ボールによってスピン量や打ち出し角は大違い
ゴルファーならだれでも1ヤードでも遠くへ飛ばしたいと思うもの。その願いを叶えるため、新作ドライバーを試し、さらには自分に合うシャフトを探したくなるものだ。
純正シャフトよりさらにぴったり自分にフィットするシャフトを見つけるためには、ネットの情報を集めたり、ショップで試打するのがセオリーだが、その際に「気を付けたいのはシャフトとヘッド、さらにボールとのマッチングです」と栃木県佐野市のアフターゴルフのクラフトマン佐藤順さんは言う。
「飛びの三大要素は、スピン量、打出し角とボール初速であり、その人のスウィングによって最適な数値を見つけることが飛距離アップにつながることはご存じの通りです。そのために各メーカーは様々なスウィングタイプを想定してラインナップを充実させています。ここで気を付けたいのはシャフトとヘッド、さらにボールとのマッチングです」(佐藤)
佐藤さんによると、試打ブースのボールと普段の使用ボールとの違いを考慮することが重要だという。ショップの試打ボールが、自分のエースボールと同じであるとは限らず、たとえばプロが使用するスピン系のボールとアマチュア向けの飛距離重視型のボールではドライバーの場合500回転くらいスピン量が変わることもあるという。
「まったく同じ銘柄ではなくても普段使っているボールと同じタイプのボールを使って試打をしてほしいですね。スピン量が多すぎて飛距離をロスしている人は、シャフトではなくボールを変えるだけで飛距離アップして曲がりも抑えられる可能性は大いにありますから」(佐藤)
最近の試打では弾道計測器で数値を測りながら行うのが常識。だからこそ、「なぜ、そのような数値になったか」はしっかりと確認する必要があるわけだ。
さらにもう一つ、計測器のデータを見る際の注意点も教えてくれた。俗に飛ばしの三要素と呼ばれるのはボール初速、スピン量、打ち出し角だが、これはあくまでも三者のバランスが重要なのであって、プロの数値を“正解”と考えるのは危険だというのだ。
「ヘッドスピードが50m/sもあるプロの打出し角やスピン量を40m/sに当てはめても飛ばせません。プロはバンカーや池を越えるためにキャリーで何ヤード飛ばせるのかを重視しますが、ヘッドスピード40m/sの人がキャリーを求めて打出し角だけを高めても、ランが減って飛距離が伸びないことも。ヘッドスピードに合わせた最大の飛距離を探すことが重要です」(佐藤)
たとえば、ヘッドスピードが速くてスピン量の多い人なら、スピンを減らすのは飛距離につながる。一方、ヘッドスピードが遅めで打ち出しが低い人なら、打ち出し角を高めることがキャリー増につながる可能性は高い。そういうタイプの人は、低スピン過ぎないほうが弾道が安定するかもしれない。
ボール初速は高ければ高いほうがいいが、スピン量、打ち出し角の最適値は“人によって違う”ということだ。なので、たとえばとにかくスピンがすくないほうがいい! 打ち出し角の数字が大きければ大きいほうがいい! と考えないほうがよいようだ。
まとめると、まずは普段の使用ボールと試打ボールの違いに注目すること。そして、できればエースボールに似た特徴を持つボールで試打ができたらベスト。そのうえで、飛びの三要素に注目し、プロの数値は気にせずに、自分のヘッドスピードや持ち球がもっとも活かせるスピン量、打ち出し角が出せるシャフトを探すのがベスト。その意味では、現在のエースシャフトと同じヘッドで比較できれば、そうするのが良さそうだ。