毎年4月の第2週に開催されるゴルフの祭典「マスターズ」(2020年は11月に延期)。すべてのホールが記憶に残る開催コース・オーガスタナショナルGCの中でも、12番のパー3は世界一有名なパー3とも呼ばれる名物ホールだ。距離は短いもののマスターたちを苦しめる難易度の高いこのホール、一体どう攻めるのが正解か?

最難関パー3を切り抜けるためには?

オーガスタナショナルGCの12番ホール、パー3は155ヤードと距離が短く、コースに4つあるパー3のなかでもっとも短いホールだが、もっとも難しいともいわれている。

画像: 奥からティ方向を見ると奥行きの狭いグリーンの幅がよくわかる

奥からティ方向を見ると奥行きの狭いグリーンの幅がよくわかる

2016年の連覇がかかったトーナメントリーダーのジョーダン・スピースは、このホールで2度池に入れ、手に入れるはずだった2着目のグリーンジャケットをダニー・ウィレットに着せることになったことは記憶に新しい。ではなにがこのホールをそこまで難しくしているのか?

一つはレダンと言われる設計手法だ。グリーンがティに対して横長で奥行きのないグリーンの右サイドが遠く、左サイドが近くなるように斜めに配置するレイアウトのことだが、オーガスタの場合手前にクリークが流れているのがポイント。

これにより、右打ちのプレーヤーがスライス系のボールで攻めようとした場合、少しスライス回転がかかりすぎると、グリーン手前の傾斜を転がり落ちてクリークにつかまってしまう。それを嫌ってつかまり過ぎると、グリーン奥のバンカーから下り傾斜でその先にクリークが待ち受けるグリーンに打つ、超難度のアプローチが待ち受ける。グリーン奥のつつじの木の間から、名手が苦心して寄せるシーンもよく見られる。要するに、スライスもだめ、フックもだめ、ショートもダメ、オーバーもダメなのだ。

二つ目の要素は風。二つの隣接するホールからの風が、グリーン奥の土手や高い木に阻まれグリーン上で舞う。グリーン上での風の影響は思っているよりも強く、マスターたちを悩ませる。155ヤードと短く、出場するプレーヤーにとってはショートアイアンで打つ距離であることで、より風の影響を受けやすくなり、かえって難易度を上げている。

風を読み切り、その上でミスなく打つことが求められる上、技の限りを尽くしても、最後はオーガスタの魔女のさじ加減ひとつで歓喜と絶望が交錯する。それがこのホールの特徴であり「祈るしかない」と言われる難所“アーメンコーナー”のひとつに数えられる理由だ。

さて、マスターズ最終日は決まってピンは右サイドに切られる。距離は155ヤードだ。この状況、あなたならどう攻めるだろうか? マスターになった気持ちで、以下の選択肢から選んでもらいたい。今回はマネジメントだけで攻略できるホールではないため、スウィング中どこにフォーカスすべきかが問題だ。選択肢はどれもスウィングの重要な要素。とくに気をつけたいことをお答えいただきたい。

画像: 最難関パー3を切り抜けるためには?

あなたはオーガスタの12番のティにいます。スウィング中、どこに気をつけるべき?

  • ドロー、フェードなど球筋を決めて打つ
  • 手打ちにならないよう、下半身の回転で打つ
  • スウィングテンポに集中して打つ
  • しっかりダウンブローに打ち込んでスピンの効いた高い球で攻める
  • ドロー、フェードなど球筋を決めて打つ
    18
    88
  • 手打ちにならないよう、下半身の回転で打つ
    15
    71
  • スウィングテンポに集中して打つ
    53
    255
  • しっかりダウンブローに打ち込んでスピンの効いた高い球で攻める
    14
    68

正解は、スウィングテンポに集中して打つ

なぜこの答えが正解なのか? 出題したプロゴルファー・中村修は、「この状況で気をつけなくてはならないのは、難易度の高いプレッシャーへの対処法」だという。

「私もプレーしたことがないのでまったくの妄想ですが、過去の文献や映像、実際にプレーした経験のある人にも話を聞いたところ『風がなかったから普通に乗せられた』というアマチュアゴルファーのひと言でピンときました。世界のトッププレーヤーやキャディでも風を読み違えるほどの難ホールです、このようなプレッシャーがかかる状況ではスウィングテンポは崩れやすくなります。プレッシャーを抱えた状態から目の前の一打に集中するための方法として、自分の持ついつも通りのスウィングテンポに集中することでスムーズに振り抜くことができる。従って、スウィングテンポに集中して打つが正解です」(中村)

確かに普段のラウンドでも風や距離感、ライや池、OBなどの様々な考慮すべき状況の中で、プレッシャーや迷いを持ちながら打つと中途半端なスウィングになり、結果的にミスショットになるケースは多い。そういう場合の対処法としてテンポに集中することを勧めると中村はいう。

「たとえば、チャー・シュー・メン、やワン・ツーのように自分のスウィングのテンポをあらかじめ決めておきます。とくにプレッシャーがかかる場面では自分のテンポに集中してスウィングをすることでいつも通りのスウィングができるようになり、ミスを回避することにつながります」(中村)

11月に延期されたマスターズは、風向きや気温、湿度など気象条件は4月とはまるで違うはず。最終日の優勝争いの中、12番ホールではどんなドラマが待っているのだろうか。

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