ビギナーを卒業し、ある程度ゴルフに慣れたアマチュアに立ちふさがる大きな壁が「100切り」だ。100を切るためにドライバーでのティショットを打つ際に注意すべき点を、プロゴルファー・中村修に解説してもらった。

とにかくOBの確率を減らしたい

ビギナーを脱した多くのアマチュアゴルファーにとって最初の大きな目標となるのが、100を下回るスコアを出すこと、いわゆる「100切り」だ。

100を切るために重要なのがドライバーでのティショット。とくに1罰打がつくOBは何としても避け、2打目が打ちやすいフェアウェイをキープしたいところだが、なかなか弾道が安定しないという方も多いのではないだろうか。

真っすぐ飛ばせるようにスウィングをなんとかしなければ、と思うアマチュアも多いだろうが、プロゴルファー・中村修によれば、100切りを達成するためにスウィング改造など特段難しいことは必要ではないという。

「100切りを達成するために大事なのは、スウィング以外のごく基礎的な部分です。しかし、プロでさえ実践しているような基本を取り入れていないアマチュアの方って、実は多いんです」(中村、以下同)

まず中村は「ティアップを今一度見直してください」と言う。

「100切りを目指すゴルファーならドライバースウィングの基礎の部分はある程度理解していると思いますが、見落としがちなのがティアップです。常に同じ高さでティアップすることが、ティショットの再現性を高めるための大前提となります」(中村、以下同)

ティショットを打つたびに高さが変わってしまえば、仮に毎回同じスウィング軌道を描けてもヒットする位置がズレて弾道は変化するし、ティの高さに合わせて打ちやすいようにスウィングをアジャストしてしまう可能性もある。

ティアップの高さは好みが人それぞれあるが、大切なのは「この高さでティアップする、と決めておくこと」だと中村は言う。

画像: ボールの高さは好みによって変わる。自分が打ちやすい高さを見つけて、常にその高さでティアップしよう(撮影/姉崎正)

ボールの高さは好みによって変わる。自分が打ちやすい高さを見つけて、常にその高さでティアップしよう(撮影/姉崎正)

「ティアップの高さを一定にする確実な方法は、地面に刺せる長さが決まっている段付き構造のティや、地面に刺さずに置くタコ足ティなどを使うことです」

画像: 一定以上地面に刺さらないような段付き構造になっているティ(左)や、地面に刺さずに置くタコ足ティを利用すれば、ティアップの高さを毎回同じにできる

一定以上地面に刺さらないような段付き構造になっているティ(左)や、地面に刺さずに置くタコ足ティを利用すれば、ティアップの高さを毎回同じにできる

「スタンダードなウッドティを使っている方は、ティアップする際のボールとティの持ち方に工夫しましょう。たとえば私の場合は、写真Aのように中指の腹がティに沿うように持ち、中指が地面に当たるところまで刺す、というようにしていますね」(中村)

画像: 写真A:中村の場合はティに中指の腹が沿うように持ち、高さが一定になるようにしている(撮影/姉崎正)

写真A:中村の場合はティに中指の腹が沿うように持ち、高さが一定になるようにしている(撮影/姉崎正)

なんだそんなことか……と思うかもしれないが、ちょっとの違和感が大きな結果の違いとなって現れるのがゴルフ。まずは、こんな小さなことからしっかりと見直していこう。

スライス、フックのミスに合わせてティアップ位置を調整しよう

また、ティアップの位置にも気をつけたい。大きなスライス、またはフックなど、ミスの方向性が一定な場合は「ティアップの位置を調整し、ターゲットラインの設定の仕方を変えることで対応しましょう」と中村。

「たとえば大きく右に曲がるスライスが出るゴルファーなら、ティイングエリアの右端にティアップし、曲がりの幅を考慮してフェアウェイの左寄りにターゲットラインを設定し、打ちましょう。ターゲットラインより右側のスペースを広く取っておくことで、ティイングエリアのど真ん中にティアップしたときよりもフェアウェイを広く使うことができ、スライスによるOBを回避できます」

画像: スライスが出るゴルファーは、ティイングエリア右端にティアップし、フェアウェイの左寄りを狙おう(撮影/姉崎正)

スライスが出るゴルファーは、ティイングエリア右端にティアップし、フェアウェイの左寄りを狙おう(撮影/姉崎正)

もちろんこれはスライサーの場合。

「フックが出るゴルファーはその逆で、ティイングエリア左端にティアップし、右側に打ち出していきましょう」

画像: フックが出るゴルファーは、ティイングエリア左端にティアップし、フェアウェイの右寄りを狙う(撮影/姉崎正)

フックが出るゴルファーは、ティイングエリア左端にティアップし、フェアウェイの右寄りを狙う(撮影/姉崎正)

「おれは右も左も両方のミスが出るんだよね」という人も多かろう。しかし、右と左、両方のミスが完全に5:5の割合で出るというゴルファーは極めて少ないはずで、なにかしら傾向は必ずあるはず。ならば、多く出るほうのミスに合わせておけば間違いない。

スライサーがティイングエリア右にティアップしてフェアウェイ左端を狙ってチーピンが出たら大惨事。しかし、それは受け入れるしかない。それよりも、ティイングエリア中央にティアップしていたら右OBだったはずのボールが右ラフで止まる回数のほうが多いはずだ。

ターゲットラインを見極める

ショットを打つ際は狙うべきターゲットを見定め、ボール位置とターゲットを結んだ「ターゲットライン」を基準にアドレスを取る。

100切りを目指すアマチュアの中には、このターゲットラインを正確に設定できておらず、目標に対してアドレスがズレてしまい、思い通りの場所に飛ばなくなってしまうゴルファーも多いと中村。このターゲットラインを正確に見極めるための「ショット前のルーティン」を必ず実践してほしいという。

