2013年に長尺パターを手にマスターズ優勝を遂げたアダム・スコット。長尺パターを体につけて固定する「アンカリング」がルールで規制されてからはしばらく低迷するも、復調し現在の世界ランキングは6位と好調。その理由を在米ゴルフジャーナリストのアンディ和田がレポート。

長尺の「アンカリング規制」で一時76位まで下がった世界ランクを6位まで戻す

2月に開催された「ジェネシスインビテーショナル」で4シーズン振りのPGAツアー優勝を挙げたアダム・スコットが好調なパッティングの理由について言及していましたので紹介させて下さい。

画像: 長尺パターを使い世界ランキング6位と好調なアダム・スコット(写真は2019年の全英オープン 写真/姉崎正)

長尺パターを使い世界ランキング6位と好調なアダム・スコット(写真は2019年の全英オープン 写真/姉崎正)

長年PGAツアー選手の中で「最も美しいスウィング」と評価されるアダム・スコットは2011年からグリップエンドを胸につける長尺パターを使用して2013年のマスターズで勝利。しかし、2016年のルール規制でグリップエンドや前腕を体につけるアンカリングが禁止となり、長尺や中尺使用のツアー選手はパッティングスタイルを変えないといけなくなりました。スコットは2015年の春から通常の長さのパターに戻しましたが、2014年世界ランク1位に君臨していたのですが2018年には76位まで下降していました。

復活の兆しを見せたのは昨年5月の全米プロでした。 同じ長尺でも1.75インチ(4.4cm)短いパターを導入したスコットはルール適応するようにグリップエンドを胸につけないノンアンカリングスタイルでパッティングし、8位でフィニッシュ。

この試合以降、好調なゴルフを続けているスコットは当時世界ランク27位から現在の6位へと上昇を続けています。データを調べたところ、2014年以降4年連続でマイナスだった「ストロークゲインドパッティング(スコアに対するパットの貢献度を示す指標)」の平均数値が、昨シーズン(0.348/31位)、今シーズン(0.231/71位)ともにプラス数値になっていました。

スコットは自身のパッティングについて次のように説明しました。

「パッティングは私にとって一番神経質になっていて動揺することが多く心理的な要素が強いですね。短いパターと長尺パターの2本を入れて試合でプレーするときもありました。現在、実践している長尺パターでアンカリングしない打ち方は、最初少し不思議な感覚でした。慣れてくるとアンカリングしないほうが私には向いていると感じています。今のスタイルのほうが支点で押さえつけられていないので自由な感じで振ることができます。 3メートルから10メートルぐらいの中距離は沢山入るわけではないですが、この距離を2回か3回沈めることができると流れが良くなります。3メートル以内は以前から長尺パターを使用して全体のイメージは良いので自信はあります」(アダム)

なるほど。 次にどのような練習方法で向上したのか? という質問に対し返答したスコットのコメントには驚きました。

「私のパッティングの練習のほとんどは長尺パターを使わないんです。変だと思われるかもしれませんが、アームロックのパターを使ったり、ブレードタイプやマレットタイプを使ったりして練習やラウンドをします。そうやって違うパターや打ち方を変えて浮気して、また長尺に戻すとリセットしたような新鮮さがあり、とても良いフィーリングの心構えでパッティングができるんです」(アダム)

画像: アームロック式パターを使うアダム・スコット(写真は2019年ファーマーズインシュランスオープン 写真/姉崎正)

アームロック式パターを使うアダム・スコット(写真は2019年ファーマーズインシュランスオープン 写真/姉崎正)

アイアンは2003年にリリースされたタイトリスト680をずっと使い続ける頑固職人なのにパターに関しては「浮気性」のスコット。それぞれのうんちくというか哲学があり面白いですね。

2月にツアー優勝した際には「このまま自分自身の集中力とモチベーションを保つ事ができたら、これからの5年間は私にとって最高のキャリアになると信じている」と語っていました。今年はPGAツアーのスケジュールが変則になりそうですが、また秋に「凛々しいアダムさま」が日本に来日しその雄姿を観るのが楽しみですね。

画像: MAX365ヤードの美人プロが教える!力強いドローボールで飛ばすコツ【高島早百合プロ】 youtu.be

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