ツアー最多タイの通算82勝を挙げた彼の殿堂入りは至極当然で年齢条件さえクリアすればいつでも殿堂入りが可能だった。では次なる候補は?
タイガーの次に殿堂入りを果たすのは誰か?
フィル・ミケルソン、アーニー・エルス、ビジェイ・シンなどなど、タイガーのライバルはほぼ全員がすでに殿堂入りしている。次となると意見が分かれるところだが思い浮かぶのはセルヒオ・ガルシアだ。
ガルシアは米ツアーで9勝、欧州ツアーで16勝を挙げたほか世界各地で優勝している。メジャーはマスターズでの1勝だけだが、似たような成績のフレッド・カプルス(メジャー1勝、米ツアー15勝、欧州ツアー3勝)が殿堂入り(13年)していることを考えれば可能性は十分あるように思える。
しかしホール・オブ・フェーマーのひとりトニー・ジャクリンはゴルフウィークのインタビューで「
その可能性は高くない」と断じている。
ジャクリンはガルシアのキャリアについて「本来ならメジャーを二桁勝ってもおかしくなかった。
でも彼はセベ(・バレステロス)の勇猛さには少しも及ばなかった。稀代のボールストライカーがメジャー1勝したのだと思えば及第点なのかもしれないが……」。
ガルシアがプロデビューした99年、5月のアイリッシュオープンでいきなり優勝を飾ると勢いに乗り8月の全米プロゴルフ選手権ではタイガーと争ってあわや優勝。1打差の2位に入っている。するとまだ19歳だった彼は『次代のスター』『タイガーのライバル登場』と騒がれ一躍時の人となった。
その当時来日したゲーリー・プレーヤーとリー・トレビノが「あの子(ガルシア)には可能性がある。我々が大切に育てなければならないな」と話し合っていたのを耳にした。
しかし本人は余りある才能と実力を周囲が期待するほど勝利に結びつけることはできなかった。その原因をプレーヤーは「あの醜いパッティングのせいだ」と指摘。さらに最近になっても自分のプレーに腹を立てバンカーを破壊したりクラブを地面に叩きつけたり、挙句カップに唾を吐いたりと素行も問題視された。
もちろん活躍はする。だが勝って欲しいときに勝ち損なう。2017年のマスターズで念願のグリーンジャケットに袖を通したときも「メジャーに勝っても自分は自分。相変わらず間抜けでとんまなガルシアさ」と自嘲気味に笑ったもの。
すでに41歳。マスターズ勝利以来フェデックスカップのポイントランクは18年が128位、19年が72位、今年は現在179位と低迷している。
「実力も功績も認める。しかし彼は本来持てる才能のほんの一部しか発揮できなかった。
本当にもったいないことだね」(ジャクリン)
スターではあるがスーパースターにはなれなかった男。彼の目標は殿堂入りではないだろう。だがもうひと花咲かせて欲しいと思うファンは決して少ないないはずだ。
※一部訂正しました(2020.05.29 15:43)