「まずはボールの後方に立ち、打ち出していきたい方向と、その方向にある目印になるようなターゲットを見つけましょう。フェアウェイセンターにある旗や木など、何でも良いです」

画像: 旗や木など、ターゲット方向にあるわかりやすい目印を見つけよう(撮影/姉崎正)

旗や木など、ターゲット方向にあるわかりやすい目印を見つけよう(撮影/姉崎正)

「ターゲットを見つけたら片目をつぶります。私の場合は、利き目が右なので左目をつぶっています。目線の正面にドライバーのシャフトが来るように持ち、シャフトの線上でボールとターゲットが重なるようなポジションを探しましょう。こうすることでボールとターゲットを結ぶラインをより明確にイメージしやすいです」

画像: 写真B:シャフト線上にボールとターゲットが重なるラインを見つけよう。日光が真後ろから照っているなら、影を基準にしても良い(撮影/姉崎正)

写真B:シャフト線上にボールとターゲットが重なるラインを見つけよう。日光が真後ろから照っているなら、影を基準にしても良い(撮影/姉崎正)

ボールとターゲットが重なったら、そのままシャフトを真っすぐ下ろしていけばそれがそのままターゲットラインとなるし、写真Bのように日光が体の真後ろから照っている場合はシャフトの影も基準となり得るだろう。

ターゲットラインに対して正しく構える

ターゲットラインを見極めたらそのラインに対して、基本的には平行にアドレスを取ることになるが、この際に「アドレスが崩れてしまうアマチュアの方が多いんです」と中村。

「ティーイングエリアでは、いつも同じアドレスを取ることが大事なのですが、これがなかなか難しい。グリーンの方向や池、林などに意識がどうしても持っていかれるため、狙った方向に立ちにくいんです。まずは、しっかりとアドレスの基本に立ち返りましょう」

というわけで、続いては真っすぐ構えるための方法を押さえたい。

画像: ドライバーの場合は左足の開き幅は小さめ、右足は大きめだ(撮影/姉崎正)

ドライバーの場合は左足の開き幅は小さめ、右足は大きめだ(撮影/姉崎正)

「まずドライバーの場合は、両足をそろえた状態で構えて、ボールは正面から見て左足のかかと線上に合わさる位置に置きましょう。そこから左足はボールに対してわずかに開く程度、右足は肩幅がスタンスの内側に入る程度まで開きましょう。自分で決めたターゲットに対してまずはスクェアスタンスで構える。少しクローズ、またはオープンスタンスのほうが構えやすいという人も、まずスクェアに構え、その上でアレンジするようにしてください」

たとえば、いきなり右足を引くクローズスタンスで構えようとすると、スタンスと体の向き、ターゲットラインがバラバラにある危険性がある。まずスクェアに構えることで、そのような“打つ前からミス決定”の状態が防げるわけだ。

スタンスが取れたら、両肩を結ぶライン両ひざを結ぶラインが、それぞれターゲット方向を向いているかをチェックしよう。シャフトを肩のライン、ひざのラインにあてがうとわかりやすい。

画像: 両肩のラインと、両ひざのラインはどちらもターゲット方向に対して平行になる(撮影/姉崎正)

両肩のラインと、両ひざのラインはどちらもターゲット方向に対して平行になる(撮影/姉崎正)

「最後に、背骨(上半身)を少しだけ右側に傾けましょう。ドライバーはティアップされて地面よりも高い位置にあるボールを打つため、少し体を傾けることで下から上へ、アッパー軌道でボールをとらえやすくなります」

画像: 背骨を右側に傾けてアッパー軌道でインパクトしやすくする(撮影/姉崎正)

背骨を右側に傾けてアッパー軌道でインパクトしやすくする(撮影/姉崎正)

ドライバー以外の選択肢も用意しておこう

さあ100を切るぞ、と意気込んでコースへ向かったはいいものの、練習場でドライバーを握ってみたらスウィングが絶不調だった、なんて日もあるだろう。そんなときは「ティショットでドライバーを使わない選択肢もある、ということを覚えておきましょう」と中村。

画像: ドライバーが不調な場合は、フェアウェイウッドやユーテリティでティショットを打つのもアリだ(撮影/姉崎正)

ドライバーが不調な場合は、フェアウェイウッドやユーテリティでティショットを打つのもアリだ(撮影/姉崎正)

「ドライバーが大曲がりする日などは、フェアウェイウッドやユーテリティでティショットを打つ、というのも現実的な選択です。ティショットでできるだけグリーンに近づけておきたい、という気持ちはよくわかりますが、ミスショットで2打目も厳しいライから打つことになってはスコアメイクはできません。1打目の飛距離が多少落ちたとしても曲がり幅が比較的少なく、安定感のある番手で打ったほうがスコアメイク、ひいては100切りにつながりますよ」

ドライバーでカッとばすのはゴルフの醍醐味なので、使うことは止めない。しかし、「このホール、どうにも立ちにくいなあ」「右のOBがすぐそこだなあ」といった風に感じるとき、あるいはティショットがOBで打ち直しのときに、使える番手があるとないのとでは大違いだ。

ドライバーは100切りを目指すゴルファーがスコアを崩す大きな要因であり、課題のひとつ。ここに挙げたコツを覚えておけば、それだけで100切りができちゃうかも……!?

取材協力/佐倉カントリー倶楽部

画像: 美人プロがやさしく解説!“100切りのための”ティショットの基本。ティアップからスウィングまで! youtu.be

美人プロがやさしく解説!“100切りのための”ティショットの基本。ティアップからスウィングまで!

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