新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、多くのプロスポーツ選手ががチャリティに参加している。日本ツアーで通算2勝を挙げた市原弘大もそのうちのひとり。彼がチャリティ活動について語ったこととは?

「社会や地域に貢献することで、プロゴルフが多くの人に認められていく」

現在、世界の各界でコロナウイルス感染拡大防止のため、あるいはコロナ禍で困窮する人々へのチャリティ活動が行われている。世界のトップミュージシャンたちのチャリティライブや、スポーツ選手たちによるチャリティオークション、映画界ではエキストラで超有名俳優たちと夢の共演を果たせるチャリティなど、その方法は様々だ。

また、世界のゴルフ界ではツアーや選手たちが地元や国の危機を救うため、チャリティ活動を行っている。

画像: ブルックス・ケプカは約1100万円の寄付をしたようだ(写真は2019年のシュライナーズ・ホスピタルズ for チルドレン・オープン 撮影/姉崎正)

ブルックス・ケプカは約1100万円の寄付をしたようだ(写真は2019年のシュライナーズ・ホスピタルズ for チルドレン・オープン 撮影/姉崎正)

ブルックス・ケプカはプレーヤーズ選手権中止早々、約1100万円の寄付をし、ジャック・ニクラス、ローリー・マキロイ、ニック・ファルド、ザンダー・シャウフェレらはチャリティオークションを実施。いかにも米国らしいところでは、PGAツアー、LPGAツアーの選手たちがオンライン上でポーカーをする「チッピング・オールイン」というチャリティもあった。所要時間は4時間半。その間、入れ替わり立ち替わり選手たちが好きなタイミングで入ってきて、ポーカーをするのを視聴者が見るという仕組みで、ミッシェル・ウィ、ナタリー・ガルビス、クリスティ・カー、リディア・コー、ジミー・ウォーカー、パット・ペレツ、コリン・モリカワ、ケビン・ナ、マックス・ホーマらが参加した。

また、PGAツアー再開に先駆け、タイガー・ウッズとフィル・ミケルソンがチャリティマッチを行うことが正式に発表された。

画像: チャリティー活動としてタイガー(左)とミケルソン(右)の第2弾「ザ・マッチ」が開催される

チャリティー活動としてタイガー(左)とミケルソン(右)の第2弾「ザ・マッチ」が開催される

2018年11月に賞金900万ドル(約9億7000万円)をかけて行われた「ザ・マッチ」では2人の一騎打ちが話題を呼んだが、今回の大会はこの第2弾。「ザ・マッチ・チャンピオンズ・フォー・チャリティ」といい、タイガー、ミケルソンの他、NFLのスーパースター(トム・ブレイディとペイトン・マニング)も共演。現在、場所と日程を調整中だという。

このように海外ではすでにチャリティ活動もかなり多岐に渡って行われているが、日本国内はどうか?プロ野球界、サッカー界などでは選手会や協会としてすでに活動を行なっているようだが、男女プロゴルフ界では協会や選手会としての発表は、ホームページを見る限り、今のところなされていないようだ。

おそらく公表はしていないものの、個人的に様々な形でチャリティ活動を行なっている人も多いと思うが、そんな中、1人のプロがチャリティ活動について声を上げた。ツアー2勝の市原弘大だ。彼はウェブサイト「スポともGC通信」の中で以下のように語っている。

画像: チャリティー活動に参加した市原弘大(写真は2019年の カシオワールドオープンゴルフトーナメント 撮影/姉崎正)

チャリティー活動に参加した市原弘大(写真は2019年の カシオワールドオープンゴルフトーナメント 撮影/姉崎正)

「この度、日本最大級の寄付サイト“READYFOR”を通じて新型コロナウイルス感染拡大防止支援へチャリティーをする事にしました。ここで集まった助成資金は、ワクチンや治療薬の研究、開発への助成、医療機関などへのマスク、防護服など物資の供給、医療従事者、影響を受けた子どもたちのサポートに活用されるそうです。(中略)今回、READY FORを通じてチャリティをした物が有効に使われ、1日でも早く日常の生活へ戻ることができることを祈念しております」

市原が寄付した”READY FOR”は、日本プロ野球選手会が立ち上げた、インターネットを通じて資金を募るクラウドファンディングで、1000円からチャリティできるというもの。名前や寄付額などは一切公表されないため気軽に行えるが、現在のところ、約2億4500万円ほど寄付金が集まっている。

トーナメントプレーヤーという職業がファンやスポンサーによって成り立つ仕事である以上、社会貢献や地域貢献、チャリティはこれからのプロスポーツ界において切り離せないことだとし、今、アクションを起こしたい、との想いで個人的にチャリティをしたのだという。一方で、このチャリティ活動が出来ない環境にいる選手(むしろ協会からの何かしらの補償を待っている選手)もいることを指摘し、「チャリティをやったから良い。やらなかったら悪いという話でもない。ただ、そんな中でもこういう活動を少しでもしたいという想いがある人は、自分ができる範囲のことを行えば良いと思う」とコメントしている。

普段はいつもニコニコと温厚で、あまりこの手の話を大々的にアピールするようなタイプではない市原が、今回こうして発表したのには理由がある。コロナウイルス感染拡大によって試合の中止が続く厳しい状況の今、プロスポーツの置かれた立場をもう一度考え直した彼は、スポーツには社会貢献や地域貢献が不可欠であり、スポンサーにとっても、トーナメント開催が社会貢献につながるのであれば、開催の意味もより鮮明に出てくると主張。つまり、社会貢献はスポーツ選手の使命であり、ゴルフのトーナメントを開催することで社会貢献ができるのであれば、企業のイメージアップにもつながり、昨今のスポンサー離れも食い止められるのではないか、との想いもあるからだ。

「協会は選手のために、選手は社会のためにという動きが、今までよりしっかり出来て、また社会にその動きが、しっかりと伝わることで、ゴルフというスポーツがより多くの人に認められていくことが出来ればな、と思います」

先日市原から、寄付に対する考えをまとめた文書が届いた。各所に気を遣いながら、言葉を慎重に選び選び書いた、市原らしい熱い想いが込められたものだった。「ぜひメディアの皆さんに広めて欲しい」とのことだったので、各媒体に拡散。新聞やオンラインメディア、そしてJGTOの公式ホームページで、早速記事化して頂いた。それを読んだゴルフファンや選手たちも市原の考えや想いに触発され、チャリティを行った人も少なからずいると聞いている。

前述のように、市原は決して自分の活動を声高にアピールするような人物ではないので、普通ならチャリティしたこと自体、発表などしないだろう。だが、今回このように敢えて発表したことで周囲の人々を動かしたことは事実である。これをきっかけにチャリティや社会貢献の輪がゴルフ界にもさらに広がることを期待したい。市原の言うように、スポーツは社会貢献とは切り離せないものであり、スポーツの持つ力、影響力は大きい。1人では無理でも、そのパワーを結束させれば、国難を救う一助になることだってできるだろう。

今、市原は試合が開催される日に備えて、練習やトレーニングを積みながら、自分にできる社会貢献や今後のツアーのあり方をじっくり考え、静かに日々を送っている。

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