重さや硬さを変えると、同じスウィングテンポで振れなくなるかも
ドライバーにネック調整機能が装着されたことでシャフト交換のハードルは下がり、カスタムするゴルファーも増えた。実際、純正シャフトから自分にぴったりなカスタムシャフトにリシャフトして、飛距離を伸ばした、曲がりが減ったという経験をしているゴルファーは少なくないはず。
しかし気を付けなくてはならないこともあると、栃木県佐野市でゴルフショップ「アフターゴルフ」を営むクラフトマン、佐藤順さんは言う。とくに、ショップなどでシャフトをあれこれ試す際には注意が必要だと指摘する。
「ショップで計測すると、つい面白がって飛距離を求めがちです。とくに軽いシャフトを試打するとヘッドスピードが上がり飛距離も伸びる傾向にあります。しかし、重量やしなり方はスウィングテンポに大きく影響を与えますので、実際にコースで打ってみると思ったような結果が出ないことが起こります」(佐藤)
上級者やプロはアイアンからドライバーまで同じテンポで振ることができるからこそ、どのクラブでも一定のスウィングができる。同じテンポで振るには、一番重くて短いウェッジから一番長くて軽いドライバーまでの重量やバランスが大切で、ドライバーだけ極端に軽かったりすると、それが難しくなってしまうというわけだ。
「重量のあるスチールシャフトのアイアンを使っていてゆっくり振る人は、ドライバーで軽量シャフトを使うとテンポが速くなってしまいスウィングが安定しなくなったりします。速いテンポの人であっても軽くしすぎると他のクラブとのタイミングが合わなくなることもありますね」(佐藤)
そこで、佐藤さんは得意なアイアンとドライバーを交互に打ってもらい、その人本来のテンポで打った際の数値を計測するようにしているんだとか。飛距離を求めてドライバーばかり打ってしまうと、たしかに1発の飛距離の数値はよくなるものの、他のクラブとのバランスが崩れてコースではスコアに結びつかないことが多いと話す。
コースでドライバーを打つのはOBや打ち直しがなければ多くて14回。他のクラブと同じようなテンポで打てることでラウンドを通してのスウィングが安定するのは間違いない。もちろん軽量シャフトが悪いわけではないし、今使っているものより軽くして全体のテンポが揃うということも十分にあり得る。
計測室でドラコンホール ばりにマン振りしてドライバーのシャフトを決めるのではなく、信頼できるショップやクラフトマンとともに、14本のマッチングを考えながらシャフトを決めれば、飛距離にも、スコアにもつながるだろう。