グリーン周りまでボールを運んでも、ザックリ、トップを繰り返していてはスコアはまとまらない。グリーン周りから寄らないまでもひとまず乗せるアプローチのコツを覚えておこう!

グリーン周りの寄せは「パター」が第一候補

100切り達成のために重要なのは、グリーン周りでもたつかずに1打できっちりと乗せること。とくに20ヤード程度のアプローチはしっかり寄せたいところだが、なかなかうまくいかないアマチュアゴルファーは多いのではないだろうか。

まず短い距離のアプローチで重要なのはクラブ選択だ。距離が短いぶん、選択肢も8、9番アイアンなどのショートアイアン、アイアンセットに付属するピッチングウェッジや、52度~58度のウェッジ、パターと豊富にある。

画像: グリーン周りのアプローチはロングアイアン、ウェッジ、パターとクラブの選択肢が豊富だ(撮影/姉崎正)

グリーン周りのアプローチはロングアイアン、ウェッジ、パターとクラブの選択肢が豊富だ(撮影/姉崎正)

アプローチ=ウェッジで打つもの、と考えているゴルファーも多いだろうが、グリーン周りのアプローチでは「まずパターで寄せられるかどうかを考えてみてください」というのは、プロゴルファー・中村修。

「グリーン周りから1打で乗せることを考えたとき、パターを使ったアプローチはもっともセーフティな選択と言えます。ダフリやトップなどのミスも出にくいですし、ボールを浮かさずランのみで寄せるので、キャリーが出過ぎてオーバーする危険もないですよ」

画像: ショートアプローチでは、まずパターの転がしで寄せられるかどうかを考えよう(撮影/姉崎正)

ショートアプローチでは、まずパターの転がしで寄せられるかどうかを考えよう(撮影/姉崎正)

パターのアプローチではロングパットを打つときと同じように構え、距離に応じて振り幅を調節して打とう。距離感に関しては各々の感覚によるところが大きいためピッタリ寄せ切るのは難しいかもしれないが、パターであればその他のクラブより方向性が安定しやすくグリーンをオーバーするリスクも低いはずだ。

そもそも100切りを目指すうえでもっとも悪手なのはグリーンに乗せられず打数を重ねてしまうこと。ピッタリに寄せられたらそれにこしたことはないが、まずは乗せること。そして願わくば5メートル前後の2パット圏内にまで寄せられれば上出来と言えるだろう。

「クラブを選ぶ基準は、転がせる状況であればまずはパターが第一候補ですが、その次に8番や9番アイアン、ピッチングウェッジやアプローチウェッジ、サンドウェッジの順になります。砲台グリーンやバンカー越えなど、キャリーが必要な場合のみ、アプローチウェッジやサンドウェッジを選択しましょう」(中村、以下同)

なぜウェッジよりもショートアイアンを優先して選ぶべきなのか。それは「スウィングの幅を小さくできるからです」と中村は続ける。

「スウィングの幅が小さいと、そのぶんミスの可能性が少なくなりますよね。大きく振ればダフリやトップの可能性が増えてしまいますから」

また「100切りのためには、アプローチに特化したチッパーを採用するのも一つの手です」と中村は言う。

「チッパーは通常のウェッジよりロフトが立っているから、ランニングアプローチがしやすいクラブです。最近はウェッジ並みのロフトを持つチッパーもあるので、やさしくボールを上げることもできます。ソール幅が広いためザックリも起きにくいですね。とくにアプローチが苦手なアマチュアの方は、チッパーのようなやさしいウェッジを採用するのも、100切りのためには大いにアリですよ」

画像: アプローチに特化したチッパー(左)を採用するのも一つの手だ(撮影/姉崎正)

アプローチに特化したチッパー(左)を採用するのも一つの手だ(撮影/姉崎正)

打ちたい弾道に合わせて番手を選択しよう

ただ、バンカー越えや、グリーンが高い位置にあって転がしのみでは乗せられない場合など、パターを使ったアプローチが難しい場面では、ウェッジが選択肢となってくる。ウェッジは難しい番手だが、ミスを減らすためには「番手が違っても同じ構え、同じスウィングで打つことを心がけましょう」と中村。まずは構え方からおさらいしてみよう。

「両足を靴1足ぶん程度開けて、両足のつま先を30度ほど左に向けましょう。ボールは体の中心よりもやや右側、右足つま先線上に位置するように置きましょう。ボールに合わせてソールし、シャフトと左腕が一直線になるような手元の位置で構えるのがポイントです」

画像: 両足を靴一足ぶん程度開け、両つま先を30度ほど左へ向ける。ボールは右足つま先線上に置こう。シャフトと左腕が一直線になるよう構えるのがポイントだ(撮影/姉崎正)

