「この仕事が大好きなんだ。最高だよ」
「シニアツアーにはまだ行かないよ」と宣言しただけのことはある。「まだまだ飛ぶからね」と自画自賛のミケルソン。大会初日同組でプレーしたロリー・マキロイも「彼の飛距離にはびっくりする。
どんな状況でも失敗を恐れずに攻められるのが強み。それがファンにはたまらないんだろうね」と舌を巻いた。
ツアー通算44勝。この日もすべてのティショットを300ヤード前後飛ばし若手に交じってもまったく遜色はない若々しいゴルフを披露した。
ここで疑問。なぜミケルソンはこれだけ息の長い活躍ができているのか? その答えはシンプルだ。
「この仕事が大好きなんだ。ロリーやブライソン(・デシャンボー)みたいな選手と一緒にプレーして真剣勝負することができる。最高だよ。今日は本当に良いプレーができた」と本人。
好きで好きでたまらない。だから50歳になっても少年のような眼差しで白球を夢中で追うことができる。彼は決して燃え尽きたりしない。
50代の優勝は直近では15年のウィンダム選手権のデービス・ラブ3世(51歳)がある。1965年にサム・スニードが樹立した52歳10カ月8日での優勝がツアー最年長V記録だ。
しかしミケルソンはただ単に50代で勝つことが目標ではない。これまで2位に6回入っている全米オープンを制しキャリアグランドスラムを達成することこそが目標だ。
奇しくも今年は06年に最終ホールでダブルボギーを叩きジェフ・オギルビーに勝ちを譲ったウィングドフットが舞台。例年の基準なら本来出場権はなかったが、今年は全米オープン予選が行われなかったため3月15日時点の世界ランク上位70名に自動的に出場権が与えられることに。その時点で61位だったミケルソンも9月17日開幕の大会に出場できることになった。
「フィルが50代で複数回のメジャーに勝っても全く驚かない。スイッチが入るともっとも手強い相手になるからね」というのは全米プロチャンピオンのキーガン・ブラッドリー。
コロナ禍ゆえに転がり込んだメジャーへの切符。06年に惜敗したリベンジと50代初のメジャー制覇&グランドスラムを目指しまずは今週トラベラーズ選手権で勝利を掴みたい。