PGAツアー再開初戦「チャールズシュワブチャレンジ」はダニエル・バーガーがプレーオフの末、ツアー3勝を掴んだ。今大会を含め、勝利を挙げたのはすべて6月第2週目に開催された試合だというバーガー。海外取材経験20年のゴルフエディター・大泉英子がレポート。

3月のプレーヤーズ選手権中止以来、3ヶ月ぶりのPGAツアー再開初戦となった「チャールズ・シュワブ・チャレンジ」は、首位と2打差でスタートしたダニエル・バーガーが、コリン・モリカワとのプレーオフを制して優勝。ツアー3勝目を飾った。

画像: ツアー3勝目を挙げたダニエル・バーガー(写真はGetty Images)

ツアー3勝目を挙げたダニエル・バーガー(写真はGetty Images)

終盤、ダニエル・バーガー、コリン・モリカワ、ザンダー・シャウフェレ、ブライソン・デシャンボーら若手が1打を争う混戦模様となったが、その中で勝ち抜いたのは“6月2週目”に強いバーガーだった。

「今日はタフな1日だったけど、僕が今日勝てない理由はないと言い聞かせてプレーしていたんだ。過去数カ月、とてもいいゴルフをしていたし、こうしてまた優勝することができて嬉しいね」

“6月2週目”に強いとは、彼の過去のツアー2勝は実は今大会同様、6月2週目に開催された試合(『フェデックス・セントジュードクラシック』)だったのだ。偶然とはいえ、3回も同じ週に優勝するのは珍記録である。

彼は手首のケガに悩まされた時期もあったが、今年の2月以降、WMフェニックスオープン9位タイ、AT&Tペブルビーチプロアマ5位タイ、ホンダクラシック4位タイと3回連続トップ10入り。また、今大会までで28週連続アンダーパーを記録するほどの安定感を見せていた。ちなみに28ラウンド連続アンダーパーはツアーで過去最長記録だ。

「そのことを誰からも言われなくてよかった。今日だってなんどもギブアップしそうな場面があったし、プレッシャーが襲って来たけど、なんとか耐えて、後半5ホールは過去半年間で最高のゴルフができたよ」

今大会の優勝でフェデックスカップランキングは11位に。世界ランクも31位に浮上した。今週はロリー・マキロイ、ブルックス・ケプカ、ジャスティン・ローズなど世界のトップランカーが目白押しのメジャーのようなフィールドだったが、そんな中で優勝できたことは彼にとって大きな自信となったようだ。無観客試合だったため、優勝が決まっても大きな歓声と拍手に包まれる興奮は味わえなかったが、それでも「変な感じだが、こうして最後に優勝トロフィを掲げることができたことが大事だし、最高だ」と語った。

また彼はゴルフのプレーだけでなく、コロナ対策も万全の体制で臨んでいた。宿泊はコースの近隣に家を借り、叔父に料理を作ってもらって食事を取っていたという。

「1番ティから歩ける距離に家を借りていたんだ。叔父が来てくれて、毎日、朝、昼、夜と食事を作ってくれた。コースに行く以外はどこにも出歩かず、手をよく洗い、顔を触らず、できるだけマスクをし、ソーシャルディスタンスを取るようにしていた。ここに来る前に検査を受けて陰性であることはわかっていたし、毎日検温していたので、完全に安全な感じがしたよ。とても快適に過ごすことができた。ツアーや現場の医療スタッフはとても素晴らしい仕事をしてくれたと思う」

以前は、マスクを着用することがほぼ皆無だったアメリカ人でも、だいぶマスクが浸透し、着用することに慣れてきたらしい。バーガーはマスクの着用について問われると「ゴージャス!(素晴らしい)」と答えたが、マスク着用が「ゴージャス」などという言葉で語られていること自体、時代は変わって来たな、と実感する。夏場は暑くてラウンド中の着用は難しくても、寒くなり、感染状況によっては常用する人もいるかもしれない。

世界のスポーツ界の先陣を切って再スタートしたPGAツアーだが、1週間で行われた487の検査で、幸いコロナウイルス感染者は1人も出ず、無事に終了することができた。今後は今週の反省を生かした取り組みや改良も行われるはずだが、PGAツアーコミッショナーのジェイ・モナハン氏はまずは一言「最高に素晴らしい形でツアー再開ができた」とホッと胸をなで下ろしている。

いよいよ来週の「RBCヘリテイジ」には、松山英樹が出場。来週以降4試合もまた、無観客での開催が決まっている。

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