもらいたい。
ピンまで102ヤードの写真の状況、どう攻める?
なぜこの答えが正解なのか。出題したプロゴルファー・中村修は、「この状況で気をつけなくてはならないのでは縦の距離感」だという。
「バンカーや崖に意識が行きがちですが、一番気を付けたいのは距離感です。102ヤードと距離は短くピンを狙いたくなりますが、ウェッジでしっかり打つとスピンが入り過ぎてキャリーが足りなくなったり風の影響を受けることにつながります。左への引っかけを警戒する必要も出てきます。ある程度スウィングに余裕を持たせスリークォーターくらいの大きさで振り抜けばスピン量と弾道の高さがおさえられ、狙ったエリアに止められる確率は上がります。従って大きめの番手でコンパクトに振って90ヤードを打ちピンの左を狙うのが正解になります」(中村)
また、ピンは右に切られており、デッドに狙って右にそれると崖に落ちる危険がある。風が軽く右から左に吹いているとはいえば、“軽く”であれば、ここは保険をかけてピン左サイドに打っていくのがセオリーだ。
この状況は、オーバーもショートも右も左もダメという状況。短めの番手やぴったりの距離をしっかりと打とうと思うと、思わぬ力みが大きなミスになる可能性が高い。それではナイスショットは初めから望めない。コンパクトなスウィングでバランスよく振り距離感を合わせることがこのホールでは重要な攻め方だ。
ハザードに惑わされずに、まずは距離を考慮してスリークォーターで打てる番手を選びスムーズに振り抜く。難易度の高いホールこそ、マネジメントが肝心だ。