PGAツアーがいよいよ今週再開!
2017年の全英オープンでメジャー3勝目、ツアー通算11勝目を挙げてからスピースは暗く長いトンネルに入ってしまったようだ。
若くして富と栄光を手に入れ20年度のアスリート長者番付でも世界52位(総収入はおよそ30億円!)、ゴルフ界4位。だがこの数字の9割以上がスポンサー収入で本業では快進撃が続いているわけではない。
今季は2度ベスト10に入っているもののフェデックスカップのポイントランクは110位。賞金ランクも82位に低迷しており、かつて1位の座に君臨していた世界ランクも56位まで後退した。
当初不振の原因はパッティングといわれたが徐々にはショットも乱れ、アメリカのゴルフ雑誌はこぞって「ジョーダン・スピースをスランプから脱出させる方法」を特集するようになった。
ゴルフ解説者のブランデル・シャンブリー氏は「自分なら2秒でスピース(のスウィング)を直すことができる」と豪語し話題に。同氏によると全盛期だった2015年と最近のスウィングを比較すると「修正ポイントは一目瞭然。以前と比べいまはトップが深くバランスが悪い」と指摘する。
絶頂期も現在もコーチは同じキャメロン・マコーミック氏。「この師弟コンビは飛距離を求めて間違った方向にスウィングを改造した」とシャンブリー氏は辛辣だ。改造の成果か道具の進化か、確かにスピースの飛距離はこの5年で10ヤード以上伸びている。だがフェアウェイキープ率は62.91パーセントから47.95パーセントに激変し目下部門別ランクは227位。「方向が定まらなければいくら飛距離を伸ばしても意味がない」という指摘も頷ける。
ややニュアンスは違うがメジャー9勝のグランドスラマー、ゲーリー・プレーヤー氏もスウィング改造の失敗を低迷の原因に挙げている。
「最近のゴルフ界では飛距離が過大評価され過ぎている。ゴルフはスウィングやテクニック以上に心の問題が大きい。自分なら1時間(語り合うだけ)でスピースを再び世界ナンバー1に引き上げることができる」(プレーヤー)
皆がこぞって「スピースをなんとかしたい」と思うのはそれだけ彼の才能を認めているからこそ。一番苦しいのはもちろん本人だろうが周囲にも「黙っていられない」「このままズルズルと後退させるわけにはいかない」という空気が充満している。ツアーの中断をきっかけに若き天才が復活の道を歩んで欲しいと願うのは私だけではないはずだ。