シャフトの太さはブランドで変わる
たとえばドライバーはテーラーメイド、フェアウェイウッドはキャロウェイで、アイアンはミズノ、ウェッジはタイトリスト……といったように番手ごとに好みのクラブを取り揃えると、気がつくとグリップが番手によってバラバラ、なんてことはよくある。まして中古クラブで選んだりすると、グリップが交換されていたりもするからなおさらだ。
もちろんその状態でも使えないことはまったくない。ただ、感覚が繊細なゴルファーの中には、握り心地の違いが気になるという人も出てくるはずだ。繊細でなくても、樹脂系の硬いグリップとゴム系の柔らかいグリップがセッティングの中で混在していたりするとやっぱりちょっと気になる。
じゃあとパター以外の13本を同じグリップで揃えても、微妙〜に握り心地が違ったりする。なぜか? 「グリップ交換をする際にはシャフトの太さに注意が必要」だと千葉県佐倉市のゴルフ工房ON&OFFの桑原信明さん。
「たとえば、最近のスチールシャフトのアイアンで多く採用されている日本シャフトのNSプロ950シリーズはグリップ部の太さが、同じく代表的なスチールシャフトのダイナミックゴールドよりも太いことが特徴的です。そのため、同じグリップを装着しても太さに違いが出るんです」
アイアンはNSプロ950シリーズ、ウェッジはダイナミックゴールド、という人も少なくないはずだが、NSプロ950とダイナミックゴールドでは太さが異なるため、握り心地に変化が出るというわけだ。
「そのためグリップには58口径、60口径、62口径と厚み違うモデルが用意されているんです。同じ太さのシャフトに装着した場合、厚みのある58が一番太く感じられます。アイアンセットと別ブランドのウェッジをセッティングする場合はシャフトの太さを計測して調整する必要があります」(桑原)
ここから先は工房の腕の見せどころ。グリップとシャフトを接着する両面テープを2重に巻いたり、マスキングテープなどで下巻きをしてシャフト径を調整したり、細くするためにグリップを伸ばして装着するなど、隠れたクラフトマンの技で握り心地を揃えるのだという。
これはもちろんウッド類のカーボンシャフトでも同じ。微妙なシャフト径の違いはモデルによってあり、さらに細かく言えば右手の部分(右打ちの場合)の太さもモデルやブランドによって異なるから、その部分だけテープを2重にしたり調整する人もいる。
桑原さんによると、グリップの握り心地を揃えることはもちろん、グリップの重さで振り心地を変化させたり、細くすることでつかまりがよくしたりと、グリップで振り心地を変化させるチューニングもできるという。
たかがグリップ。されどグリップ。クラブとの唯一の接点であるグリップが手に馴染まなければナイスショットも望めないのだ。