ベアグラウンドに止まったアプローチ
5月から夏にかけて芝は元気に成長していくが、グリーン周りにおいて次のホールへ歩いていくエリアや日当たりが悪い場所など、芝が生えそろうのが遅くなるエリアが存在する。グリーンを少し外しただけであっても、生えそろっていない芝の薄い場所に止まってしまうことがある。
この場合、SWやAWなどできっちりボールにコンタクトできれば問題はないのだが、少しでもダフればグリーンに届かず、トップをすればピンをオーバーしてしまうことは経験からお分かりいただけるはず。
画像Aの状況は、ボールがグリーンを外し芝の生えそろっていないベアグラウンドにボールが止まり、エッジまでは4ヤードで、エッジからピンまで6ヤードでピンまでの傾斜はやや上り。
この状況からSWでの寄せワンは上級者であれば技の見せ所だが難しいが、できるだけ簡単に乗せて1パットか2パットのボギーでは切り抜けたいところ。というわけでここで問題。この状況から、どんなクラブでどんな打ち方を選択するのがもっとも怪我が少ないだろうか?
ベアグラウンドからのアプローチ、どう打つ?
正解は「8番アイアンを吊るように構えてトウ側でヒットする」。なぜこの答えが正解なのか。出題したプロゴルファー・中村修が重視したのは「ダフり、トップのどちらのミスも許される打ち方」だという。
「まずパターの選択肢ももちろんあります。しかし、エッジまで4ヤードを転がすのにどれくらいの抵抗があるか慣れていないとつかみにくい。次にSWのバウンスを使って打つと硬いベアグラウンドの場合、バウンスが滑ってトップしたようなインパクトになりオーバーしやすい。距離感とヘッドスピードを合わせることが難しいクラブは選ばずに、8番アイアイのトウで打つことをお勧めします」(中村)
転がしのアプローチというと、PWくらいを使うほうがやりやすく感じる。なぜ8番アイアンを勧めるのだろうか?
「芝の上に乗っている場合は、PWの転がしで構いません。しかしベアグラウンドとなると、トップもダフりもせずにコンタクトするのは難しくなります。8番を吊るしてトウで打つと、トップとダフリ、どちらのミスもある程度許容してくれます。また、芯を外して打つので飛びすぎず、距離感をつかみやすいというメリットもあるんです」(中村)
それでは実際に8番アイアンを使った画像を見てみよう。ダフリやトップを防ぎやさしく打てるポイントはハンドアップに構えることだと中村からのアドバイス。
「ポイントはシャフトと上腕が一直線になるように近くに立ってハンドアップで構えます。ヘッドのヒール側が浮くくらいハンドアップに構えます。そうすることでトウヒットしやすくなり、手首の動きも制限されることで、振り幅と出球のスピードが合わせやすく距離感を合わせやすい」(中村)
パットの距離感と同じ感覚で適度なキャリーでエッジの芝を越え“飛びすぎる”心配も軽減される。何よりも簡単にグリーンに乗せることを最優先にした打ち方。グリーン周りではよくあるこのような状況で覚えておきたいテクニックだ。
撮影/小林司 撮影協力/佐倉カントリー倶楽部