ドラコンプロとして活躍する美人プロ・押尾紗樹が、6月に開催されたドラコン競技「みんなのドラコン」で377ヤードと自己最長記録を更新。その要因は、「“ドラコン振り”をやめたから」だというのだが……果たしてどういうことか、押尾本人に話を聞いた。

狙ったところに落として飛距離を稼ぐ

「嬉しくて、飛び跳ねました! 打った瞬間に330ヤードは飛んだなと思ったんですけど、377ヤードも飛んでいたなんて、自分でもびっくりです」

377ヤードというととんでもない記録に思えるが、押尾本人は身長157センチと小柄で、「トレーニングは一切していません」という。それでも377ヤード飛ばせた要因はなんだろう?

「元々、ドラコン用にヒールアップやオーバースウィングをして“ドラコン振り”をしていたんですが、ジュニアのころからストロークのゴルフをしていた私にとって、あとづけのドラコン振りでは飛距離は大きく変わりませんでした。そこでラウンドでのスウィングを磨いたほうが結果的に飛距離が出るんじゃないかと、ここ半年くらいドラコン振りをやめて80%の振り感を超えないように意識していたんです」

極端なオーバースウィングや、大きなヒールアップ、なかには一本足打法を採用する選手もいるなど、ヘッドスピードを上げるために特殊な打ち方をするのが、押尾のいう“ドラコン振り”。当然、120%の出力でいわゆる“マン振り”をするのが常識だ。

画像: 最長飛距離377ヤードと記録を残した押尾紗樹

最長飛距離377ヤードと記録を残した押尾紗樹

それを押尾は、あえて120ではなく80に抑えることで飛距離を伸ばした。その要因となったのが、ただ闇雲にヘッドスピードを上げるのではなく、どこに落としたらよりランが出るのか、そのためにはどんな球が必要なのかというショットマネジメントだ。

「今回の試合では他の選手が打っている様子を見ていたら、フェアウェイ右サイドだけ凄くキックしていたんです。絶対ココが一番飛ぶと思ったので、右のラフからドローさせて右サイドにキャリーさせる球を打ちました。それが一番上手くできたのが377ヤード飛んだんですよね。本当にキレイに前に跳ねたんだと思います(笑)」

ただ闇雲に一発の飛びを求めてマン振りをするのではなく、確実に狙ったところに落とすことを意識した結果の377ヤード。狙ったところに落とすというと、普通はアイアンでグリーンを狙うときによく聞く言葉だが、押尾の場合はドライバーで狙っていたのだからさすがはドラコンプロだ。

「ドラコンで転がるポイントを見極めて、どういう球質でどういう高さで打てば一番前に行くのかマネジメントを立てることはすごく大事なんです。ただ狙ったところに落としていけるのは、ドラコンでもトップ選手にしかできない領域のことなんですよね。だからこそ、それができたということが一番うれしかったです」

押尾いわく、実際の飛距離は「キャリーで280ヤードくらいだと思います」とのこと。もちろんそれも十分にすごいのだが、現在のドラコン競技はただの力比べではなく、風や落とし所の傾斜などを計算し、最適な弾道を最適な場所に打ち出す技術がなければ勝てない。

このように、技術とマネジメントの掛け算で自身最長記録を叩き出した彼女だったが、実は1年半ほどは競技から離れていたのだそうだ。ゴルフそのものからも距離を置き、レッスンの仕事も休止して、「倉庫でアルバイトしていました」という。きっかけは、ドラコンプロとしてのライセンスの更新通知を受け取ったこと。

「そのときに、『また試合に出てみない?』と誘っていただいたんです。それで出場した試合が本当に楽しかったんです。元々飛ばすことが好きだったというのもありますけど(笑)」

一度ゴルフを離れたことでなくなったドラコンプロのライセンスも再度取得し、ドラコンを通じてゴルフの楽しさや魅力を再確認したということだ。

押尾がドラコンの試合に出場してから半年経ったころ、BS日テレの人気番組「ゴルフサバイバル」に出演。ツアープロを目指す女子ゴルファーらと一緒にプレーし、一度は離れたストローク競技の世界に触れたことをきっかけに「JLPGA(日本女子プロゴルフ協会)のプロテストに再挑戦しよう」と決断した。

「今は本当にゴルフが楽しくて、ドラコンプロとツアープロどちらも両立できるようになりたい」という押尾紗樹。一度は味わった挫折をバネにどのような成長を見せてくれるのか、彼女の今後の活躍に期待したい。

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