開幕を迎える喜びと、シーズンの全体像が見えない不安
「(アース・モンダミンカップが)開催されると協会(日本女子プロゴルフ協会、JLPGA)から連絡がきて、凄く嬉しかったです。本当に試合があることが嬉しくて、楽しんでプレーをしたいです。モンダミンのあとはまた試合がない日が続くから、とにかく頑張りたい!」
開幕戦、そして新しいシーズンについて話を聞くと、まずはこう喜びの声を聞かせてくれた田中瑞希。渋野日向子らと同じ1998年度生まれの“黄金世代”で、昨年プロ合格。QT(予選会)ランク17位で、新しいシーズンの出場権を確保している選手だ。
来週からはじまる新シーズンは、2020年と2021年を合わせて1シーズンとすることがすでに発表されている。ただ一方で、アース・モンダミンカップ以降はふたたび4試合が中止となり、次戦は最速で8月14日開幕のNEC軽井沢72ゴルフトーナメントという状況だ。その試合も開催されるかどうか、記事執筆時点ではわからない。
長いシーズンである一方で、その試合数がどれくらいになるのか、まだその全体像は見えない。そんな状況を選手のひとりとして、どうとらえているのだろうか?
「私はQT組なので、出場できる試合は全部出ようと思っています。リランキングで上位になれたら休むかもしれないけど、またこういった(予期せぬ試合中止がつづく)状況になったらと考えると不安で休めないかなと思っています」(田中)
シーズン途中でそれまでの順位に従って出場権を付与し直す「リランキング」は、2020年内には行われないが、2021年には実施される予定。それも、2020年シーズン中どれくらいの試合が開催されるかによって、タイミングが変化してくる。
だからこそ、「出られる試合は出て、稼いだほうがいいのかなと思っています」という田中の意見は、女子プロのリアルと言えそう。
練習ラウンドを含めれば週に5〜6ラウンドほどをこなすトーナメントの連戦はハードで、実績のある選手ほどうまく休養を挟んで調子を整えるものだが、賞金シードをもっているわけではなく、シーズン途中でのリランキングの結果次第で以降の出場の可不可が決まる選手にとっては、難しいマネジメントが要求されそうだ。
とはいえ、久しぶりに試合で戦えるということが、やはりなによりも嬉しいと田中は言う。そして、試合があるということは、会えなかった仲間と再会が果たせるということも意味する。
「みんなと早く会いたい! っていう気持ちも凄くあります。(仲のいい)吉本ひかるちゃんとは自粛で会えなかったので、試合が終わったら遊ぶ計画を立てています(笑)」(田中)
無観客で開催されるアース・モンダミンカップ。「この状況だから仕方がないけど、早く日常が戻ってほしいです」と田中が言う通り、早く毎週末当たり前のようにトーナメントが開催され、女子プロたちの華やかな戦いが見たいというのは、選手たちはもちろん、ゴルフファンみんなの願いだろう。
異例づくしの2020-2021年シーズンは、来週木曜日開幕だ。