「試合があるならどんな試合でも出る」byケプカ
PGAツアーの再開もいよいよ1週間後に迫った。
第74回「チャールズ・シュワブ・チャレンジ」(テキサス州・コロニアルCC)が6月11日からスタートする。選手のエントリーの締め切りは米国東部時間で前週金曜日の午後5時(今週の金曜日)となっているが、すでに大勢の選手がエントリーを決めており、出場を決定している選手たちは顔写真入りで紹介されている。
そのリストを見ていて興味深いのは、例年以上に出場選手のフィールドが厚く、実力者揃いということ。世界のトップランカーのロリー・マキロイ、ブルックス・ケプカ、ダスティン・ジョンソン、ジャスティン・トーマスらが名前を連ねている。
また一方で特徴的なのは、チャンピオンズツアー(シニアツアー)のベテラン勢が多数出場する点だ。トム・レーマン、デビッド・フロスト、スコット・マッキャロン、キース・クリアウォーター、スティーブ・ストリッカー、オリン・ブラウンら懐かしの面々が久しぶりにPGAツアーに出場するが、彼らは過去の大会のチャンピオンとして出場する。
通常ならこの時期はチャンピオンズツアーも毎週のように試合が立て込んでおり、出場資格はあってもPGAツアーに出る余裕はないが、今年は7月末の「ザ・アリーチャレンジ」までシニアの試合がないので、腕試しに出てくる選手も多いのだろう。「チャールズ・シュワブ」はチャンピオンズツアーの年間を通じての冠スポンサーを務めており、どちらかといえばシニアツアーのほうで有名だが、チャールズ・シュワブカップで過去10回総合優勝を果たしているベルンハルト・ランガーも、今大会の優勝者ではないが推薦されているようだ。
さて、通常今大会は、全米プロと全米オープンまでの1ヶ月のちょうど中間に開催され、ビッグネームたちはスキップすることも多い試合。だが今年は状況が違う。3月のプレーヤーズ選手権で中断したPGAツアーの再開第1戦ということで、皆、試合に出たくてウズウズしている。コロナウイルスの影響でステイホーム生活を余儀なくされたが、それぞれその間、トレーニングや練習を積んで、ツアー再開に備えて準備万端。マキロイは「ボクはただ試合に出てプレーがしたいんだ。だから今のところ、最初の3週間の試合に出る予定だよ」だといい、ケプカも「試合があるならどんな試合でも出る」と語っている。
ただ、アダム・スコット、フランチェスコ・モリナリ、トミー・フリートウッドら海外勢はしばらく出場を見送るという。アメリカ政府は海外からの旅行者に到着後14日間の自主隔離を義務付けているが、先月22日に特定の外国人プロスポーツ選手に対し、入国制限免除を決定。PGAツアー、LPGAツアーなどのゴルフや野球、バスケットボール、アイスホッケー、テニスなどが対象となっており、自主隔離なくツアーに出ることが可能になった。マシュー・フィッツパトリックはこの決定前にチャールズ・シュワブ・チャレンジ出場に合わせて2週間前にイギリスから米国に入り、現在自主的に隔離をしているが、実際はその必要はなくなったというわけだ。
しかし、こうした規制緩和が逆に選手たちを不安な気持ちにさせていることも確かである。アダム・スコットはPGAツアーが示した検査や規制について、オーストラリアAPの記者に次のように語っている。
「誰かが陽性だったら、その大会は中止にすべきだと思う。でも、実際は陽性だった人だけが棄権すればいいというルール。これでは甘いと思う」
「もし無症状の人がトーナメント運営に関わっていて、もし僕がコース内で感染してしまったら、失格にはなるわ、その場所で2週間の自主隔離をしなければならないわ、で大変なことになる。最初はかなり厳しいくらいで、だんだん緩めていくというのがいいと思うんだけど….思っていたよりも規制が厳しくなくてびっくりした」
彼は現在オーストラリアに帰国しているが、とりあえず最初の数週間は様子を見て、WGCフェデックス・セントジュードインビテーショナル(7月30日〜8月2日)と翌週の全米プロ(8月6日〜9日)に出場する予定だという。
また、モリナリやフリートウッドらイギリスに自宅を構える選手たちは、米国での事前14日間の自主隔離は不要となったものの、イギリスに帰国後の14日間の自主隔離はしなければいけない。フリートウッドは、このような状況で英米を行き来することは不可能であるとし、「(イギリスに帰国することなく家族を置いて)アメリカに4ヶ月もいるのは考えられない」としている。
まずは、チャールズ・シュワブ・チャレンジで感染者を出すことなく大会を終えることができるか、検査などはスムーズに行われるのか、が今後の試合を継続できるかどうかのカギとなるだろう。