首を傾ける動きが特徴的だった
ロレーナ・オチョアは2003年にLPGAツアーに参戦し、翌年2勝を挙げると、その後順調に勝利を重ねます。2007年には絶対王者だったアニカ・ソレンスタムから世界ランキング1位の座を奪うと、引退するまでの158週に渡りその座を守る圧倒的な強さを見せ続け、2010年4月、世界ランキング1位の実力を持ちながら引退を発表。後に世界ランキング1位になった宮里藍選手にも影響を与えたというオチョアの去り際からは、トッププレーヤーがモチベーションを維持し続けることの難しさを改めて感じさせました。
そのスウィングは非常に特徴的なので印象に残っている方も多いのではないでしょうか。まず、グローブをしていませんね(笑)。そして、アドレスは非常にバランスよく立ちグリップは左手のナックルが二つ見えるスクェアグリップです(画像A左)。左腕が地面と平行になる位置でクラブが立っており、手元を胸の前にキープしたままクラブを振り上げていることがわかります。
画像B右が、オチョアのスウィングのもっとも特徴的な部分。切り返しで、首を傾げるように顔の向きが変わっています。下半身はターゲット方向(左)に、頭は反対方向(右)に動くことで、上半身と下半身の捻転差が大きくなり、飛ばしのエネルギーを増大させています。
また、左手の甲がフラットになるようにフェースを閉じながらダウンスウィングに入っています。切り返しで左上腕を反時計回りに回す動きによって、トップで近づいたアゴと左肩が離れてダウンスウィングの半径が大きくなります。そのことによってヘッドスピードが上がり入射角もゆるやかになるんです。
特徴的な顔の向きは、その後インパクトまでほとんど動きません(画像C)。頭の位置と向きをキープすることでミート率は上がり、再現性の高いスウィングを実現しています。スクェアグリップらしく先行してきた手元を左内もも辺りでヘッドが追い越しながらアッパー軌道でボールを捉えています。
スクェアグリップの人にはオーソドックスでお手本にすべきスウィングです。画像Bの解説でも触れましたが、とくにフェースが開いて下りてくる人は、ダウンスウィングの早い段階で左手首の角度をフラットにしフェースをボールに向ける動きを真似するとハンドファーストでしっかりボールをつかまえられるようになります。
短い期間でしたが圧倒的な強さを誇ったロレーナ・オチョア。現在は、アニカ・ソレンスタムや歴代のレジェンドの跡を継ぎ、チャリティ活動や自身の名のついたトーナメントを開催し社会とゴルフ界に貢献しているようです。