マスターズで長年オーナリースターターを務めたビッグ3。先に旅たった友の存在を「この時期は強く感じる」とゲーリー・プレーヤーはいう。
「彼が亡くなった翌年のマスターズ(2017年)ではスタートホールのティーングエリアにアーニー(パーマー)のための椅子が用意された。そこにグリーンジャケットがかけられてね。空っぽの椅子がより彼の存在を際立たせていたよ。本人はいないんだけど確かにそこにいて我々を見守ってくれていた」(プレーヤー)
オーナリースターターによるセレモニーが行われるのは早朝。にもかかわらず午後スタートのリッキー・ファウラーやビリー・ホーシェルら若手が大勢敬意を表し顔を見せたという。
プレーヤーがプロを目指したのはパーマーがいたから。「彼が颯爽とゴルフ界に登場し、デビュー間もなく年間10万ドルを稼いだと聞いてすごいと思った。彼のようになりたい一心で頑張った」。10万ドルはいまでこそ1100万円だが当時は億ほどの価値があった。
パーマー、プレーヤーとともにビッグ3として世界中を飛び回ったジャック・ニクラスはアマチュア時代に初出場したマスターズでパーマーのカリスマ性を感じたという。
「なにしろすごい人気だった。それにプレースタイルも豪快。自分はショットの調子が良くて予選ラウンドの36ホールで33回パーオンした。それでも予選落ち。彼は19ホールしかパーオンしなかったのに勝っちゃった。オーガスタではグリーンを攻略しなければ勝てないっていうお手本を身を以て示してくれた」
その教訓からグリーンの研究を重ねたニクラスはマスターズ最多6回の優勝を飾ることになる。
トム・ワトソンがマスターズで初優勝したのは77年。ニクラスとの激闘を制したのだがその直後「ミスター・パーマーから手紙をもらった」。「祝福の言葉はもちろん、ゴルフ界を引っ張る存在になって欲しいという激励をいただいた。ゲームを愛し世界にゴルフを広める役割を担わなくてはならない、ということも教えてもらった」
プレーヤーはいう。「我々(ビッグ3)はまるで兄弟だった。アメリカ全土だけじゃなく日本やヨーロッパを一緒に旅した。いまの時代では考えられないような絆が芽生えた。いつか我々もあっち(天国)にいってまた一緒にゴルフをしたりコースを造ったりしたいね!」