100切りは9ボギー、9ダボで達成できる
まず最初に頭に入れておきたいのは「全ホールボギーでも十分に100切りペースだということです」と、プロゴルファー・中村修は言う。
「多くのゴルフコースでは18ホールすべてパーで回れば72、ボギーペースならプラス18で90、ダボペースだとプラス36で108になります。100切りの最低ライン、スコア99を出すためにはバーディはおろかパーも不要。ボギー9、ダボ9で回ればいいんです」(中村、以下同)
もちろんパーやバーディが出せるに越したことはないが、100を切るためには必須ではない。むしろ、無理にスコアを良くしようとリスクを取って攻めて失敗し、大叩きしてしまうほうが危険なのだ。全ホールでボギーを狙い、9ホールまでならダボでもいい。トリ以上を叩かないことだけ意識してプレーしよう、と考えれば100切りのハードルを少し下げることができるのではないだろうか。そのうえで、ラッキーパンチでパーがきたら儲けもの、くらいの意識だ。
常に8割程度の力感でスウィングする
そうはいってもどうしてもトリとかダブルパーが出ちゃんだよ、と思われるかもしれない。100が切れない多くのアマチュアがダボ以上の大叩きしてしまう原因として挙げられるのは、ドライバーショットでのOBや池ポチャなどのショットミスだ。
どうすればそれを減らせるか。これらを減らすためには「常に8割のスウィングを心がけましょう」と中村は言う。
「フルショットで飛ばすのではなく、どの番手でも常に8割程度の力感でスウィングする意識を持ってみましょう。8割程度の余力のあるスウィングなら曲がりの幅も少なく方向性や距離感が良くなってミスも減り、結果的にグリーンに少ない打数で近づけることができます」
もちろんこれは簡単ではなく、コースでいきなりやれと言われてもできない。練習場で、5割くらいの力感で打つ練習をしておいて、その感じでコースで振れば自然と8割くらいになるはずだ。「フルショットしない練習」は大切なので、ぜひ実践したい。
もちろん、それでも曲がる、あるいはどうやっても8割ショットなんて無理ということなら、ティショットでドライバーを持たないというのも一つの手だ。
「たとえば360ヤードのパー4を攻略するとしたら、230ヤード飛ぶけど曲がりの幅が大きいドライバーを使うよりも、フェアウェイウッド、ユーテリティなどの比較的曲がりの幅が少ない番手で180〜200ヤードを打つほうが方向性が良いぶんリスクは低いと言えます」
ボギーを狙うゴルフならば、パーオンはする必要があまりないし、そもそもパーオンを狙ったところでハーフに1回か2回がいいところ。ならば、ティショットはOBを出さないことだけを優先し、セカンドはグリーン手前に近づけることだけ考えれば、本当はオッケーなのだ。
ただ、これまたコースで突然ユーティリティをティアップしてティショットしてもたいがいミスになる。ティアップした状態でフェアウェイウッド、ユーティリティを打つ練習をしておくのは前提だ。
グリーン周りは「寄せを含めて3打」
せっかくショットがうまくいき、ボギーオンペースでグリーン周りまでボールを運べたのに、グリーン周りのアプローチやパッティングで打数を重ねてしまいビッグイニングになってしまうことは避けたい。100切りペースのボギーあるいはダボでホールアウトするためには「グリーン周りからカップインまでの打数を少なくすることが重要。具体的にはグリーン周りからは3打でホールアウトを目指したいです」と中村。
基本的に、寄せワンは必要ない。うまく寄せられて1パットで決まれば最高だが、乗せて2パットでオッケー。3パットは避けたいが、受け入れる。そのためには、たとえグリーンが目の前のアプローチであっても大切なのは「寄せる」ことではなく「乗せる」ことだ。
グリーンエッジまでわずか3ヤードのアプローチでも、ザックリしたりトップすれば乗せることはできない。確実に1打で乗せるためには「アプローチのクラブ選択はパターを第一候補に考えましょう」と中村。
「グリーンに確実に1打で乗せることを考えたとき、周囲が転がせる状況ならば、転がしのみで寄せられるパターがクラブ選択の第一候補です。続いて、8番や9番アイアン、ピッチングウェッジやアプローチウェッジ、サンドウェッジの順でクラブ選択を考えていきましょう」
優先度の基準はロフト角。ロフトが立っているほうが、そのぶんスウィングの幅を小さくできてミスの可能性が少なくなるからだ。ロフトが寝ているアプローチウェッジやサンドウェッジは、「砲台グリーンやバンカー越えなど、キャリーが必要な場合のみ使いましょう」と中村。
とはいえ、「アプローチはサンド一択」というゴルファーがいきなりパターを持ってもまったくイメージが出ないということはよくあること。アプローチ練習用のグリーンなどで、よく練習しておこう。8番、9番などを使ったランニングアプローチも練習しておいて損はない。
次打を考えてパットを打つ
さて、首尾よく乗せたと想定し、3パットを避けて2打で決めるためには「外した場合、次のパットがどのようなラインになるか」を想定して打つことが大事だと中村は言う。
「理想は上りのまっすぐのラインが残るように打つこと。下りだと、タッチの強弱が難しくなってしまいますから。加えてまっすぐのラインを残すことで、左右の曲がりを考慮しなくてよくなり、パットがシンプルになりますよ」
これも「自分は打ち切れないミスが多いから、むしろ下りのラインのほうがやりやすい」という人もなかにはいるため一概には言えないが、どんなタイプのゴルファーにとっても「次打のことを考えて目の前の一打をプレーする」ということは重要だ。
アプローチでも、ピンに対してオーバー目いいか、ショート目がいいか、それをいちいち考えるか、考えないかは18ホールで少なくない差を生む可能性があることを覚えておこう。
ボギー9、ダボ9で良いと考えれば100切りのハードルはグッと下がる。そのためには、ティショットで極力ペナルティを避けてボギーオンを狙い、グリーン周りからは頑張って3打で収めることが重要だ。
そして、「軽く打つ」「フェアウェイウッドやユーティリティのティショット」「パターでのアプローチ」などを練習しておくことは、必ず助けになるはずだ。
腕前がまだまだだから、コース攻略なんて考えても意味がない、なんてことは絶対にない。考え方ひとつで100を切れる可能性だって、十分にあるのだ。
取材協力/佐倉カントリー倶楽部