目土の上に乗ったライからのアプローチ
ラフからのセカンドを上手く花道へ運んだものの、行ってみると目土の上!せっかくのナイスショットが台無しだ。エッジまで15、ピンまでは30ヤード。ボールからはグリーン奥までずっとゆるやかな上り傾斜になっている。ここからピンに寄せて2打で上がればパーだが、言うまでもなくボギーでしのげれば十分。
この状況で考えるべきは、とにかくグリーンに乗せるということだろう。上手く打とうとして“ちょいダフリ”になっただけで飛距離は大幅に落ち、グリーン手前にショートすることは明らかだからだ。ここで問題。この状況から、どんなクラブでどんな打ち方を選択するのがもっとも怪我が少ないだろうか?
エッジまで15ヤード、ピンまで30ヤード、ピンの奥まで軽い上り傾斜……こんなときどうやって打つのが正解?
正解は「UTで手前から転がし上げる」。なぜこの答えが正解なのか。出題したプロゴルファー・中村修が重視したのは「ミスを排除しノンプレッシャーで打てること」。
目土の上に乗っているボールを打つ際は、わずかなダフリも許されず、かといってトップをすればグリーン奥へまっしぐらと正確なインパクトが求められる。そこでダフリやトップの心配を極力排除するためにUTの選択を勧めると中村。
「目土の上にあるボールを打つ場合SWやAWのバウンスの効果は期待できず、クリーンにコンタクトする必要があります。しかし、ロフトのあるクラブで正確なインパクトを実現する難易度は非常に高い。そこで多少ダフっても滑ってくれて、ミスにならないUTを使ったランニングアプローチであれば大きなミスを防げます」(中村)
グリーン手前からのランニングアプローチであれば8番や9番を選択するのでは? という疑問が残るが、なぜUTを勧めるのだろうか?
「もちろん、普段から8番などで転がすアプローチを多用し使い慣れているのではれば距離感や転がりの強さが身についていると思いますのでそれで構いません。しかし、UTを選ぶ理由はダフリに強いこと、適度なキャリーと転がりでボールが強く出すぎないというメリットがあります」(中村)
それでは実際にUTを使った画像を見てみよう。ダフリやトップを防ぎやさしく打てるポイントはハンドアップに構えることだと中村からのアドバイス。
「ポイントは一つだけ。トゥ側でヒットする意識で打つことです。そうすれば地面との接地面が少なくなりダフっても抵抗が少なく振り抜けます。そのためにはハンドアップに構えます。そうすると手首が伸びることで余計な動きを抑えることができるので、ボールをクリーンに打ちやすくなり大きなミスを防ぐことができます。やったことがない人もお試しください」(中村)
花道からのアプローチにUTを使うとはなかなかレアなクラブ選択だろう。しかし目土の上に乗ったボールを打つにはこれが正解。UTでのアプローチは距離が出すぎるのでは? と思われるかもしれないが、ハンドアップに構えてトウ側で打つことでその心配も軽減される。
状況自体がレアではあるが、このような状況に出くわした際は思い出したいテクニックだ。
撮影/小林司 撮影協力/佐倉カントリー倶楽部