緊急事態宣言下で、ゴルフ場やゴルフ練習場は休業しているとこもあれば、感染対策を行って営業しているところもある。実際にゴルフトレンドウォッチャー・コヤマカズヒロがゴルフ練習場に行き、その様子をレポートした。

新型コロナウィルスの流行に伴う、外出自粛ムードの中ではあるが、GW中にゴルフ練習場に行ってみた。

3Fまであるその練習場は、この4月、平日でも一杯で、待ち時間が必要なほど賑わっている。近隣で休業している練習場も少なくなく、営業しているところは結果的にさらに混雑しているようだ。その日は幸い、待ち時間なく利用出来たが、打席は9割がた埋まっており、どこにもいけないGWに、少し外の空気を吸いたい人も多いのかな、などと思った。一方、連休の割に混雑していないことから、練習場に来るのをあえて自粛した人が一定数いることも察せられた。

ゴルフ練習場が盛況なのは、緊急事態宣言が出た4月初頭、休業要請する施設から屋外の練習場が除外されたためだろう(※東京都の場合)。これによって、「ゴルフは大丈夫」という空気がなんとなく醸成された。ちなみにインドアレッスン場は、換気の悪さや人が密集しがちという観点からか、使用停止の要請の対象になっている。

もちろん、練習場も闇雲に営業しているわけではない。手指用のアルコール消毒の設置はもちろん、ボールを入れるためのカゴをはじめ、施設内をこまめに消毒している他、フロントにビニールカーテンを設置したり、利用者にマスクの着用を義務づけたり、営業時間を短縮したりと、おおよそ出来そうな対策はほぼ採られている。また、県外からの流入など、遠方からの来場を防ぐため、既存会員のみ利用可能としている練習場もある。

画像: 注意書きを掲示しているゴルフ場やゴルフ練習場もある

注意書きを掲示しているゴルフ場やゴルフ練習場もある

筆者が利用した練習場でも、利用者はほぼ全員がマスクを着用していた。もっともその日は温度が高かったこともあり、途中で取ってしまう人も多かったが。洗面台では長時間に渡って、執拗に手を洗っている人もいて、「そこまでするなら、家にいればいいのに」とも感じたが、総じて各々が予防に励みながら利用していたと思う。

練習場同様、ゴルフ場も少なくないコースが休業しているが、一方で引き続き営業しているところも多い。季節的にもゴルフシーズンということで、関東近郊のゴルフ場は、連日非常に多くのゴルファーで賑わっていて、予約を取るのに苦労するところもある。あるゴルフ場では、日中の予約はもちろん一杯で、午後からのハーフプレーに平日でも100人以上が訪れたという。ここでも「ゴルフは大丈夫」という空気があるようだ。

1日100人単位のゴルファーが毎日来場するゴルフ場が、関東だけで何百コースもある割に、2月と3月に1件ずつ感染者が出て以降、ゴルフ場で表立って感染者が出たケースはない。また、集団感染と言われる状況も今のところ起きていない。これは、当初から言われていた、「ゴルフは比較的安全」という説を裏付けるのと同時に、各コースの予防対策の賜物だろうと思う。余談だが、その点から言えば、先日ゴルフ場で具合が悪くなったという某タレント氏の一件は残念だった。

最近では、R&AやIGFといった国際的団体が、ゴルフ場営業の際の指針を出しており、その内容はバンカーレーキの不使用や旗竿やスコアカード、ゴミ箱など撤去、レストランの閉鎖や現金決済の不可など、なかなか厳しい提案になっている。感染を防ぐという強い意志を感じるとの同時に、よく読むと、ゴルフ自体はソーシャルディスタンスの概念に一致したスポーツなのだという主張も見える。

画像: ゴルフ場ではバンカーレーキを撤去するなど、感染対策を行っているようだ

ゴルフ場ではバンカーレーキを撤去するなど、感染対策を行っているようだ

一方、ゴルフは遊び、いわば不要不急の外出ということで、懸念を示す人は少なくない。酷いケースになると、ゴルフ場近くで県外ナンバーの車が嫌がらせされたというウワサも耳にする。万万が一にも感染者や死者が出てしまう可能性がゼロではない事を考えると、心理的な不安を拭えない人もいるだろう。

ゴルフ場や練習場には、「こんな状況の中、なぜ営業しているんだ。人が死んでもいいのか」というクレームの電話がかかっているというから驚きだ。ゴルフ場で働いている人にとっては、“仕事”であり、働かなければ生活することは出来ないし、運営しなければゴルフ場は存続できない。その意味では、紛れもなく生きるための道なのだが、どちらが命を大事にしているかとなると、これはもう答えの出ない難しい問題だ。実際、ゴルフ場スタッフの中から不安の声が上がることもあるという。

GW初日には、営業していた河川敷練習場がヘリコプターで空撮され、人が集まっている、いわゆる“密”の状態として、テレビで放送された。「かなりの人手です、マスクをしていない人もいます」と煽るニュースに嫌な思いをしたゴルファーも少なくないだろう。

少し前はライブハウス、最近ではパチンコと、テレビでは悪者探しが必要のようだが、公共の電波を使って、一事業者を吊し上げにするのはいかがなものだろうか。この河川敷練習場は、昨年の台風と豪雨被害で冠水し、壊滅的な被害を受けている。暖かくなり、やっと本格的な営業ができる段になって、今回の件もあって、GW中の休業を余儀なくされてしまった。

どうするのが正しいあり方なのか、未曾有のコロナ禍の中で、答えを出すのは難しい。各々が他人の生活を思いやりながら、良い方法を見つけたいものだ。

画像: 人生最高の打感体験!ジャーマンステンレス製の削り出しパター、実力は? youtu.be

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