クラブセッティングにおいて重要なのが、異なる番手でも振り心地が揃いやすくなるように重さの“流れ=フロー”を意識すること。業界屈指のギアオタクでクラブフィッターの小倉勇人が、自身の経験を交えつつ重量フローの大切さについて改めて説いた。

やっぱり重さって大事。いろんなクラブを試打して思うこと

みなさんこんにちは、ギアオタク店長の小倉です。私はありがたいことにたくさんの試打のお仕事を頂いております。アベレージ向けのモデルからバリバリのアスリートモデルまで打たせて頂くクラブは様々ですが、ジャンル関係なくまとめて30本試打~といった最新モデル一挙ご紹介! 的な企画はすっごい楽しいのですが、なかなか大変なのです。

何が大変かというと、そのクラブの開発時に設定したターゲット層のゴルファーはどんなゴルファーなのか? そしてそのゴルファーたちにどんな弾道を打たせたいのか? などを予測、想像して試打をすることです。

そのターゲット層のゴルファーの想定ヘッドスピードやミスやスウィングの傾向を頭に入れておかないとそのクラブの本当の実力を紹介できないと考えているからなのですが、クラブ1本1本に合わせて打つのにかなりエネルギーがいるのです。クラブの重さから長さ、シャフトの動きも違うので当然と言えば当然ですが、毎回別人になりきって試打をしているようなものですね。いつも大量に試打をさせて頂いたあとは、自分のクラブで50球ぐらい打つようにしています。自分のスウィングを忘れてしまいそうなので……。

長くなりましたが、今回のお話のカギは、試打企画は楽しいが、大変! ということではなく、大量のクラブを一度に打たせて頂いて改めて大切だなと気付いたことがあるのでそのことをお伝えしたいんです。それはクラブの重量フローはやっぱり大事だなということ。

ご存知の通り、クラブは短く、飛ばない番手になるにつれ、重くなるように設計されています。これは短くなることにより減る遠心力の負荷を重さで補い、振ったときの抵抗感を揃えてどの番手も振り心地をできるだけ近づけるためのもの。結果を求められるプロや上級者は必ずと言って良いほどやっています。

画像: 重量フローを意識し、すべてのクラブの振り心地をできるだけ近づけることが重要だという(写真はイメージ 撮影/有原裕晶)

重量フローを意識し、すべてのクラブの振り心地をできるだけ近づけることが重要だという(写真はイメージ 撮影/有原裕晶)

しかしドライバーやアイアンをバラバラで購入したり、単品で追加するといったことの多いアマチュアのセッティングはこれがほとんどできていません。この重量フローを意識するとしないでは大違いで、ミスの幅を大幅に軽減する、調子を維持しやすくなるなどかなりの効果が期待できるはずです。

なぜ比較試打でこの重量フローの大切さについて感じたのかというと、アスリート向けのモデルを打ったあとにアベレージ向けのモデルを打つと一発目が大抵当たらないのです。本当に試打の上手い方はどんなクラブでも一発からナイスショットを打つのでしょうが、中々私にはできません。

ところがアスリート向けのモデルの次に同じ傾向のモデルを試打した場合、1発目からミートできる確率がぐんと上がるのです。ターゲット層が近いクラブは、性能が違っても重さや長さがそれほど離れていないのでスウィング中の負荷が近いからなのだと私は分析しています。

ほかのクラブを打ってから、次に打つクラブを1発目から上手く打たなければならない状況は、コースでのプレーと同じ。練習場では同じクラブを何発も打つことができるので意外とこの重量フローの大切さが体感しづらいのです。

是非次に練習場に行ったら、何球か打ったクラブの“次のクラブ”の第1打目を気にしてみてください。1球1球クラブを変えて練習するのも良いと思います。そのときに上手く打てる確率がどのくらいかを気にしてみてください。

それぞれの腕前で違いはあると思いますが、自分の中であまりに上手くいかないクラブがあった場合、それは重量フローが大きくズレている可能性があります。工房などに頼むと測ってもらえますから、是非一度チェックすることをお勧めします! 

This article is a sponsored article by
''.