最新アイアンは7番でロフト25°!? いえ、ロフト35°の最新モデルもあります
ボールを遠くに飛ばせるドライバーならわかるが、昨今はアイアンでもぶっ飛び系なる飛距離性能に長けたモデルが人気だという。プロギアのeggアイアンから始まり、ヤマハのインプレスUD+2、ゼクシオ クロスなど次々にロフトが立ったアイアンモデルが登場。なかには7番アイアンなのに200ヤードも飛んじゃった!というモデルもあり、ものすごい時代になったものだと驚いてしまう。
ちなみにいま名前を挙げた各モデルの7番アイアンのロフトは下記の通りだ。
プロギア eggアイアン/25°
ヤマハ インプレス UD+2/26°
ゼクシオ クロス/25°
さらに、ちなみにだが昔のプロモデルアイアンの7番アイアンのロフトは下記のようになっていた。
ミズノ TN-87/35°
ジャンボMTN3プロモデル/36°
ベン・ホーガン パーソナル/37°
こういう比較をしてしまうと、今のアイアンが単にロフトを立てただけのモデルに見えてしまうかもしれないが、今回はそういうことを問題にするために数字を列挙したわけではない。それは、下記のモデルも2020年の最新アイアンとして高い人気を誇っているからである。
タイトリスト620MB/35°
テーラーメイド P7TW/35°
ピン ブループリント/34°
今どきアイアンはロフトを立てたモノだけじゃなく、昔ながらのロフトのアイアンもちゃんと最新として残っている。それをまず改めて確認しておきたかったのだ。その上で、どうしてアイアンのロフトがこんなに立ってしまったのかを考えることが重要である気がするのだ。
想定した番手飛距離よりも飛び過ぎてもNG! それが将来の自分のゴルフを守ることになる
7番でロフト35°のモデルもあれば、25°のものもある。同番手表記で10°ものロフト差がある現状をどう解釈すればいいのか? その手始めは、アイアンはドライバーとは違うということを再認識することから始まると思う。
ドライバー……より遠くへボールを飛ばしたいクラブ
アイアン……狙った距離にボールを止めたいクラブ
本来、ドライバーも狙ったエリアにボールを運べればいいクラブだと思うが、飛べば飛ぶほど快感を味わえるのもドライバーの特別感。250ヤードより300ヤード飛ばせるドライバーの方が魅力的だろう。しかし、アイアンは違う。7番アイアンで200ヤード飛んでしまったら、本来は困るはずなのだ。
だからこそ、実際は「7番アイアンで200ヤードも飛んだら、100ヤードは何番で打つのよ!」という疑問を抱くゴルファーも多いし、「そんなアイアンはいらない。もう番手表示はやめてロフトを刻印しておけばいい」という意見も耳にする。ロフト25°といえば、ブレードタイプのアイアンに照らせば4番、5番のロフトだから、こういう意見が出るのも当然かもしれない。しかし、個人的には、アイアンのソールにはやはり「7」という数字をきちんと刻んでおくべきなのではないかと強く思い始めている。その理由は、ロフトが立ったアイアンの存在理由が、まさに「そこ」にあるからである。
ゴルフを長く楽しんでいるゴルファーには、クラブの各番手に対する想定飛距離があるはずである。例えば7番アイアンならば、135ヤード、あるいは150ヤードと思う人もいるかもしれない。距離の目安は人それぞれとしても、コース上でピンまで150ヤードとなった時に、瞬時に「7番!」とクラブに手が伸びるのがゴルファーなのである。しかし、残念なことに加齢とともに飛距離が落ちてくる。「7番!」と思って打ったのに、どうにも届かなくなってしまうタイミングが訪れるわけである。
ここまで書けばもう推察していただけると思うが、同じ7番アイアンで35°から25°までロフトに開きがあるのは、「ここは7番!」と思って打った距離を、年齢を重ねても同じように打てるようにするためなのだ。若い時に7番で150ヤードならば、シニアになっても150ヤードは7番で狙いたい。本来、そういうニーズを満たすために、ストロングロフトアイアンは開発された。飛ばせるゴルファーが、7番で200ヤード打つために開発されたモデルではないのである。
今回は例としてタイトリストアイアンの現行モデル(7番)をズラリと並べてみた。ロフト35°の620MBから始まり、ロフト26°のT400アイアンまで。7モデルすべてが2020年の最新アイアンである。
「こんなにあったら迷ってしまう!」と思うかもしれないが、実はこの中から今の自分に合うものを選ぶ作業はさほど難しくない。その方法は、実際に打ってみればいいだけである。最大のポイントは、7番アイアンの想定飛距離をしっかりと決めてから試打すること。
7番の想定飛距離「150ヤード」であれば、それより飛ばなくてもNG、飛び過ぎてもNGである。「150ヤード」想定だったのに「180ヤード」飛んだら気持ちいいし、それを買いたくなるかもしれないが、それをしてしまうと“100ヤード打つクラブがないじゃないか!”という不満に直結してしまうだろう。
「150ヤード」想定だったのに「180ヤード」飛んでしまったアイアンは、いま使うべきモデルではないはず。この先ずっとゴルフを続けていれば、いつか必ず、いま「180ヤード」飛ぶアイアンで「150ヤード」しか飛ばないタイミングがやってくるのだ。その時の選択肢としてよく飛ぶアイアンは取っておくべきである。そうすることで、「残り150ヤード=7番」という、いつもの番手別距離感が保たれる。そのためにもソールにはロフトではなく、番手表記がされていた方が違和感も少ない。個人的にはそう思うのだ。
写真に並べたタイトリストの最新7モデル。私はゴルフ人生も写真の右から左に歩いているようなものだとイメージした。今、T100アイアンで打っている理想の飛距離(例えば150ヤード)は、5年後の自分ではT300アイアンでないと打てなくなっているかもしれない。10年後はT400なのかもしれない。そんな想像をしたのである。いつまでも7番の距離を7番で打つために。アイアンは常に多品種展開になっている。