「4日間やって、勝つにしても負けるにしても、悔いのないようにしたかった」
最終日の16番ホールまで首位をキープしながら、紙一重で勝利をつかむことができなかった田中。渡邉彩香、鈴木愛らとの激闘から一夜あけた今日、彼女に話を聞くと、予想外に元気な声が返ってきた。
「本当、勝ちたかったです! (とはいえ)試合前は予選通過できればいいなくらいに思っていたから、ここまでいい成績残せるなんて思っていなかったです。久しぶりの試合ということもあって、(今は)やっと終わった~、疲れた~みたいな感じです(笑)」
リラックスした口調ながら、もちろんそこは勝負の世界で生きるプロ。悔しい気持ちがないわけでは当然ない。
「終わった瞬間はやっぱり悔しくて、思い出せば思い出すほど悔しいなという感じでした。最後のパットはついてた距離なのでやっぱり入れたかったです。シビれる距離でした」
初めての最終日最終組。最終ホールの1.5メートルを沈めていれば、プレーオフでまだまだなにが起こるかはわからなかった。やはり初めてのサンデーバックナインでの優勝争いということもあり、平常心でプレーできなかったのだろうか? 田中は、「最終日最終組も自分のなかではいつも通り、変わらず楽しめていました」という。
「あの位置(最終日最終組) で戦えたというのは、凄く大きい経験になったと思います。首位でスタートして勝ちきれなかったというのは、自分のショットだったりパットだったりメンタルを一段階上げていく必要があるということだと思うし、全体的にもう1レベル上げて、優勝したいという思いが強くなりました」
3日目、4日目と調子が悪い中、それでもスコアを崩さずに最後まで耐え抜い田中。「去年なら多分崩れていたと思うんですけど、1年戦ってみての経験が大きかったです」というように、悔しさとともに、たしかな成長と、次への課題をつかんだ試合でもあったようだ。
アース・モンダミンカップは日曜日に予定されていた最終日が荒天の影響で月曜日に順延となり、月曜日決着となった。36ホール消化で競技は成立するため、ほとんどの試合であれば、日曜日を中止とし、そこまでの成績で順位を確定させるケースが多い。もしそうであれば、その時点で首位だった彼女は初優勝を手にしていたことになる。
それについても聞いてみた。田中瑞希は、きっぱりとこう言った。
「短縮試合で優勝よりは、4日目までやりたいという気持ちのほうが強かったです。4日間をしっかりやって、勝つにしても負けるにしても、悔いのないようにしたかったので。4日間やれたのはすごくよかったです」
「優勝まではあと少しなのかな」と、最後まで明るい声を聞かせてくれた田中瑞希。短縮での優勝よりも、最後までプレーしたかった。そんな気持ちの強さを持つ彼女にとって、“その日“は決して遠くないに違いない。