再開したPGAツアー3戦目「トラベラーズ選手権」で優勝したダスティン・ジョンソン。元世界ランク1位の実力を見せた勝者のスウィングを、プロゴルファー・中村修が分析した。

ショットがキレてパットも入る

飛ばし屋のイメージの強いダスティン・ジョンソン(以下、DJ)ですが、飛ぶだけでなくショットの正確性も併せ持つところに最大の強みがあります。飛ばしについてはよく語られるDJですが、今回は正確性に着目してみました。

DJのスウィングはストロンググリップで握り、トップではフェースを開かずに左手首が手のひら側に折れるのが特徴ですが、ショットの正確性の要因を探ってみると、手元と体の距離が変わらないことが挙げられると思います。

画像: 画像A 手の位置が高く体から遠いアップライトなトップから体との距離が変わらずに切り返すことで体の回転に沿って動くことからクラブの軌道が安定する(写真は2019年の全米オープン 写真/姉崎正)

画像A 手の位置が高く体から遠いアップライトなトップから体との距離が変わらずに切り返すことで体の回転に沿って動くことからクラブの軌道が安定する(写真は2019年の全米オープン 写真/姉崎正)

注目してもらいたいのは左腕です。画像Aをご覧ください。手の位置が高いアップライトなトップですが、左のひじが伸びたままですよね。画像A右のダウンスウィングの写真を見ても、左のひじは伸びたまま。つまり、スウィング中に腕の長さが変わらない=手元と体の距離が変わらない。

そのことで、左手が描く円の半径が一定となり、それに伴ってクラブの軌道が安定してくるのです。ストロンググリップに握り、フェースを開かずに上げるフェースローテーションの少ないスウィングと相まって、方向性に優れた切れ味鋭いショットにつながっています。

DJの飛ばしはなかなか真似られるものではありませんが、左腕の長さが変わらない点、それに伴ってつねに安定した軌道を再現できる点は、大いに参考になるゴルファーが多いのではないでしょうか。

さて、今回の勝利の要因として挙げたいもうひとつの要素が、好調なパッティングです。昨年までは短いスラントネックの「スパイダー」シリーズを使っていましたが、今回は新しい「トラス」を使用していました。

以前、テーラーメイドのパター部門のシニアディレクターを務めるビル・プライス氏を取材した際に「DJは本来はブレード型が好き。でも、賞金を稼ぐのはスパイダーなんだ」と聞いていました。

そのプライス氏が、ブレード型が好きなDJのために作ったモデルこそがこの「トラス」。ヒールのネック部分に三角形のトラス構造を採用することで慣性モーメントが増し、ヘッドのブレが抑えられる効果があるといいます。要は、ブレードの見た目でスパイダー的性能があるということ。中継ではグリーン上だけでなくグリーンの外からでもチップインするほど手に馴染んでいました。

画像: テーラーメイド「トラスTB1」を使って優勝した(写真は2020年のファーマーズインシュランスオープン 写真/姉崎正)

テーラーメイド「トラスTB1」を使って優勝した(写真は2020年のファーマーズインシュランスオープン 写真/姉崎正)

飛距離で申し分ないDJがショットとパットがキレキレなら優勝するのも不思議じゃないですよね。このまま行けば秋に開催されるマスターズで優勝候補に挙がるのは間違いないでしょう。東京五輪には早々に出場辞退の意思を表明していましたが、コロナが終息し延期になった東京五輪にはぜひ出場して欲しいところです

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