デュバルのスウィング、当時は変則。今は主流!?
1995年からPGAツアーに参戦したデビッド・デュバル。その後を追うように、1996年の8月にタイガー・ウッズがプロ転向。デュバルとタイガーのライバル関係がはじまります。
1997年にタイガーがマスターズを制覇してマネーランク1位になりましたが、デュバルは2位。翌1998年はデュバルがマネーランク1位に輝き、タイガーは4位。1999年には再びタイガーが1位でデュバルは2位とデビュー当時のタイガーとデュバルは真っ向から渡り合いました。
スウィングやスタイルも対照的でオーソドックスなスクェアグリップのタイガーに対して、デュバルは印象的なサングラス姿で極端なストロンググリップに顔の向きが目標を向くルックアップスウィングでした。
2001年には「全英オープン」と国内ツアー「ダンロップフェニックス」でも勝利しましたが、それ以降PGAツアーで優勝はできていません。当時は変則的と言われたそのスウィングを見てみましょう。
1998年のマネーランク1位に輝いたデビッド・デュバル（写真は2001年の「ダンロップフェニックスオープン」写真/南條善則）
ストロンググリップでシャットフェース
左手のナックルが三つは見えるほどかぶせて握るストロンググリップに右手はやや下から握っています。トップでのフェースの向きは空を向くシャットフェースです。写真は2001年当時のものですが、現在では多くのプレーヤーが取り入れている握り方です。
それまで、スクェアグリップで握りトップでのフェースの向きは45度というのが“常識”でしたから、こんなふうに握ってフェースもシャットでもいいんだ！ と教えられたことを覚えています。
改めてそのスウィングを見てみると、トップの位置（画像A右）で右への移動は少なく、スウィング軸をセンターにとってバックスウィングしていることがわかります。
画像A ストロンググリップでトップでフェースは空を向くシャットフェース（写真は2001年のメルセデス選手権）
切り返しでは左へ水平移動が行われます。画像Bには、わかりやすくするために左のつま先に赤い線を引いていますが、上半身は開かないまま、ターゲット方向へ移動しているのがよくわかると思います。
飛ばしの三大要素であるターゲット方向への水平移動（ホライゾンタル）、回転（トルク）、縦の地面反力（バーティカル）のうち、切り返しで水平移動を多く使っていることが特徴です。
画像B ダウンで左への水平移動を多く使う（写真は2001年のメルセデス選手権）
水平移動のあとは、フェースや腕のローテーション少なめで回転を止めずに振り抜いていきます。ダウンでシャフトが地面と平行になる位置でも左のひざが伸びきっていないことからも、縦の地面反力はそれほど使わずに水平移動と回転を重視したスウィングであることがわかりますね。顔の向きが回転に伴ってターゲット方向を向くルックアップも特徴的ですが、それにより体の回転が阻害されません。
画像C 腕やフェースのローテーションは少なく回転（トルク）を止めずに振り抜く（写真は2001年のメルセデス選手権）
強いストロンググリップで握り、回転で打つデュバルのスウィングはルックアップも含めて変則的と言われていましたが、ここに縦の地面反力をプラスすればPGAツアーで現在主流になりつつあるスウィングと言えます。その意味では、先駆者的存在だったのかもしれません。
1999年の「ボブ・ホープクラシック」の最終日の最終ホール。パー5でイーグルを獲れば逆転で勝利するという2打目を5番アイアンでイーグルチャンスにつけ、見事にパットを沈め59を叩き出し勝利を収めました。テレビで見たこのシーンは今でもこの目に焼き付いています。
2002年からは故障やスランプに陥りグリップもスクェアに変更したり試行錯誤していたそうです。1971年11月生まれのデュバルは現在48歳。チャンピオンズ（米シニア）で復活した姿を見せて欲しいですね。
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