ついに開幕を迎えた国内女子ツアー「アース・モンダミンカップ」。その初日の模様を、ライブ配信を介してスタート時から通しで観戦したプロゴルファー・中村修がレポート!

やまない雨が午前スタート組のプラチナ世代を襲った

アース・モンダミンカップは出場人数が144名と多いため、午前は7時から午後は11時半から3名1組で24組ずつ48組がスタートします。降雨の影響でコースコンディション不良のため8時からと1時間遅れでスタート。途中10時6分から雨が激しくなり約30分の中断を経て再開しました。

この中断の影響を受けた主な選手は、アウト・インのトップスタートだった安田祐香、吉田優利、古江彩佳のプラチナ世代、4組目の畑岡奈紗、5組目の渋野日向子といった午前スタート組。

その中でスコアを崩さずに終えたのは、4アンダーで小祝さくら、臼井麗華ら、3アンダーで金澤志奈、川崎志穂ら、2アンダーに畑岡奈紗、大山志保など。渋野日向子はイーブンパーのラウンドでした。

画像: 悪天候に苦しんだものの、1オーバーでホールアウトした安田祐香(Getty Images/JLPGA提供)

悪天候に苦しんだものの、1オーバーでホールアウトした安田祐香(Getty Images/JLPGA提供)

とくにプラチナ世代の選手たちはプロデビュー戦。楽しみでもあり、当然緊張もあったことでしょう。それに加えて、雨も強いしラフも深いという厳しいコンディションの中でも、安田・古江は1オーバー、吉田は2オーバーと大崩れしませんでした。悪い状況でも崩れない、たしかな実力を見せてくれましたね。

さて、上位を見てみると小祝さくらと臼井麗香、黄金世代の2名が4アンダーでフィニッシュ。葭葉ルミも5アンダーで回っています。昨シーズン活躍していた選手たちも、去年から引き続き自分の課題と向き合ってきた成果が表れていますね。

画像: 小祝さくら(左)と臼井麗香(右)、黄金世代の2名が4アンダーでフィニッシュ(Getty Images/JLPGA提供)

小祝さくら(左)と臼井麗香(右)、黄金世代の2名が4アンダーでフィニッシュ(Getty Images/JLPGA提供)

畑岡奈紗は前半コンディションが悪い中でも3アンダーでターンしたところは、さすが世界ランク4位の実力者。10番でアプローチをミスしてグリーン奥から3パットでダボにしてから我慢のゴルフが続きましたが、最終ホールをバーディで締めくくり、2アンダーでフィニッシュ。1日5アンダーを目標と話す通り明日以降、当然のように巻き返してくるでしょう。

渋野は2打罰を受けるもイーブンでホールアウト

気になる渋野日向子選手の様子は、会見でのインタビューでも聞かれましたが、やはり久しぶりの試合による緊張があったようです。とくに前半は雨の影響もありスローなスタートでしたが、5番ホールのグリーン上で動かしたマークを戻し忘れてホールアウトしたことで2打罰の処置がとられ、ダブルボギーにしてしまいました。

画像: 渋野日向子はイーブンパーで初日を終えた(Getty Images/JLPGA提供)

渋野日向子はイーブンパーで初日を終えた(Getty Images/JLPGA提供)

それでも前半は磨いてきたアプローチでしっかりとパーをキープし2オーバーでターンします。10番でボギーを打ちますが11番からは怒りのパワーがさく裂しショットの調子が上がっていきます。それまではドライバーで左のラフに入れることが多かったのですが、フェアウェイをとらえるようになり、アイアンショットもピンにつくようになります。14番で初バーディのあとは15番でもバーディと連続バーディでスコアを戻します。

画像: アプローチの技も光った渋野(Getty Images/JLPGA提供)

アプローチの技も光った渋野(Getty Images/JLPGA提供)

その後も16番では3メートル弱、17番では5メートルを惜しくも外しますが、最終18番ホール、パー5の3打目をピンの奥からバックスピンで戻しチャンスにつけ、これをしっかり沈めて3つ目のバーディを決めてトータルイーブンパーでフィニッシュしました。

オフと自粛期間に増やしたというアプローチの引き出しが随所に見られました。昨年までは56度(57度に寝かした)のSW一辺倒でしたが52度の転がし系のアプローチで寄せる姿が見られました。

会見では「試合で試すのは初めてだったので緊張した」と話しましたが練習の成果をしっかりと確認できました。

渋野選手を指導する青木翔コーチに初日の渋野のプレーについて聞いてみると、「アプローチは90点、初日としてのプレーぶりはいつも通り、ルールのミスがあったので-80点で10点です(笑)」とのことでした。

渋野のパターにも変化

それとパッティングにも変化がありました。一つは新パターです。オフの期間に訪れた米国ピン社でフィッティングして届いたという渋野日向子選手専用にカスタマイズされたモデルだそうです。詳細はまだわからないので大会期間中に続報をお伝えできればと思います。

もう一つはパッティングするときの姿勢が変わりました。スタンスを狭くして前傾を少し起こしたスタイルに変化していました。

「振り子の支点を高くして、(支点を)体の中に入れるようにしたら自然とこのスタイルになりました」(青木コーチ)

振り子の支点が高くなることで、ストロークが緩やかな弧を描くようになって、インパクトゾーンでのフェースの開閉の度合いも緩やかになり、より安定し再現性の高いインパクトにつながっているようです。

服部真夕の「アプローチだけ左打ち」

さて、初日のプレーを見ていて驚いたのが、マンデートーナメントを通過して出場権を得た服部真夕選手のアプローチ。なんと、左打ちだったんです。

画像: レフティウェッジでアプローチする服部真夕(写真はアース・モンダミンカップ練習日 Getty Images/JLPGA提供)

レフティウェッジでアプローチする服部真夕(写真はアース・モンダミンカップ練習日 Getty Images/JLPGA提供)

どうやら56度の“レフティ(左利き用)ウェッジ”をセッティングに入れているようで、「今日は4回使って、そのうち2回はパーを獲ることができた」(服部)と会見で話していました。

他のクラブでは右打ちなのになぜアプローチだけ左打ち? と疑問に思うかもしれませんが、実は服部選手はアプローチイップスに悩んでいます。

普通に右打ちすると、ダフリやトップのミスが出てしまうようで、パターで打つなど試行錯誤を繰り返した末に、たどり着いたのが左打ち。かなり思い切った選択ですが、左打ちにしたら手が動かないなどのイップス独特の症状が出なかったようで、相当数の練習を重ね、左打ちを身につけたようですね。2日目以降も注目の選手です。

久しぶりのトーナメントということもあって、待ち望んでいたファンの方たちも相当数いる今試合。明日以降も観戦してレポートしたいと思います。

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