両足を靴一足ぶん程度開け、両つま先を30度ほど左へ向ける。ボールは右足つま先線上に置こう。シャフトと左腕が一直線になるよう構えるのがポイントだ(撮影/姉崎正)

スウィングする際のポイントは、アドレス時に作った、シャフトと左腕が一直線になるような手元とヘッドの位置関係をキープしたまま左手リードでスウィングすること。

振り子運動のように、バックスウィングとフォローが等間隔になるようなスウィングを心がけよう。また、飛距離を稼ぐ必要のないショートアプローチでは、手首を親指側に折る「コック」は使う必要がない。アドレス時の手首の角度をキープしたまま(ノーコックで)スウィングしよう。

画像: 手首を使わず、アドレス時のヘッドと手元の位置関係をキープしてスウィングしよう(撮影/姉崎正)

手首を使わず、アドレス時のヘッドと手元の位置関係をキープしてスウィングしよう(撮影/姉崎正)

「まずはこの打ち方を覚えて、同じ打ち方で番手を変えることで飛距離や弾道を調整するのがオススメです」

番手が変われば当然、ロフト角の違いによって出球の高さが変わり、キャリーとランの比率も変わってくる。

20ヤード前後の場合、キャリーとランの比率は、8・9番アイアンでおおよそ1:4、ピッチングウェッジなら1:3、52度で1:2、56・58度で1:1と考えよう。当然、同じ振り幅と力加減ならばロフトが立っているほど飛距離は伸び、寝ていくにつれ短くなっていく。それぞれの番手でどの程度飛ぶのかを自分自身で把握し、適切なクラブを選択しよう。

もちろん、アドレスに手を加えることで弾道や飛距離をある程度微調整することは可能。たとえばスタンス幅を広くすればそのぶん飛距離は出るし、狭ければ飛距離は短くなる。ボール位置をさらに右寄りにすればボールは低く打ち出され、左に置けば高く出やすくなる、という具合だ。

画像: ボール位置は右足つまさき線上が基準だが、さらに右に置けば打ち出しは低くなり、左寄りなら高い打ち出し、というようにある程度微調整できる(撮影/姉崎正)

ボール位置は右足つまさき線上が基準だが、さらに右に置けば打ち出しは低くなり、左寄りなら高い打ち出し、というようにある程度微調整できる(撮影/姉崎正)

ただ、100切りを目指すゴルファーならば「短いアプローチはこの構え、このスウィングで打つ」と1つ決めておいたほうがアプローチが簡単になるのは間違いない。

ラフからのアプローチ

グリーン周りのラフから寄せる際もアドレスやスウィングはフェアウェイから打つときと同様だ。ただし注意したいのが、ラフではボールが芝の上に乗って地面よりもわずかに浮いている点。この状態だと「ロフトが寝ている番手だと、クラブがボールの下をくぐってボールが飛ばない『だるま落とし』のミスになりやすいです」と中村。

画像: ラフではボールが芝によって持ち上げられ、地面よりわずかに浮いている(撮影/姉崎正)

ラフではボールが芝によって持ち上げられ、地面よりわずかに浮いている(撮影/姉崎正)

「とくに56、58度のウェッジでラフからアプローチすると、ロフトが寝ているぶんボールの下を抜けてしまいやすいです。しっかり当てるためにロフトを立ててしまうと、今度は強く飛んで距離感に狂いが出てしまいます」

上級者であればスウィングスピードの調節や、ボールの沈み具合によってフェースの開き具合を調整することで対応する場合もあるが、「100切りを目指すゴルファーにはオススメしません」と中村。

「100切りを目指すゴルファーにとって重要なのは、ラフを脱出して確実にグリーンに乗せること。スウィングなどで微調整するのはリスキーなので、ラフからのアプローチではボールの下をくぐらないように、少しロフトの立ったクラブ、52度前後のアプローチウェッジを使うことをオススメします」

100切りをなかなか達成できないゴルファーの中には、使うクラブによって構えやスウィングを変えてしまうことで、余計にアプローチを難しくしてしまっている可能性がある。まずは一つの構え、一つのスウィングで打つと決めることで、アプローチを簡単にしてみてはいかがだろうか。

そして、たとえエッジまで多少距離があったとしても、まずはパターを選ぶ。それを徹底すれば、グリーン周りで何打も損することはなくなるはずだ。

取材協力/佐倉カントリー倶楽部

画像: 美人プロがやさしく解説!“100切りのための”ティショットの基本。ティアップからスウィングまで! youtu.be

美人プロがやさしく解説!“100切りのための”ティショットの基本。ティアップからスウィングまで!

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