ドライバーやアイアンなどのスウィングするクラブと同様に、パターでもアッパーブローでインパクトするのか、それともダウンブローで打つのかによって差が出てくる。それぞれ、いったいどんな違いがあるのか? 24時間ゴルフのことを考えている“ゴルフバカ”で、シングルハンディの腕前を持つイラストレーターの野村タケオが2つの打ち方を実際に試し、違いを確かめてみた。

パター巧者のプロでもイメージは真逆

みなさんこんにちは。ゴルフバカイラストレーターの野村タケオです。「パットイズマネー」なんて言葉があるように、ゴルフというのはパットが入らないと最終的にスコアにならないわけです。

プロの場合はまさにマネーに繋がるわけで、そこに生活がかかっているのですが、僕たちアマチュアも生活こそかかっていないものの、パットの出来によってスコアが大きく変わります。

いくら良いショットをつないでもパットが入らなければスコアはボロボロになるし、気分も悪い。ではどう打てばラインに乗りやすくて入りやすい球が打てるのでしょうか? 週刊ゴルフダイジェスト5/5号の「パットの悩みぜんぶ解決」という記事で、ツアー屈指のパット巧者である時松隆光プロと香妻陣一朗プロのパットレッスンが載っていましたのでさっそくやってみることにしました!

画像: 週刊ゴルフダイジェスト2020年5/5号に掲載されていた特集記事「パットの悩み ぜんぶ解決」のパットレッスンを実際にやってみた

週刊ゴルフダイジェスト2020年5/5号に掲載されていた特集記事「パットの悩み ぜんぶ解決」のパットレッスンを実際にやってみた

時松プロと香妻プロ、ともにパット巧者なのですが、実は二人のパッティングスタイルはかなり違うんです。時松プロは「ライジングパット」と呼ばれるスタイルで、パターフェースの芯よりも少し下の部分でヒットし、ボールにオーバースピンをかけるイメージで打っているんです。

対する香妻プロはインパクトで手が浮かないことを意識して、ややダウンブローにボールをとらえるイメージだとか。アッパーブローとダウンブロー……パット巧者と呼ばれる二人の意見がまったく逆と言ってもいいようなスタイルというのは驚きです。

実際に二人ともパットが上手いわけですから、どちらも正しいと言えるのでしょうが、ぼくたちアマチュアはどちらを選べばいいのでしょうか? これは試してみるしかないですよね。

アッパーブローのイメージはアマチュアには意外と難しい?

まずはアッパーブローで打ってみます。

アッパーブローの注意点はヘッドがストローク中の最下点を少し過ぎたところでインパクトし、ボールに順回転をかけるつもりでアッパーにストロークすること。そしてアドレス時の両腕とパターでできた「Y」の字をキープしたまま、左ひじを少し抜くような感じでフォローまでヘッドを上昇させていくこと。

画像: アッパーブローで打つ場合は、インパクトからは腕とクラブでできた「Y」の字を崩さないように左ひじを抜いていくのがポイント

アッパーブローで打つ場合は、インパクトからは腕とクラブでできた「Y」の字を崩さないように左ひじを抜いていくのがポイント

さっそくアッパーブローのイメージで打ってみましたが、たしかにボールに順回転がかかりやすく転がりがいいような気がします。ただ、なかなかインパクトが安定しません。芯の少し下でインパクトするとのことですが、けっこう当たる場所が上下します。

またインパクト時に少しハンドレイト気味になるときがあり、そうなった場合は転がりが不安定になるし、転がりも弱くなるような気がします。しっかりとアドレス時と同じくらいのロフト角でインパクトして、フォローもそのままフェース面を変えないようにするのがコツだと思いました。

画像: アッパーブローで打つ場合は、両手首の角度に注意。左手首が手のひら側に折れたり(左)、逆に右手首が手のひら側に折れてしまい(右)、転がりが安定しなかった

アッパーブローで打つ場合は、両手首の角度に注意。左手首が手のひら側に折れたり(左)、逆に右手首が手のひら側に折れてしまい(右)、転がりが安定しなかった

今まであまりやったことがない動きなので、ストローク中に少しヘッドがぶれてしまうので、安定してインパクトするには練習がかなり必要なんじゃないかと思いますね。でも女子ツアーで平均パット数1位になったこともある鈴木愛プロもアッパーブローで打っていますから、これが習得できればかなり入る確率が高くなるのではないかと思います。

ダウンブローは右手の感覚が出しやすかった

次にダウンブローも試してみます。

ダウンブローで注意するべきことは、打ち終わるまで絶対に顔を上げないことと香妻プロは言っています。これはアッパブローでもそうだと思うのですが、とくにダウンブローの場合は少しでも顔が上がると狙った方向に打ち出せないとのこと。打った後もずっとボールがあった場所を見続けるくらいのほうがいいようです。

画像: ダウンブローで打つ際は、打ち終わるまで絶対に顔を上げないよう注意しよう。筆者の場合はゆるやかなダウンブローでボールをとらえ、フォローもアッパーブローよりは低いイメージでストロークすることで転がりが安定した

ダウンブローで打つ際は、打ち終わるまで絶対に顔を上げないよう注意しよう。筆者の場合はゆるやかなダウンブローでボールをとらえ、フォローもアッパーブローよりは低いイメージでストロークすることで転がりが安定した

そしてストローク中はアドレス時の右手首の角度をずっとキープしておくこと。右手の感覚を大事にしてパットするので右手のひらでフェース面を意識して、自然なイン・トウ・イン軌道でストロークするのがいいようです。

ダウンブローのイメージで打ってみましたが、これは僕的にはなかなかいい感じでした。まず利き腕の右手で感覚を出しやすいし、ボールをしっかりと押し込んでいけるような感じがしました。もともと僕が右手でイメージを出しているからってことも大きいでしょうが。

ダウンブローと言ってもあくまでも緩やかなダウンブロー軌道で、急激なダウンブローになると逆に転がりが安定しなくなりました。右手首をイメージすることで方向性はかなり良いように思います。

ダウンブローといえどもフォローではヘッドは上昇していくわけで、あまり低く抑えようとすのも良くないのかなと。もちろんアッパーブローよりはヘッドの上昇は穏やかですが。顔を上げないという意識はとても大事ですね。インパクトで顔が少しでも上がるとインパクトが弱くなるし、安定感もなくなります。練習では意識すればできるのですが、ラウンド中はかなり意識しないとできないような気もします。

画像: ダウンブローで打つ場合は、インパクト時に顔が上がるのは絶対にダメ(左)。右手首の角度をキープしたままストロークすることを心がけよう(右)

ダウンブローで打つ場合は、インパクト時に顔が上がるのは絶対にダメ(左)。右手首の角度をキープしたままストロークすることを心がけよう(右)

ではアッパーブローとダウンブロー、どっちのスタイルがいいのか? どっちが正しいということではないと思うのですが、合う合わないは確実にあると思います。ダウンブローのほうがパチンとインパクトする感じがするので、少しタップ式のパッティングスタイルなのかなと思いました。

パターのヘッド形状やインパクトのイメージなどでどちらのスタイルが合っているのかが分かれると思うのですが、一度両方とも試してみるといいんじゃないでしょうか。もちろんパッティングスタイルはこの2つのスタイルだけではないと思いますが、両方試すことで、新しい発見もあるかもしれません。

僕はパターにダウンブローのイメージはなかったのですが、今回やってみて結構いいかもと思ったので、今後のラウンドで少し取り入れてみようかと思います。

画像: 人生最高の打感体験!ジャーマンステンレス製の削り出しパター、実力は? youtu.be

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