コブラ「キング ユーティリティアイアン」をギアオタクが試打
ゴルファーにはそれぞれ苦手なクラブはあると思うが、ロングアイアン、あるいはウッド類全般が苦手という方は多いのではないのだろうか。要はクラブが長ければそのぶん、難しく感じてしまうものだ。
物理的にクラブが長くなるほどボールから離れて構えることになり、芯でとらえることが難しくなる。さらに遠心力が大きくなってヘッドスピードが上がるぶん、飛距離が出るのでグッドショットとミスショットの飛距離差が大きくなるため、ミスしたときのギャップが大きく、難しいと感じやすい。これが長いクラブの難しさの正体なのだ。
そんな中、興味深いモデルが発売された。コブラの「キングユーティリティアイアン」だ。いわゆるアイアン型UTで、一見マッスルバックに見えるヘッドは中空構造。適度な厚みを持ったトップブレードと相まってちょっとシャープなセミアスリート向けアイアンのような外見を持ちつつ、ミスに強くそれでいて適度な高さのボールが打てるモデルに仕上がっている。
このモデルもウッド類が苦手な方には十分やさしいと言えるモデルではあるのだが、注目すべきはこのモデルではなくそのバリエーションである「キングユーティリティワンレングスアイアン」だ。このモデル、同社のラインアップであるワンレングスシリーズに合わせて作られたモデルで、ロフトは3番(19.5度)、4番(22.5度)、5番(25.5度)となっているが、クラブ長はすべて同じ7番アイアンの長さ(37.25インチ)で設定。それでも番手ごとの距離差がちゃんと出るように作られている。
長さが短くてちゃんと飛ぶならそれに越したことはないだろうとは思うが、実際にはどんな弾道でどのくらい飛ぶのだろうか。通常のアイアン型UTと打ち比べたというクラブフィッターの小倉氏に聞いてみた。
まず構えた際の印象を聞いてみよう。
「短い分、やはり圧倒的な安心感を感じますね。やっぱり近く構えられると当てられそうな気がします。ロフトは弾道調整機能付きでプラスマイナス1.5度ずつ調整が可能ですが、基本のロフトは5番で25.5度。激飛び系アイアンでいえば7番くらいと同程度ですね。今どきの激飛び系アイアンは長くなっているモデルも多いので、ミート率という点でもワンレングス仕様のほうが有利です」
飛距離についてはどうだろうか。
「同じロフト角の他モデルで、ボールを芯でとらえたときと比較すれば、やはり通常の長いモデルのほうが飛びます。打つヘッドスピードで変わりますが、ワンレングス仕様とは大体15ヤード前後の飛距離差がありますね。同じジャンルのPINGのG410クロスオーバーやタイトリストU500などの近いロフト角の番手と比較しても大体同じぐらいの差になると思います」
試打では3番(19.5度)、4番(22.5度)、5番(25.5度)をそれぞれ打った。「構えた印象は変わっていない」というものの、同じスウィングで3番から約190ヤード、180ヤード、170ヤードとしっかり飛距離の階段も作られていた。
飛距離面では通常のシャフト長のクラブに劣るものの、それ以外の面に関しては「ワンレングス仕様はメリットが大きいかもしれません」と小倉氏。
「しっかり高さも出ています。弾道の高さ、最高到達点は番手によってあまり変わらない印象ですね。とくに方向性、安定性などが良く、ミスに強いモデルと言えます。長いクラブが苦手という方は試す価値があると思いますね」
また、通常のショット以外、たとえば「林の中からの脱出など低くて強い弾道を打ちたいときなんかも、ワンレングスの強みが出ますね」と小倉氏は言う。
「クラブ自体が短いので枝の張り出しなどの影響も受けにくいですし、クラブにそれなりの重さがあるので小さいスウィングでもミートしやすい。普通に打てばちゃんと上がりますが、地を這うような弾道も打ちやすかったです。ミートしやすく低い球を打ちやすいというクラブは通常のクラブにはまずありません。バッグに14本入れてない方は試しに入れてみると意外と使う場面が多いと思いますよ」
協力/ユニオンゴルフクラブ