結果はタイガー組の勝利
5月24日、フロリダ州ホープ・サウンドにあるメダリストGCでタイガー・ウッズ&ペイトン・マニング組VSフィル・ミケルソン&トム・ブレイディ組でコロナウイルス救済のためのチャリティマッチが行われた。
2018年11月に行われたタイガーVSミケルソンの約10億円をかけた対決「ザ・マッチ」に次ぐ第2弾で、その名も「キャピタルワンズ・ザ・マッチ:チャンピオンズ・フォー・チャリティ」。今回はNFLの偉大な人気プレーヤーであり、互いに長年のライバルであるペイトン・マニング(引退)とトム・ブレイディ(タンパベイ・パッカニアーズに所属)も参戦。
結果は終始ショットが安定し、パットもよく入っていたタイガー&マニング組が、前半苦戦したミケルソン&ブレイリー組を1アップで勝利。賞金1000万ドル(約10億円)に、一般視聴者が中継中にネット上で参加できるライブ寄付金を合計した約21億5000万円が医療現場の支援や日々の救命救急にあたる米国赤十字社、小規模企業経営者への助成金提供などに充てられることになった。
この日は15時から試合開始予定も、大雨のため45分遅れでスタート。途中再び豪雨に見舞われることもあったが、タイガーとミケルソンというゴルフ界の大スターだけでなく、NFLのレジェンドたちも要所要所で好プレーを披露。特にトム・ブレイディは、池ポチャやロストボールなどで惨憺たるプレーをそれまで披露していたにも関わらず、7番ホールのフェアウェイから放ったボールが直接カップインしバーディを奪取するなど、見せ場も作った。
「奥さん、子供達、愛してるよ! 彼らがこのショットを見ててくれてたらいいけどね」
フォアボール方式で行われた前半はタイガーとマニングの好プレーで3アップとしたが、フォーサム形式の後半はミケルソン&ブレイディが巻き返し、1アップまで詰め寄ったものの逆転優勝とはならず。タイガー&マニング組の優勝が決まった。
タイガーにとって、公の場でのプレーは2月のジェネシスインビテーショナル以来となるが、メダリストGCが彼のホームコースとはいえ、全ホールでフェアウェイをキープし、ステディなプレーぶりを披露していたという。
CBSスポーツのゴルフアナリストで、現地で取材していたダグ・ベル氏によれば、
「タイガーは最近、子供たちとテニスをしたり、自転車をこいだり、トレーニングをする日々を送っているが、筋肉隆々という感じではなく、スリムになった印象を受ける。スウィングもとてもスムーズで、飛ばしよりは正確性を求めているようだ」
と語っている。また、他の3人がワイワイガヤガヤとプレーしているのに対し、タイガーは1人静かにプレーに集中。戦列を離れてしばらく経つが、腰の痛みもないようで、日々試合で勝つ準備を積んでいるようだ。
かつてはツアー屈指のロングドライブで「パー5の王者」とも言われていたタイガー。デビュー年の1997年から、フェデックスカップチャンピオンに輝いた2009年までの13年間で、なんと10回も「パー5平均スコア」部門でツアー1位に輝いている。その後は、度重なるケガや、加齢、若手の台頭などもあり、1位に返り咲くことは今のところない。
しかし、年齢を重ね、体が変化しているのに応じて、飛ばすためのトレーニングというよりは、柔軟性をキープし、精度の高いショットを打つための体の調整を重視しているようだ。まもなく試合が再開されるが、タイガーがどの試合から復帰するかは明言していない。今回のマッチでの対戦で好プレーができたことは少なからず手応えをつかんだことだろう。
コロナ時代のゴルフスタイルで、無観客、キャディなし、カート1人1台乗りで実施した「ザ・マッチ」第2弾。タッチなしの「エア・ハイファイブ」や、握手の代わりに「エルボータッチ」なども見られ、濃厚接触を避けながらプレーする具体例をいくつも見ることができた。また、先日のマキロイたちのチャリティマッチでは、キャディバッグを学生ゴルファーのように自分で担いでプレーする光景も……。
6月以降に再開されるPGAツアーの試合と2つのチャリティマッチでは、規模も雰囲気も異なるので、以上のような光景は見られないのかもしれないが、以前は当たり前だったやり方・意識が、コロナ時代に合わせて変化を遂げている世の中。プロゴルフという興行自体の実施法や見せ方も、大きな変貌を遂げつつあるのかもしれない。