ボールとクラブが低スピン化へと進化したことでフェアウェイウッドの番手を選びも変化しているとギアライターの高梨祥明はいう。打ちやすさを決める基準番手を7Wにし、自分にマッチしたフェアウェイウッドのセッティングを考察した。

ティアップして使う? フェアウェイから使いたい!? 用途を明確にして解決納得のフェアウェイウッド選択法

世の中にはフェアウェイウッドが苦手、というゴルファーが多い。とくに3Wは“キャディバッグの肥やし”と揶揄されるほど、持ってはいるが使わないクラブの代表。今も昔も“うまく打てないクラブ”の筆頭アイテムだ。

“うまく打てない”。

多くのゴルファーがそう思うのは、おそらく3Wでは思ったようにボールが浮いてくれないから、ではないだろうか。3Wのロフトは13〜16.5度だ。実際、このロフト帯のクラブでフェアウェイから高さを出していけるゴルファーはかなり限られる。ドライバーのヘッドスピードが45m/s以上出るようなゴルファーでなければ、ある程度ミート率が高くても、最高点が低くなり、キャリーは伸びていかないだろう。低い打ち出しでもキャリーを稼げるのは、それなりにパワーがあるからである。

画像: 適度にロフトのある7番ウッドは、現代のフェアウェイウッドの「基準番手」だと筆者はいう

適度にロフトのある7番ウッドは、現代のフェアウェイウッドの「基準番手」だと筆者はいう

フェアウェイからはボールが浮かない3Wでも、ティアップすれば球は上がるし、打てる。そう思う人も多いはずだが、これはティアップすることで深重心設計によるロフトアップ効果を活かせるからである。ヘッド後部が重たい深重心3Wは、インパクトでお尻が下がるためロフトが大きくついて当たりやすい。

もっとロフトの少ないドライバーで高弾道が打てるのも、ティを高くしてヘッドが下から入る隙間を作り、インパクトロフトを大きくすることができるからだ。同じ高弾道ドライバーでも、直ドラしたらゴロしか打てない。これはティアップなしでは地面が邪魔でインパクトロフトを大きくすることが出来ないからだ。

世の中にヘッドをシャローにして投影面積を大きくし、深重心化を追求したフェアウェイウッドは多いが、それを使ってもどうも地面から高さが出せない、あるいはスムーズに振り抜けないと感じることが多いのは、直ドラと同じ理屈であるように思う。インパクトロフトを増せなければ上がらないが、インパクトロフトがつくように下からヘッドを入れようとしてしまうとヘッドのお尻が地面に当たってダフってしまう。こんな状況から、ティアップなしの状態で足りていないロフトを自動で増やすシステムは、どのゴルフクラブにも未だ搭載されていないように思う。

地面から高さを出す簡単な方法は、ハイロフトを選ぶこと

飛距離を決めるインパクトの3大要素として有名なのが、次の項目である。

・ボール初速
・打ち出し角度
・バックスピン量

きちんとミートしたのに3Wがどうにも打てないのは、この3要素が次のようになっていると考えられる。

・ボール初速 → 不足
・打ち出し角度 → 不足
・バックスピン量 → 不足

ドライバーではバックスピンが減ったほうが飛ぶと言われるが、それは打ち出し角度がきちんと保たれている場合の話。打ち出しが低い上に浮力であるバックスピンを抑えてしまえば、ライナー性の低弾道しか生まれないのである。ちなみにバックスピンが不足してしまう最たる要因は、ゴルフボールの進化にある。

ご存知の通りドライバーではバックスピンを減らしたほうが飛距離アップする、というのが定説だ。その実現のためにゴルフボールはどんどんロングショットでの低スピン性能を磨いてきており、今ではディスタンス系と呼ばれるアマ向けのソフトなボールだけでなく、プロが使うボールでもドライバーやフェアウェイウッドでは低スピンになることを謳っている。

この低スピンボールを活かしてキャリーを伸ばすには、正しく「打ち出し角度を確保する」ことが何よりも重要で、これが唯一、ゴルファーが選択できる余地であるといえる。つまり、正しく「ロフトを選ぶ」こと。それがクラブを選ぶ、ということになるのだ。

フェアウェイウッドには3W、4W、5W、7W、9W、11Wなどロフトの違う“番手”が用意されている。フェアウェイウッド選びの面白さは、この中からどう地面からちゃんと高さの出せる“番手(ロフト)”を選び出すか、にある。

この際、ドライバー → 3W → 5W というセッティングの常識は、いったん脇に置いておき、【1】ティアップして打つなら
【2】地面から打つなら 
と二通りの用途で、それぞれどのフェアウェイウッド(番手)ならばきちんと高さが出せるだろう? とイメージしていただきたい。とくに地面から打つことを想定した番手は「インパクトロフトは増えない、そんな都合のよい魔法の杖はないのだ」ということを念頭において無理のないロフト選びを心がけていただきたい。

では、地面からきちんと上がるイメージが持てるのは、どの番手だろうか? 3Wはなんとなく誰もが難しいと考えるとして、4Wなら? 5Wならきちんと高さが出せるだろうか? もちろん、これは人それぞれでそのジャッジに正解などはないが、今回は頭の片隅に7W(ロフト21°)という選択肢をインプットしていただければ幸いだ。

今はロングアイアンという枠組みがなくなり、アイアンは6番からが常識になりつつある。3番アイアンと4番アイアンはほぼ市場から消えた。フェアウェイウッドには未だに3も4もあるが、フェアウェイからティアップなしで打つ番手としては、3Wも4Wも選択肢から除外してもよい番手、とここでは考える。理由は一般的なヘッドスピードではボールが上がりきらないケースが多いからだ。

アイアンがそうであるように、今やフェアウェイウッドも7Wが打ちやすさを見極める基準番手であると考え、購入時にはできるだけ7Wを試していただくことをオススメしたい。ティアップしても使う、という場合には5Wもありだが、フェアウェイからは多少の難しさが出てしまうことは5番アイアンと同様である。

ゴルフクラブの3、4、5は、ロースピンボール時代においてはある程度パワーがないと、高さ不足に陥る可能性がある番手であると考えたい。クラブも進化しているが、それ以上にゴルフボールの進化、変化は著しい。飛んでいくのはあくまでもボールである。ゴルフクラブはボールが打ち出される条件を整えるためにある。

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