ルールに則って救済を受けただけなのに……
“問題”となったのは最終日の15番ホール、パー3。ティショットをオーバーさせたデシャンボーのボールはグリーンわきの深いラフで止まった。2位とは2打差があるが、そこからピタリと寄せるのは難しく、ピンチと呼べる局面だ。
起こったことを先に述べると、デシャンボーはそこから無罰で救済を受け、最終的にグリーンわきのファーストカットに止まったボールをパターで寄せ、パーをセーブした。
そして、これが物議をかもしたわけである。「なんでラフにあったボールが無罰でカラーにドロップできるんだ!」と。気持ちはわかる。ウェッジで難しいショットを迫られていたはずが、パターで打てたわけだから、難易度の差は明らかだろう。
なぜ、このようなことになったのか。
このとき、デシャンボーのスタンスはスプリンクラーヘッドにかかっていた。そのため無罰でドロップが可能だったのだ。そして、ルールではラフもファーストカットも等しく“ジェネラルエリア”であり、定められた範囲内であればラフから救済を受けたボールがファーストカットに止まっても問題はない。
つまり、デシャンボーはルールに基づいて正しく救済を受けただけ。それでも米国のSNSでは“プチ炎上”状態となったようだから、勝っても負けてもそこはマッドサイエンティスト・デシャンボー。短い距離のパットを打つのに異様なまでに時間をかけたり、コース内でコンパスを使ったり使用パターが使用禁止になったりと数々の騒動を巻き起こしてきた経緯がある。「またなにかやったのか!?」と視聴者も盛り上がってしまったようだ。
勝っても負けても、つねに話題となる男・デシャンボー。ゴルフ界は、まだしばらく彼の話題で持ちきりになりそうな気配だ。