SIM MAXのつかまりを良くし、ミスヒットに強くした
これまでの「M4」や「M6」にもドローバイアス設計のDタイプは存在していたが、理由は定かではないが国内での販売はされていなかった。しかし「SIM」シリーズになって正式に「セレクトフィットストア」限定で販売されることになった。メーカーのリリースによるとフェース面積が大きくなり寛容性がアップ、ヒール側にウェートを配置することで重心距離を短くしつかまりを向上したという。
そこでテーラーメイドの「SIM MAX」と「SIM MAX-D」の2モデルを東京・新小岩のゴルフスタジオ「PGST」に持ち込み、プロゴルファー・堀口宜篤がそれぞれ5球ずつ打ち、計測器フライトスコープを使ってデータを取りつつ、性能を比較した。
堀口はヘッドスピード45m/sで試打。5球の平均計測結果をまとめた表が以下だ。データは左から飛距離、スピン量、打ち出し角、ミート率となる。
SIM MAX :285ヤード/2316rpm/15.1度/1.49
SIM MAX-D:290ヤード/2278rpm/13.4度/1.52
データを見るとSIMとSIM MAX-Dの飛距離の差は5ヤード。2モデルともスピン量は少なめだが、注目はミート率。ここでいうミート率とは、ヘッドスピードに対する初速の割合のことを表し1.52という数値は最大値といっていい数値だ。試打した堀口はいう。
「ボールが厚く当たる感触でしっかりとエネルギーが伝わっているように感じました。同じシャフトで試打しましたがSIM MAX-Dのほうがしっかりつかまってくれる。球が逃げてすっぽ抜ける感じがないので思い切り振れます。それでいてつかまりすぎる感じはしないので左に曲がる怖さがありません。強めの中弾道で飛んだので飛距離性能も期待できそうです」(堀口)
構えた感じの印象を聞くと「フェースの厚みが増したせいでボールを包み込むように見えます。かといって左に向いているようには見えない。ロフト角は同じ10.5度でもディープフェースになったことで構えたときにフェース面が見えて、球を上げやすく感じます」と見た目の評価も上々だ。
と、こう書くとSIM MAX-DはSIM MAXより単純に優れているように感じるかもしれないが、そういうわけではない。つかまりがいい分ロフトが立った状態で当たりやすいからか、ディープフェースの影響か、打ち出し角はSIM MAX-Dのほうが低かった。
そのため、ヘッドスピードがある程度ない人は、ロフト多目を選ぶ、柔らかめのシャフトを選ぶ、あるいはスリーブの調整機能でロフトを増やすといった工夫が必要となるかもしれない。
また、かなりの“つかまり顔”であるため、右に打ち出して左に戻ってくるドローを打ちたいタイプにとっては、右に打ち出すイメージが湧きにくいかもしれない。そう考えると、パワーのあるスライサーがスライスを抑えるといった使い方をすると、ほどよくつかまった低スピンのビッグボールが打てるかもしれない。
同じテクノロジーを搭載してはいるがSIMやSIM MAXとは異なる性格のモデルに仕上がっているSIM MAX-D。SIMやSIM MAXでつかまりが弱いと感じているゴルファーには、注目すべきモデルと言えそうだ。
取材協力/PGST