残り200ヤードのフェアウェイバンカーからマネジメント
バンカーのアゴも低いしライも悪くない。飛距離の出るゴルファーであれば、フェアウェイウッドやUT、あるいはロングアイアンを持ってグリーンを直接狙う攻め方もアリだろう。しかし、力んで引っかければ左のOB、ダフって「出ただけ」だと左足下がりの3打目が待ち、薄く当たると右サイドから50ヤード近いバンカーショット、という激ムズショットを打つハメにもなりかねない。
ここでは、残り200ヤードのこの状況からしっかりクリーンに打てる技術のあるローハンディキャップのゴルファーではなく、100切りもしくは90切りを狙うゴルファーを想定したマネジメントクイズとしたい。
というわけでここで問題。この状況から、どんなクラブでどこを狙って打つことを選択するのがもっとも怪我が少ないだろうか?
残り200ヤードのフェアウェイバンカーからの2打目をどう打つ?
正解は「サブグリーン手前のバンカーに入らない番手を持って打ち、3打目でグリーンを狙う」。なぜこの答えが正解なのか。出題したプロゴルファー・中村修が重視したのは「リスクの高い2打目よりも3打目勝負に集中すること」だという。
「100や90切りを目指すゴルファーであれば、ビッグイニングは避けたいところ。ここは嗅覚を働かせて危険回避能力が試される場面です。直接狙ってグリーンを外した場合の3打目を想像してみます。度合いの違いはあれどダフリ、引っかけ、チョロ、スライスのどのミスが出ても3打目は難易度の高いショットが残りそうです。一方でバンカー手前に刻む場合のリスクは、3打目でグリーンをしっかりとらえられるか、という1点に絞られます。この状況では2打目で勝負するのではなく、3打目勝負と割り切ることで集中力のスタミナを温存し、あえて5、60ヤードを残し3オンを狙うことをお勧めします。これくらいの距離はスタート前の練習でよくやる距離なので安心感もあるはずです」(中村)
もちろんこの状況から乗せられたら最高だ。しかし、その確率は決して高くはない。頑張れば届きそうな距離でも、あえて刻むことでスコアメイクをするという選択をするべきだろうか。
「力みは思わぬミスにつながります。バンカー手前に刻むと決めれば持つクラブは8番や9番になり、飛ばそうという意識を持たないことで上手く打てる確率は高まります。3打目勝負にかけてピンに寄せることに集中するためにはライのいいエリアに刻むことが必要条件になりますので、右のバンカーに入らないクラブを持てば、傾斜を下り切った広くフラットなエリアから3打目を打つことができます。プロならティショットを曲げたホールはパーで、上級者ならパーかボギーでホールアウトすることで次にチャンスがつながることを知っています。ここで無理して勝負するのか、安全策で行くのか、この判断が非常に重要です」(中村)
つまり、ここで頑張ってボギーを拾っておくとプレーの流れが良くなり、先のホールで“ご褒美”が待っている可能性が高くまるわけだ。
距離を必要としないフェアウェイバンカーから打つ際のポイントは、短く持ってコンパクトなフォローを心がけることだと中村はいう。
「距離が必要な場合は、できるだけフィニッシュまで振り抜き、浅い入射角で打つほうがメリットがありますが、距離が必要ではない今回の状況では、距離に対して少し大きい番手を持ってコンパクトに振るほうが打点が定まり方向性も高まります。ここでは140ヤードを8番でヘッドの重さをボールにぶつけるように打ちました」(中村)
このような選択をするためにも5、60ヤードの寄せは練習しておく必要はあるだろう。ビッグイニングを避けるためにも嗅覚を働かせ、目の前の一打よりも次のショットをやさしいエリアから打つためのマネジメントは重要だ。勝負を焦らず、グリーンに近づいてから残した集中力を使って寄せ、カップインさせることがスコアメイクにつながることは間違いない。
写真/姉崎正 撮影協力/佐倉カントリー倶楽部