飛び系アイアンの流行で、アマチュアゴルファーにも必要になってる?
ここ10年余りで、48度前後のウェッジのニーズは大きく高まった。以前はラインナップされていても、52度や58度に比べて影が薄く、人気もなかったが、近年は入れる人、興味を持っている人が増えてきている。
PGAツアーでは、アイアンセットのPWを抜いて、46〜48度のウェッジを入れる選手が多くなってきている。アイアンセットのPWよりもウェッジ形状のほうが、より距離やスピン量をコントロールしやすいためだ。この番手で150ヤード近い距離を打つ彼らは、それよりも短い距離を他のウェッジと組み合わせながら、コントロールして打ち分けている。
アマチュアゴルファーの間での流行は、海外ツアープロの動向とはあまり関係がなく、おそらく飛び系アイアンが急速に広まってきたためだろう。ロフト角は年々ストロングになってきていて、今年の新モデルでは、7番のロフト角は、ダンロップ「ゼクシオ11」で28度、キャロウェイ「マーベリック」が27度、テーラーメイド「SIM MAX」が28.5度だ。今や、多くのモデルがストロング化していて、30度を超えると「寝ている」と感じてしまうほどだ。
当然、PWも41〜44度くらいが主流になる。ウェッジ2本の組み合わせが52度&58度なら、PWとの間に、どうしても1本欲しくなるというわけだ。ロフトを立てておいて、下にもう一本入れるなら、同じことじゃないかと思われるのも無理はないが、短い距離を打ち分けるには、1本入れてギャップを埋めたほうが簡単だ。
それに現代のアイアンは同じロフト角であっても、モデルによって、弾道の高さ、飛距離、バックスピン量などがまるで違っている。ロフトが寝ている割に飛ぶアイアンもあれば、ロフトが立っているのに、より上に上がりやすいアイアンもある。飛距離がロフト角だけでは計れなくなっているのだ。
「ロフトが立っているから、飛ぶのは当たり前」という批判は、ある一面の真実ではあるものの、現代のアイアンを使いこなすなら、いささか周回遅れの感は否めない。ロフト角にとらわれず、自分にとって必要な距離と高さが出るアイアンを選びたいところだ。
ウェッジ選びでも同じ問題が存在していて、同じロフト角でも同じようには飛んでくれない。例えば、アイアンセットのAWが48度だったとして、48度のウェッジと飛距離を比較すると、まず同じにはならない。一般的には、同じロフト角なら、アイアンセットのPWやAWのほうが、単品ウェッジよりも飛ぶ事が多い。全てが飛ぶわけではなく、アイアンの中には、ソール幅が広い低重心設計のため、上に上がって飛距離が出にくいモデルもある。単品ウェッジが飛ばないのは、バックスピンがより入りやすく、揚力が大きくなるためだ。
48度ウェッジは、ややアイアンの流れでフルショットしたいし、距離もそれなりに出て欲しい。しかし、アイアンセットの流れだと、ボテッとしすぎていてコントロールしにくいと感じるゴルファーもいるだろう。48度はコントロールしたり、人によってはグリーン周りで使いたいので、操作性もある程度欲しい。
一方、単品ウェッジはマッスルバックやハーフキャビティの流れで作られているものも多く、小ぶりでシャープなものが大半だ。これは意外と使いこなすのが難しい。かつては、PWやSWはアイアンセットに含まれているものを使用したものだった。現代は、ツアープロが愛用するような単品ウェッジでアプローチしているわけで、以前よりも難しくなった側面がある。
というわけで、操作性があって、少しアイアンセットの流れで打てる48度前後のウェッジを紹介したい。やさしさを重視するなら、やはりアイアンセットの流れがいい。ピンはPWの下にUWという番手があり、1本から買えるメリットがある。よりやさしく、かつ飛距離が期待できるのは「G410」(49.5度)と「i500」(49度)。操作性を重視するなら、「iブレード」のPW(46度)か「i210」のUW(50度)がおすすめだ。
タイトリストのアイアンも、最近はPWの下にWという番手をラインナップしている。「T100・S」と「T200」、「T300」は48度なので、このあたりは扱いやすく、適度な飛距離も期待できる。単品ウェッジより1回り以上大きく、アイアンっぽい形状だ。同社の単品ウェッジと比較すると、やはり、スピンの入り方もヘッド挙動も微妙に違う。
筆者は本間ゴルフの「TW747vx」の11番(49度)という番手を購入してみた。これというものが見つけにくい番手だけに、自分にハマるものがあれば、100y強の距離で武器になってくれそうだ。