6月11日から95日ぶりに再開されるPGAツアー「チャールズシュワブチャレンジ」。世界ランクトップ5がエントリーするという中で注目はやはり世界ランク1位のローリー・マキロイ。プロゴルファー・中村修が改めてスウィングに注目した。

クラブの「軌道」とコックのタイミングを完璧にコントロールしている

2020シーズンのフェデックスランキング3位につけるローリー・マキロイ。PGAツアーのスタッツを見るとトップ10回数1位(6回)、平均スコア1位(68.437)、飛距離2位(320.2ヤード)、ショット全体の指標(SG:TEE TO GREEN)2位、総合力の指標(SG:TOTAL)2位と、今季絶好調のマキロイです。

画像: 世界ランク1位、トップ10回数1位と今季好調のローリー・マキロイ

世界ランク1位、トップ10回数1位と今季好調のローリー・マキロイ

なんといってもその魅力は、PGAツアーのなかでは小柄な体躯から放たれる飛距離とアイアンでの高いボールコントロールを兼ね備えたスウィングにあります。飛ばしとコントロール、両方ができるんです。

昨年、「ZOZOチャンピオンピンシップ」で実際に見たマキロイは、クラブによって振り抜く高さを変えて、自在にボールをコントロールしていました。

スウィングを後ろから見た際、ダウンスウィングの軌道とフォローの軌道が同じかそれよりも高ければインサイドアウト軌道。その逆ならばアウトサイドイン軌道と判断できますが、マキロイの場合ドライバーでは左肩の高さに振り抜くインサイドアウト軌道で大きく飛ばし、アイアンでは左肩よりも低く振り抜き、ストレートからわずかにカットな軌道でスピンをコントロールして、ピンを狙っていたんです。

画像: ドライバーショットでは左肩の高さにインサイドアウト軌道で振り抜きドロー系の高い弾道で飛ばす(写真は2019年ZOZOチャンピオンシップ 写真/岩村一男)

ドライバーショットでは左肩の高さにインサイドアウト軌道で振り抜きドロー系の高い弾道で飛ばす(写真は2019年ZOZOチャンピオンシップ 写真/岩村一男)

もうひとつ、スウィング中に手首を親指側に折る「コック」も自在にコントロールしていました。ドライバーなど飛距離を求めるショットでは手元を遠くに上げるテークバックでコックを遅らせ、バンカーショットではテークバックの早い段階でクラブを立てるようにコックを使います。また、グリーン周りのピッチエンドランのアプローチでは静かにコックを使い、ロブショットでは積極的にコックを使っていました。

これはテークバック側だけでなくフォロー側でも同じ。早くコックを入れればフォローでも早いタイミングで再度コックを入れるといったように、スウィングが左右対称になるように、コックを使う度合いをコントロールしていました。

その結果、どのショットもそのクオリティが高く、2球打てば同じ弾道が2球続き同じ地点に落ちます。打音も何度打っても同じです。まずクラブフェースがボールに当たり、次の瞬間にターフを削る乾いた音が響きます。スウィング軌道やコックを完璧に操ることで、ボールに対してクラブをどうコンタクトさせるのかを自在にコントロール。それができるから、様々な状況に対応できるのだと感じました。

画像: アイアンショットでは左肩よりも低く振り抜きヘッドスピード、フェースの開閉をコントロールしながらピンを狙う(写真は2019年ZOZOチャンピオンシップ 写真/岩村一男)

アイアンショットでは左肩よりも低く振り抜きヘッドスピード、フェースの開閉をコントロールしながらピンを狙う(写真は2019年ZOZOチャンピオンシップ 写真/岩村一男)

マキロイなどトッププレーヤーに共通するのは、スウィングだけでなく出場する試合では優勝争いできるレベルに調整してくる能力の高さです。早い時期に「チャールズシュワブチャレンジ」への参戦を表明していたマキロイは、ここで存在感を示す可能性は十分に考えられます。

キャリアグランドスラムへ、残るはマスターズひとつのマキロイ 。悲願のマスターズ制覇へ向けて、幸先のいいリスタートを切りたいところです。高い精度のショット力にツアー2位の飛距離を誇る世界ランク1位のプレーを楽しみにしたいと思います。

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