ゴルフを科学する男ブライソン・デシャンボーが注目されている。3カ月ぶりに登場したマッドサイエンティスト(イカれた科学者)はコロナによる中断中に9キロ増量(学生時代からは20キロ増)
。現在の体重は110キロ弱とまるで筋肉質のお相撲さんのような巨体でダスティン・ジョンソンが霞むほど球を遠くに飛ばしている。

「我々の概念の枠の外だね」マキロイ

再開初戦のチャールズシュワッブチャレンジの最終日にデシャンボーと同組でプレーした世界ランク1位のロリー・マキロイはデシャンボーの変化にあんぐり口を開けたひとり。

向かい風が吹いた11番でマキロイのティショットはデシャンボーに40ヤード置いていかれたのだ。

「どうかしてるよ。信じられない。あのパワーどうなってるの?」とニューデシャンボーの飛距離に脱帽。「コースによって合う、合わないがあるだろうけれどとにかく度肝を抜かれた」

その影響かどうかはわからないが1打差でプレーオフ進出を逃し3位に入ったデシャンボーに対しマキロイは最終日に74を叩いてリーダーボードを急降下。2日目63をマークしながら32位タイに沈んでいる。

マキロイ自身は「体を絞ったほうがキレやボールスピードが上がる」というがデシャンボーは巨大化するほど飛ぶと信じている。プーマのポロシャツはデビュー当時のMからXLに2サイズアップ。それもはち切れんばかりだが「目標はクラブを振り切れるギリギリのところまで体を大きくすること。究極の強さを求めている」と今後も増量を続けるつもりだ。

画像: 新型コロナウイルスの影響で試合中止や延期が続く中、デシャンボ―は9キロ増量。再開戦での平均飛距離は340.4ヤードと驚異的な数値を出した(写真はGetty Images)

新型コロナウイルスの影響で試合中止や延期が続く中、デシャンボ―は9キロ増量。再開戦での平均飛距離は340.4ヤードと驚異的な数値を出した(写真はGetty Images)

「とにかくデカい。確固たる信念を持って進むべき道を邁進しているんだろう。でも彼の考えは規格外。我々の概念の枠の外だね」(マキロイ)

「トレーニングの一環として20キロくらいのベストを装着してコースを歩くことがあるけれど1時間が限界。あれだけ増量してパワーとスピードを上げるのは尋常じゃない」(リッキー・ファウラー)

「彼の取り組みは面白いね」というのは50歳になったばかりのジム・フューリック。

「テレビで見たとき彼のボールスピードは185(マイル/時、82.7メートル/秒)、ジョンソン(DJ)は177(79.1メートル/秒)だった。あの強靭なアスリート体型のDJを凌駕するんだから大したもんだ」

時速8マイル違えば単純計算でキャリー20ヤードの差が出るといわれている。再開戦でのデシャンボーの平均飛距離は340.4ヤード。ドライビングディスタンス部門では323.8ヤードでツアーのシーズン史上最長記録を更新する勢いだ。

彼が科学するのは体だけではない。クラブも然り。現在使用しているドライバーのロフトは5.5度。
ほかのクラブもすべてストロングロフトにして近々10度の3番ウッドを入れるつもりだ。

一方で「このままではゴルフがまったく違うゲームになってしまう」と危惧する声も。ニクラスやプレーヤー、コリン・モンゴメリーは「飛ばないボール(プロ向け)」待望論を唱えている。しかしデシャンボーはそんな議論どこ吹く風。人間の限界に鋭意挑戦中なのである。

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