ラフからのショットで起きやすいのが、想定以上の飛距離が出てしまう「フライヤー」だ。フライヤーはなぜ起きるのか。仕組みから、フライヤーが起きる状況でどう打つかまで、まとめて解説。

フライヤーとは?

コース攻略のためには各番手でどれくらい飛距離が出るのかを把握しておくことが重要で、想定より飛ばない場合はもちろん、逆に飛び過ぎてもマネジメントの算段を立てづらくなってしまう。

しかしながらコースでのプレーでは、普段と同じようにスウィングをしたとしても想定以上の飛距離が出てしまう場合がある。この現象を「フライヤー」という。とくにグリーンを狙うショットを打つ場合は、フライヤーしてしまうとオーバーの危険があるので対策が必要となる。

画像: 外的要因で想定以上に飛距離が伸びてしまう現象をフライヤーと呼ぶ

外的要因で想定以上に飛距離が伸びてしまう現象をフライヤーと呼ぶ

フライヤーの原因は? どんなときに起きる?

スウィングに変化がないにもかかわらずフライヤーが起きてしまう原因は、外的要因でバックスピン量が想定よりも減ってしまうため。スピン量が減ることでキャリーが伸びるだけでなく、ボールが止まりづらく、地面に落ちてからのランも増えてしまうというわけだ。

具体的に、フライヤーが起きやすいシチュエーションは大きく2つある。まず、ラフから打つ場合。短く刈られたフェアウェイに対しある程度芝が伸びているラフでは、インパクトの際にボールとフェース面の間に芝生が挟まりやすい。その結果、スピンがかかりづらくなってしまう。よくいわれることだが、ボールとクラブの間に1本でも芝が挟まれば、スピンは減る。

画像: ラフからのショットではフライヤーが起きやすい

ラフからのショットではフライヤーが起きやすい

もちろん、ヘッドとボールの間に挟まる芝の量が多いほどスピンはかかりづらくなり、フライヤーしやすい状況と言える。ラフと一口に言ってもその深さや芝の密集度合いはコースやプレー時期によって異なるが、とくに夏場は芝の成長が早く、長く生い茂っている場合が多いので注意が必要だ。

速いヘッドスピードで振り切れるゴルファーほど、ラフからのショットではフライヤーが起きやすい(逆にヘッドスピードが遅い場合は、芝の抵抗に負けてフライヤーとは真逆に飛距離が極端に落ちることがある)。

もう1つ、雨が降っている場合もフライヤーが起きやすい状況と言える。水滴やぬかるんだ土がフェースの溝に入りこむことでスピンがかかりづらくなってしまうためだ。

画像: 雨でフェース面が濡れているとスピンがかかりづらく、フライヤーしやすい

雨でフェース面が濡れているとスピンがかかりづらく、フライヤーしやすい

雨の日は、ただでさえ抵抗の強いラフがさらに重くなってしまうし、フェアウェイでもフライヤーが起こる場合があるので注意が必要だ。ショット前後にフェース面の水分や汚れを拭き取り、なるべく雨の影響が少ない状態で打つことを心がけよう。

フライヤーしてもいい状況もある

前述したように、グリーンを狙うショットを打つ場合はフライヤーによってオーバーしないように気を付けたいところ。一方、グリーンまでまだ距離がある場合はフライヤーを活用することもできる。

たとえば、距離の長いパー5のティショットを深くはないラフに入れてしまった場合などは、続くセカンドショットでもなるべくグリーンに近づけたいケースが多い。こんな状況では、フライヤーがプラスに働くだろう。飛距離を稼げるし、低スピンなので風の影響も受けづらいショットとなる。

ただ、基本的にはフライヤーは“気をつけるべきもの”であることを忘れずに。

フライヤーしやすいラフからの注意点

ではグリーンを狙うショットを打つ際に、フライヤーが起きてもグリーンをオーバーしないためには注意すべき点とは何だろうか。

ショット前にまずチェックしておきたいのが、ラフの長さだ。

ボールの約3分の1が隠れる程度の浅いラフならば、フライヤーの影響はほぼないといって良い。ボールの芯がある赤道付近まで芝生がかからなければ、インパクトの際に芝生が噛むこともないからだ。

逆に、ボールの半分程度が埋まる=ボールの赤道に芝がかかる長さのラフでは、フライヤーを考慮に入れるべきだ。フライヤーによるスピン量の減少は避けづらく、基本的にランは出てしまうものと考えよう。

フライヤーが起きそうな場合は、芝が挟まる量やスウィング時の抵抗をできる限り減らすため、ボールがある高さを真横に払い打つイメージで打とう。ゆるやかな入射角で、レベルに打つのが基本的な攻略法だ。

グリーンを狙う際は、ショートアイアンやウェッジなど、ロフトの寝ているクラブを使おう。高さを利用してランを少なくすることができるからだ。ランによってグリーンをオーバーしないように、残り距離はグリーン手前のエッジを目安に測り、通常より1~2番手下のクラブを選択するのがベター。

ボールの赤道の高さよりラフが長くなればなるほど、インパクトで芝が挟まる度合いも増し、よりスピンがかかりづらく、高さは出しづらくなっていく。ボールの3分の2程度が隠れる長さのラフでは、ドライバーでのヘッドスピードが40m/sほどのゴルファーだと、ショートアイアンでもドロップする危険も出てくるだろう。

ボールの頭しか見えないほどすっぽりと埋まってしまう深いラフの場合は、ロフトが寝ているクラブでもボールを高く上げるのは難しく、芝の抵抗もより増えて打球の予想がしづらい。グリーン周りの状況を見て、脱出をメインに考えよう。

脱出を選択する場合も、緩やかな入射角でレベルに振るのが基本。クラブを短く握り芝を擦るようにサラッと振り抜くように打とう。

ラフからのショットは練習自体が困難なため対策しづらいが、フライヤーについて正しく知っているのとそうでないのとで、マネジメントは大きく変わる。知識をしっかりと頭に入れておくことで、コース攻略の助けとなるだろう。

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