切り返しで左手首が手の平側に折れる動きが曲げずに飛ばすカギ
昨年秋から始まっているPGAツアーの2019-2020シーズン。10月に開催された「ZOZOチャンピオンシップ」の前週に韓国で開催された「CJカップ」で優勝、米国選抜の一人として出場したプレジデンツカップでも大活躍し、年明けの「セントリー・トーナメント・オブ・チャンピオンズ」でも優勝と絶好調だったのが、今日紹介するジャスティン・トーマスです。
松山英樹の1学年下の27歳でメジャーはその松山との優勝争いを制した全米プロの1勝、通算11勝を挙げています。今季のスタッツを見るとティからグリーンまでの総合的なショット力を示す指標(SG:TEETOGREEN)で5位。
ショットでチャンスを作り、最終日に向けてスコアを伸ばすプレースタイルです。
私が現地で取材した2017年の全米オープンの練習ラウンドではドライバーが左右に散らばりながらも、インパクトで調整するようなことはせずに、いつも通り思い切りよく振り切っていました。その後徐々に調子を上げ3日目には63と爆発したのには、さすがトップ選手と感心したのを覚えています。
とにかく思い切りよく振り切るドライバーショットが見ていて気持ちいいプレーヤーですが、アイアンショットのキレも持ち合わせています。
彼のスウィングというと、ドライバーでは足が地面から浮き上がるくらいダイナミックな下半身の動きがよく語られますが、それだけでなく手元の位置が高いアップライトなトップも特徴的です。
アップライトなトップの場合、切り返しでグリップエンドが真下に下りるように切り返してしまうとクラブが立ちすぎて入射角が鋭角になり過ぎてしまいますし、上半身の回転が先に入るとカット軌道にもなります。
しかし、トーマスの切り返し(画像A)を見ると、画像左のトップで飛球線と平行になったクラブの向きが画像右の切り返しでターゲットより左を向いています。そのことでクラブとボールを結んだ斜めの面に乗っています。
この動きをサポートする左手首に注目してみます。もう一度画像Aを見てみてください。トップでは、上腕と一直線になった左手首が、切り返しではやや手のひら側に折れていることがわかるでしょうか。このように、左手首が手の平側に折れると、ダウンスウィングからインパクトにかけてフェースが開きにくくなります。フェースをボールに向け球をつかまえるためのこの左手首の動きは大いに参考になります。
インパクトでフェースが開く人は、この左手首の角度がトーマスとは逆の甲側に折れることが多いのでチェックしてみることをお勧めします。画像Bのドライバーとアイアン、それぞれのインパクトの画像を見ると、フェース面と対応する左手の甲の面がスクェアにキープされていることがわかります。これにより、思い切り良く振っても方向性に優れていることが納得できます。これこそがショットメーカーであるトーマスの強さの秘訣といっていいでしょう。
好調時に休止期間に突入してしまったトーマス。3カ月ぶりの試合で好調だったショットがどう変化しているのか興味深くもありますが、試合が始まってからの調整能力の高さも際立ったものがあります。仮に少々出遅れたとしても、最終日に向けて調子を上げ、爆発的なスコアで追い上げる姿が見られるかもしれませんね。