昨年ツアールーキーながら全英女子オープン制覇という快挙を成し遂げ、賞金女王争いも繰り広げた渋野日向子。そんな彼女をサポートし、渋野を“しぶこ”と呼ぶコーチ・青木翔は、選手を成長させるために、まずは教える側が「失敗=悪いこと」という考え方を捨ててみようという。一体どういうことか、自身の著書「打ち方は教えない」から教えてもらおう。

失敗すると分かっていても笑顔で送り出す

「失敗は成長の糧になるから、増やしていこう!」

とは言っても、これまで失敗を避けるように指導していた人が、今日からそれをすべて許容できるようになるのは難しいかもしれません。

親や上司の立場からすると、失敗はできるだけ避けたいと思うのは当然です。

そこで、まずは教える側が「失敗=悪い事」という考え方を捨ててみましょう。失敗はいつでも、そして誰もがします。海外メジャーで優勝したしぶこも、国内ツアーの予選落ちをするのですから。

そこに全部「悪い」というレッテルを貼ってしまうと、選手自身が失敗を怖がって避けるようになってしまうでしょう。

すると、彼らは徐々にチャレンジができなくなり、成長の機会を逸することにつながります。まずは親や上司、コーチが「失敗=悪い事」という固定概念を取っ払ってみましょう。

方法は簡単。「このやり方で失敗はするだろうな」と分かっていても、見守ってあげるのです。手出しは無用!

僕らの役割は安全や最低限のリスクに配慮することだけです。そしてどんなふうに失敗をするのか、それをしっかり見届けてください。

僕は彼らが失敗するまでの一連のトライを、楽しんで見ています。思いもよらなかった方法で失敗する子もいるし、失敗した後の彼らのリアクションもまたそれぞれ。

失敗したときにはまず笑って出迎えよう

教える側はまず、果敢に挑戦した彼らを笑顔で出迎えてあげましょう。

「ようやったな!」
「派手にやっちまったな!」

失敗を責めなければ、かける言葉は何でもいい。深刻な顔をせず笑顔で接することが重要です。

失敗は成功よりも多い。そして失敗すると、人は必ず凹みます。ともすれば、怒ったり悲しくなったり負の感情に支配されてしまう。

画像: 親やコーチは失敗を攻めずに、笑顔で出迎えよう(写真は2019年の日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯 撮影/岡沢裕行)

親やコーチは失敗を攻めずに、笑顔で出迎えよう(写真は2019年の日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯 撮影/岡沢裕行)

だから、あえて笑うのです。

全英女子オープンの最終日に、しぶこは前半、4パットの大きなミスをしました。でも僕は笑っていました。この失敗が彼女をより成長させると思ったからです。

そしてその笑っている僕を見てしぶこも笑顔になり、彼女はギアをもう1段上げて、チャレンジングなプレーを展開していきました。

親や上司、コーチが失敗を歓迎すれば、彼らはチャレンジを怖がらない強い気持ちを持つようになるでしょう。

「打ち方は教えない。」(ゴルフダイジェスト社)より

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