スコアメイクに直結するウェッジショットでテクニックを生かせるロフト角58度以上のハイロフトウェッジ。しかし、ロフトが寝ているほど正確なインパクトは難しくプロや上級者向けと言われている。その秘密にギアライターが迫った。

ボーケイ「SM8」ウェッジに活かされた“前重心”テストモデルでの気づき

PGAツアーでは、ロブウェッジなどロフト角が60度以上のウェッジを使用するプレーヤーが多いが、一般ゴルファーでそうしたハイ・ロフトのウェッジを入れている人は非常に少ないはずである。その大きな理由として、ロブウェッジでは思ったようにボールを前に飛ばせないことがあると思う。

60度以上のウェッジを使用したことのあるアマチュアゴルファーの多くは、次のような使用感を持ったのではないだろうか。

・ボールが浮いているライではヘッドが下をくぐり“ポッコン”になる
・スウィングを大きくしても高さだけ出て、距離は出ない
・インパクトでフェースが上を向いてボールが乗らない
・ダフリやすい気がする
・ダフリ、トップがランダムに出る

もっと飛んで欲しいのに、思ったような飛距離が出ない。それがアマチュアゴルファーにとってのハイ・ロフトウェッジのイメージなのではないかと思うのだ。

では、なぜロフトが大きいウェッジになると“ポッコン”イメージのインパクトになってしまうのか? それについて大きなヒントを得たので、今日はそれをご紹介したい。

まず、ご覧いただきたいのがヘッドのトゥ・ヒールに不思議な鉄球が溶接されたプロトタイプウェッジである。これはタイトリスト ボーケイ・デザイン ウェッジの開発過程で作られたテスト用サンプルだ。見どころは、この鉄球がヘッドの“前側に付けられている”こと。これによってヘッドの重心を前に持ってきているのである。

ボーケイ・デザイン ウェッジの開発では、このテストサンプルだけでなく、逆にバックフェース側にウェートを付けたものや極端に高重心、低重心にしたものなど様々な重心パターンのテストモデルを作成し、様々なゴルファーに実際に打ってもらい評価を繰り返しているという。その中で、最も評価が高かったのがご覧の前側に鉄球をつけたモデルだったというのだ。

画像: トゥ・ヒールに鉄球を溶接してヘッドの重心を前に持ってきたボーケイウェッジのテストサンプル

トゥ・ヒールに鉄球を溶接してヘッドの重心を前に持ってきたボーケイウェッジのテストサンプル

ハイ・ロフトウェッジには、フェースが上を向きたくなる“癖”がある

タイトリストのボーケイ・デザイン ウェッジの担当者は高評価の背景についてこう話す。

「前重心ウェッジを試打した多くのゴルファーが、フィーリングの良さと飛距離コントロールの安定性を高く評価しました。従来の重心設計で作ったウェッジとの違いはインパクトロフトにあります。従来ウェッジではハイ・ロフトウェッジほどイメージよりもロフトがついてインパクトしてしまう傾向が強く、前重心にすると必要以上にロフトがついて当たってしまうことが少なくなることがわかったのです」(タイトリストVokey Wedge ブランドマネージャー/黒野隼さん)

フェースの大きなウェッジのロフトを大きくしていくと、ヘッドの重さがどんどんネックよりも後ろにかかっていくことは想像がつくだろう。実際のスウィング中にもこのお尻が重たい感覚がヘッドの軌道に影響を及ぼす。結果としてフェースが上を向いてインパクトしやすくなってしまうのである。

深重心ドライバーほどインパクトロフトが大きくなりやすいが、これと同じことがハイ・ロフトウェッジでも起こっているわけである。

画像: 普通のハイ・ロフトウェッジはヘッド後方が重たいためインパクトでフェースが上を向き、ロフトが大きくなりやすい

普通のハイ・ロフトウェッジはヘッド後方が重たいためインパクトでフェースが上を向き、ロフトが大きくなりやすい

冒頭に紹介したハイロフトウェッジを打ったユーザーの使用感、

・ボールが浮いているライではヘッドが下をくぐり“ポッコン”になる
・ススウィングを大きくしても高さだけ出て、距離が出ない
・インパクトでフェースが上を向いてフェースにボールが乗らない
・ダフリやすい気がする
・ダフリ、トップがランダムに出る

も、結局はフェースが上を向きすぎた状態でインパクトを迎えるから起こる現象(ミス)と考えれば、合点がいく。

「この前重心にしたテストモデルでの結果を踏まえ、最新のボーケイ・デザイン『SM8』ウェッジでは58度以上のロフトモデルを従来よりも前重心にしています。これによりツアープレーヤーはもちろんですが、アマチュアゴルファーからもフィーリングよく、狙った距離にボールを飛ばせるようになったと高評価を得ています。もちろん『SM8』には鉄球はついていません(笑)。ヘッド内トゥ部に高比重金属を配置、さらにネック長さをコントロールすることで従来の見た目のまま前重心にすることに成功しています」(黒野さん)

画像: 前重心にすることでロフト設定通りにインパクトしやすくなり、打ち出し角度、スピン量の適正化、そしてフィーリングも向上することがわかった

前重心にすることでロフト設定通りにインパクトしやすくなり、打ち出し角度、スピン量の適正化、そしてフィーリングも向上することがわかった

そもそもハイ・ロフトのウェッジはフェースを開かずに高いアプローチショットを打つために開発されたものだが、構造(重心)特性上、どうしてもフェースを開いた状態でインパクトしやすかったのが、ウェッジ特有の “悪癖”だったといえる。アマチュアの場合は、このお尻の重たいウェッジを持ちながら、さらに高いボールを打つべくスウィング軌道もアッパーにしてしまう。これでは飛距離が出なくなって当然だ。

ウェッジショットを安定させるには、スクェアインパクトを目指し、ロフト通りにボールをとらえることが何よりも重要である。そうなって初めてフェースにボールが乗り、正しい角度、正しいバックスピンでボールが打ち出され、正しい距離が生まれるからだ。フィーリングも、それによって向上するのは間違いない。

ウェッジでボールを前に飛ばせない!と悩むアマチュアゴルファーは多いが、ぜひ一度“インパクトでロフトを付けないように打つ”ことを念頭にボールを打ってみてもらいたい。ハイ・ロフトウェッジには、フェースが上を向きたくなる“癖”があるのだ。それを知っているだけでボールの飛び方が変わってくるはずだ。

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