大事なパットを外したり、思いがけない不運に見舞われたとき、ゴルファーがついしてしまうネガティブなセルフトークは、ときにプレーの質を下げてしまうもの。プロも指導するメンタルコーチ・池努は「反応ではなく、対応のセルフトークが有効です」と言う。それは一体!?

「反応」と「対応」のセルフトークをマネジメントする

楽しくゴルフをするために、ゴルフでストレスを溜めないために、ゴルファーが身につけておくべき基礎的なメンタルスキルについてご紹介していきます。今回は「セルフトーク」について解説していきます。この言葉自体は聞かれたことがある方も多いのではないでしょうか。

セルフトークとは「自己対話」のことでメンタルをセルフコントロールするための代表的なスキルになります。私たちは1日の中で数万回の自己対話をしていると言われています。朝目覚めるときに「もう少し寝ていたいな」、起きると「今日は体が軽いな」、歯を磨きながら「今日の仕事は気が重いなぁ」、朝食を食べながら「次のラウンドは誰を誘おうかな」、通勤しながら……というように私たちは常に自分と対話をしています。

このセルフトークが実は「感情」に大きな影響をしています。「このパット嫌な距離だな。外しそう……」とセルフトークすれば不安、あせり、びびりなどの感情を生みます。「外してもいいからこのパットは思い切って打とう」とセルフトークすれば前向きな、ポジティブな感情でパットを打つことができるはずです。

つまり、私たちはポジティブな感情でプレーできているときは「前向きな、プラスなセルフトーク」をしており、ネガティブな感情にプレーしているときには「後ろ向きな、マイナスなセルフトーク」をしている傾向にあるものなのです。

サポートするプロゴルファーにも1日の試合を振り返ってもらうときに良い感情でプレーしている時間帯にはプラスなセルフトーク、良くない感情でプレーしている時間帯にはマイナスなセルフトークをしていることに気づいてもらいます。

画像: 上手く寄せたアプローチの後のショートパットで頭に浮かぶのはどんなワード?(写真/姉崎正)

上手く寄せたアプローチの後のショートパットで頭に浮かぶのはどんなワード?(写真/姉崎正)

もしあなたが、もう少し安定した感情でポジティブな感情でゴルフをしたいと思われているとしたら、まず次の2つのセルフトークを理解することがスタートです。セルフトークには「反応」と「対応」があります。反応とはある刺激に対して自動的に出てくる自己対話を指します。ラウンド中に発生する例を挙げてみましょう。

〈刺激〉アゲンストの風が吹き出した→〈反応〉「嫌な風だな。なんで自分のときだけ」
〈刺激〉ショートバットを外す→〈反応〉「せっかくいいアプローチをしたのにもったいない」

このように私たちのセルフトークの8割、9割は反応のセルフトーク、つまり自動的に出てくるものです。そして、対応のセルフトークとは意識的にセルフトークを変えていくことを指します。

〈刺激〉ショートバットをはずす→〈反応〉「せっかくいいアプローチをしたのにもったいない。いつもこうなる」→〈対応〉「だけどチャレンジしたらからOK。次も思い切ってプレーしよう」

などと意識的に前向きなプラス側のセルフトークを自分に語りかけていくことです。ゴルファーにトレーニングしてほしいと薦めるのがこの「対応のセルフトーク」です。ミスが多く出たり、想定外のOBなどがあると自然と反応のセルフトークがはじまりマイナス側の対話が多くなるはずです。そんなときに対応のセルフトークを意識的に行っていくのです。

俯瞰して見ることで客観視する

では、どのように対応していけばいいのか? たくさんの方法があるのですがまずおすすめが”メタ認知”です。これは「今の状況を俯瞰して観る、視座をあげ高い視点から客観的に認知すること」です。

「ショートバットを外してへこんでいる」という出来事に対し「第3者から観たらどうかな?→〈対応〉まあ誰にでもあることだよね。次へと切り替えよう」「客観的に観るとどうかな?→〈対応〉悔しがるのも当然だけど、切り替えたほうがいいね」と自分の視点から一度離れることで対応のセルフトークをしやすくなるのです。

ゴルファーに覚えて欲しい基礎的なメンタルスキルであるセルフトークについてその意味や種類、向上のためのヒントをお伝えしていきました。ぜひ、ご自身に置きかえて活かしてもらえればと思います。

画像: 飛ばし屋プロ・高島早百合がドライバーで驚きの飛距離を叩き出した!ゴルフ大好き芸人チームは食い下がれるか!? youtu.be

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